相続で揉めたくない!親が元気なうちに「財産目録」を作っておこう
配信日: 2018.08.20 更新日: 2019.01.11
何も準備をしていないと、亡くなってから借金などの負の財産が判明して遺族が戸惑ったり、相続人同士のもめ事が起きてしまうことがあります。こうしたトラブルを避けるため、相続財産についてはできるだけ生前に確認し、整理しておくようにしたいものです。
そこで今回は、生前に相続財産の目録を作るメリットと、覚えておきたい相続の流れについて詳しくお伝えしたいと思います。
相続の手続きは忙しい?基本的な流れと期限について
親など近しい人が亡くなると、悲しみに暮れる間もなく遺族は相続を含めてさまざまな手続きを進めることになります。
もし相続財産に負の財産があることがわかっても、相続放棄するかどうかといった決断をするまでの期限は、相続の開始を知った時から3カ月間しかありません。
しかもこの間には金融機関に連絡したり、健康保険、遺族年金の手続き等も並行して行わなくてはなりません。そして4カ月以内には、故人の所得税を申告する必要があります。
並行して、遺言書があればその遺言書に従い、遺言書が無い場合には相続人遺産分割協議をして遺産分割協議書の作成を行います。
その後は協議書に基づき相続財産の名義変更や登記を行い、相続税の申告と納付を行う、というのが基本的な流れになりますが、これらは相続開始から10カ月までの間にすべて終えなくてはなりません。
できるだけ生前のうちに財産を整理して対策をしておくことは遺族に余計な手間と心労をかけないために重要なことだと思います。
生前に「財産目録」を作っておくメリット
そこで、生前に「財産目録」を作っておくと遺族の負担はぐっと軽減されると思います。「財産目録」とはどのような財産を持っているのかを整理して、表にしたものです。
相続税申告書を作成する際に、財産目録を生前に作っておけばそれを転記するだけで済みますし、遺産分割協議をスムーズに進めることができるのです。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
「財産目録」作成の仕方とポイント
では、財産目録は具体的にどのように作成するのでしょうか。
まず、すべての財産をプラスの財産からマイナスの財産まですべて書き出します。書き出してみると、趣味で集めていた美術品や、お付き合いで入っていた保険といった、家族が知らなかったものが出てくることがあります。
もし財産目録を本人や家族だけで作るのが難しいと感じたら、費用はかかりますが司法書士や税理士などに相談してみても良いと思います。
財産目録に決まった書式は特にありませんが、正確に、誰にでもわかりやすく書くことが重要ですので、次のように項目を分けて記載すると良いと思います。
1、不動産
自宅の土地、建物、その他、所有している不動産を記載します。土地や建物の「区別」、「所在」、「地目種類」、「地積・床面積」の欄を設けてそれぞれ記載します。
可能であれば価格も調べて備考欄などに記載しておきましょう。建物の価格は固定資産税評価額で評価されますが、土地の値段は路線価で評価されることがほとんどです。路線価は国税庁がウェブサイトで公開していますので、地価公示や路線価を調べておくと相続の時にさらに役立ちます。
2、預貯金
休眠口座などが無いかどうかもしっかり調べて記載します。普通預金、定期預金などの「種別」、「銀行・支店名」、「口座番号」、「金額」の欄を設けて記載します。
3、株式・投資信託
株式、投資信託などの「種別」、「銘柄」、「口座番号」、株数などの「数量」を記載します。
4、生命保険・年金
「種別」、「保険会社名」、「証券番号」、「保険金額」、「受取人氏名」を記載します。ここでは誰が受取人であるかが特に重要です。
5、負債・借入金関係
住宅ローン、自動車ローン、連帯保証になっているものなどが該当します。
「種別」、支払いや返済をする「相手名」、「金額」、「返済方法・完済予定日」を記載します。
6、その他の動産
たとえば、自動車や趣味の絵画などが該当します。
「種類」、「名称・詳細」、「金額」を記載します。
これらすべてを表にして記載したら、目録の最後には「作成年月日」と、「作成者の氏名」の記入、「押印」をしましょう。
できるだけ1年に一度くらいは見直して、変更があれば作成し直します。
相続の手続きをスムーズにするため、財産目録をぜひ活用されてみてはいかがでしょうか。
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー