更新日: 2023.08.28 贈与
子どもの進学資金として「500万円」貯まりました。本人名義の口座でも、渡す際に税金はかかりますか?
本記事では、進学資金の500万円を本人名義の口座ごと渡す際に税金かかるのかということと、国が設けている非課税制度について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
目次
生きているうちに財産を渡した際にかかる税金とは
当事者の一方が自身の財産を相手に渡すことを「贈与」といい、生きているうちに親から子に贈与することを「生前贈与」と呼びます。譲る財産には預貯金も含まれ、これらの贈与にかかる税金は「贈与税」です。そのため、子どもの進学資金として本人(子ども)名義の口座ごと贈与する場合にも、目的や金額によっては贈与税がかかります。
・基礎控除がある
後述する暦年課税方式を選択した場合、贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、1月1日~12月31日の1年間の贈与額合計が控除額を下回る場合には税金はかかりません。贈与する金額が1年間で500万円の場合は110万円を超えているため、原則として贈与税がかかることになります。
・課税方法
親から子への贈与にかかる贈与税の課税方法は、暦年課税と相続時精算課税の2種類で、どちらを選択するかは受贈者の自由です。暦年課税は、受け取った財産の合計額から基礎控除額を差し引いた残額に税率を乗じて算出します。税率は、特例贈与財産と一般贈与財産によって異なります。
一方の相続時精算課税は、2500万円までの贈与財産は非課税となり、贈与者の死亡時に贈与分と相続分を合計して相続税を算出する制度です。なお、相続時精算課税を選択するためには、贈与者、受贈者双方が年齢などの条件を満たしている必要があります。
子どもに500万円を贈与した場合の課税額
親が500万円を子ども名義の口座に移して贈与した場合には、贈与税がかかります。では、その際に暦年課税を利用した場合の、特例・一般それぞれの贈与財産の課税額はどうなるのでしょうか。
・特例贈与財産
父母や祖父母(直系尊属)から、18歳以上の子どもや孫に贈与された財産のことです。
・一般贈与財産
特例贈与財産の条件に該当しない場合は、すべて一般贈与財産になります。
・500万円を特例贈与財産として贈与した場合の課税額
まず、贈与額の500万円から110万円の基礎控除額を差し引きます。その金額390万円に特例贈与財産の特例税率15%を乗じた後に、10万円の控除額を差し引いた金額の48万5000円が課税額です。特例税率と控除額は贈与額により異なるため、国税庁のホームページを参考にしてください。
・500万円を一般贈与財産として贈与した場合の課税額
まず、贈与額の500万円から110万円の基礎控除額を差し引きます。その金額390万円に一般贈与財産の一般税率20%を乗じた後で、25万円の控除額を差し引いた金額の53万円が課税額です。一般税率と控除額も国税庁のホームページで確認できます。
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進学資金を子どもに贈与する場合の非課税制度
父母や祖父母が子どもや孫に教育資金を贈与した場合には、贈与税が非課税になる制度があります。
・贈与税の非課税制度
父母や祖父母から子どもや孫に教育資金(進学資金を含む)を一括贈与した場合、一定の条件を満たしていれば贈与税はかかりません。教育資金に充当するためには、開設した教育資金口座のある金融機関に受贈者が教育資金非課税申告書を提出する必要があります。
その際、受贈者である子どもや孫は30歳未満かつ前年の所得金額が1000万円以下でなければいけません。そのうえで教育資金口座への預け入れ等をした場合、一定の限度額までの贈与に対して贈与税が非課税となります。
・非課税になる限度額
父母や祖父母が子どもや孫に教育資金を贈与した場合の非課税限度額は受贈者1人につき1500万円です。
進学資金500万円の贈与には、贈与税がかからないこともある
基本的に、子ども名義の口座に500万円を贈与すれば贈与税がかかります。暦年課税を利用した場合の課税額は、特例贈与財産が48万5000円、一般贈与財産が53万円です。ただし使い道が教育資金の場合には、条件を満たせば贈与額のうち1500万円までが非課税になります。もし条件を満たしているのであれば、教育資金の一括贈与による非課税制度を活用するのも選択肢の一つです。
出典
国税庁 財産をもらったとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー