更新日: 2023.09.04 贈与

祖父母が奨学金返済用の資金を支援してくれそうです。何か注意点はありますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

祖父母が奨学金返済用の資金を支援してくれそうです。何か注意点はありますか?
祖父母が孫のために教育資金を支援するのはよくあることでしょう。しかし、ある程度高額になると税金の対象になるかもしれないというのはご存じでしょうか。
 
本記事では教育資金の支援に関する税制優遇と、奨学金の返済の支援がその対象になるのか、ならない場合はどのような税金がかかるのかを解説します。資金援助を受けることを考えている人は参考にしてください。
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教育費の援助に関する課税

一般的に金銭などを譲渡すると、譲渡先が家族であっても一定金額以上であれば贈与税がかかります。しかし、教育資金を援助する場合は一定の条件のもとに税制優遇が適用され、非課税となります。
 
もちろん非課税の対象となるには要件を満たす必要があるので、課税されるのはどんな場合で、課税されないケースはどのような要件が必要なのか解説します。
 

一般的な贈与(暦年課税)

金銭などの財産をもらった場合は、もらった人に贈与税を支払う義務が生じます。対象となる期間と金額は以下のとおりです。

●毎年1月1日~12月31日の間
●年間110万円を超える場合

この贈与税の課税方式は暦年課税とよばれていて、該当する人は毎年税務署に申告します。ただし、年間で贈与を受けた金額が110万円以下の場合は申告義務がありません。
 

必要な都度、贈与する場合は非課税

祖父母が孫に対して、教育資金や生活費が必要な都度、贈与する場合は非課税になります。これは扶養義務がある親子、親族間の生活・教育費は課税対象とならないからです。
 
対象となる扶養義務者は以下のとおりです。

●配偶者
●直系血族
●兄弟姉妹
●家庭裁判所の審判により扶養義務者となった三親等内の親族
●三親等内の親族で生計を同一にする者

ただし、その都度必要なときに贈与する必要があります。まとめて支払うと贈与税の対象になるので注意しましょう。
 

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置

扶養義務者が教育資金を必要なときに贈与すれば非課税ですが、一括で贈与した場合でも要件を満たすと非課税になるケースがあります。
 
国税庁の「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」によると、以下の要件を満たした場合の贈与税は非課税となります。

●受贈者:平成25年4月1日~令和8年3月31日の間に30歳未満
●贈与者:受贈者の直系尊属
●非課税金額:1500万円
●対象教育資金:学校の入学金や授業料、学用品の購入費、学習塾や習い事の費用、通学定期券代など
●教育資金口座の開設
●金融機関等に教育資金非課税申告書の提出

なお、この制度は令和5年度の税制改正で3年延長(2026年3月まで)されています。
 

孫の奨学金返済は贈与税の対象

孫の奨学金の返済については、教育資金の対象には含まれていません。奨学金を返済する時点で、受贈者である孫はすでに大学などを卒業しているからです。そのため、教育資金とは認められず贈与税の対象となります。つまり、年間110万円までは非課税で110万円を超えたときに申告する必要があります。
 
非課税で援助を受けたい場合は、必要都度にもらうか、教育資金としてもらうかにするとよいでしょう。
 

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奨学金の援助は課税対象なので対策しよう!

祖父母の孫に対する教育資金の援助については、原則1500万円までは非課税対象になります。もちろん、要件を満たす必要がありますが、幅広い教育資金が対象です。
 
しかし、奨学金の返済を援助する場合は、すでに孫は卒業しているので教育資金とは認められません。援助を受けるのであれば、必要な資金をその都度もらうか、教育資金としてもらうようにすれば、非課税となるのでおすすめです。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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