更新日: 2023.09.08 相続税
ついに「タワマン節税」が封じられる!? 改正内容が「富裕層以外」にも影響がある可能性を解説
有名な相続税対策の方法となっていますが、それだけ有名であるということは節税効果も大きいということであり、国税庁はずっと目を付けていたのでしょう。そしてついに、税制改正によってタワマン節税が封じられる日が来そうなのです。
「まあ富裕層の話でしょ」と思われたでしょうか。実はこの改正、タワーマンションに限定したものではなく、マンション全般に対して行われる予定です。つまり、普通のマンションを所有している人にも影響する可能性があるのです。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
タワマン節税って何?
タワマン節税とは、生前にタワーマンションを購入して相続税負担を軽減させる節税対策です。相続税は遺産に対してかかる税金であり、遺産総額に比例して税額も高くなります。遺産総額は遺産の種類に応じて定められた相続税評価の方法によって計算するのですが、不動産については市場価格の6~7割程度になる計算方法となっています。
つまり、現金1億円を所有したまま死亡すると、その1億円に対して相続税が計算されてしまうのですが、生前に1億円の不動産を購入しておけば7000万円に対して相続税がかかるのです。
ではなぜ、不動産の中でもタワーマンションなのでしょうか。それは普通の不動産よりも時価と相続税評価額との差が大きくなるからです。
タワーマンションは一般的に高層階ほど時価が高くなりますが、相続税評価額にはそこが考慮されません。タワーマンションの1階と最上階はどちらも同じ相続税評価額で相続税が計算されるのです。そこで富裕層は、相続税対策としてタワーマンションの高層階を購入し、相続税が終わったらタイミングを見て高い市場価格で売却するというスキームを組むのです。
マンションへの相続税課税を見直す理由
国税庁の調査によると、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離率平均は2018年で2.34倍となっており、マンションの約65%は市場価格の半額以下の相続税評価額で相続税が計算されているのです。本来であれば6~7割でなければならないのに、です。これに対して一戸建ては1.66倍で約6割となっています。
つまり、同じ不動産を所有しているにもかかわらず、マンションというだけで相続税がお得になっている人が多いということを示しています。これでは税金の根幹である「課税の公平」が保たれていません。
そしてこの改正は「タワマン節税が封じられる!」と話題になっていますが、普通のマンションも対象となっていることを知っておきましょう。
【図表1】
国税庁 マンションの相続税評価額と市場価格の乖離率の推移
具体的な改正内容
マンションの相続税評価の方法について具体的な改正内容はまだ明らかになっていません。ただ改正の理由からして、マンションの相続税評価額に市場価値を今以上に加味するようになるでしょう。つまり、マンションにかかる相続税が今より高くなるということです。
なお2023年内の改正、2024年1月1日以降の適用が目指されており、遠い将来の話ではありません。
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まとめ
2024年1月1日以降、マンションにかかる相続税が増税となる可能性が高いです。そしてこの改正によって節税目的でのマンション購入が減ると考えられることから、マンション需要も減る可能性があります。
「相続税は関係ない」という人であっても、マンションの売却を検討しているのであれば急いだほうがよいかもしれません。
出典
国税庁 マンションの相続税評価額と市場価格の乖離率の推移
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士