更新日: 2023.09.16 贈与
孫の大学進学に向けて、毎年「100万円」を振り込む予定です。この額であれば非課税で贈ることができますか? 注意点はありますでしょうか?
本記事では、どのような場合に贈与税が発生するのかを解説したうえで、暦年贈与や教育資金贈与の非課税制度についても紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
贈与税がかかるのは年間110万円から
贈与税は、個人から個人に対して財産を譲り渡したときに発生する税金のことです。贈与税を支払うのは、財産を受け取った受贈者側です。祖父母から孫へ財産を渡した場合であれば、孫側が贈与税を支払うことになります。とは言え、財産を受け取ったら、必ず贈与税を納めるということではありません。
贈与税には、110万円の基礎控除額が設けられています。その年の1月1日から12月31日までに受け取った財産額が基礎控除額以内であれば、贈与税の支払いは原則として不要です。
例えば、祖父から孫に対して200万円の財産を渡した場合には、基礎控除額の110万円を差し引いた90万円に対して贈与税が課税されることになります。孫に贈与税を負担させたくないのであれば、財産を渡す額を年間110万円以内に収まるようにしたほうがよいでしょう。
なお、生活費や教育費を必要な際に負担する場合であれば、基本的に課税の対象外です。例えば、祖父から孫へ振り込んだお金の使い道が大学の授業料、学生寮費などで、一般的な金額の場合には贈与税は発生しません。
ただし、生活費や教育費以外のお金を渡した場合には、年間の振込額によっては贈与税が発生する可能性があります。お金を振り込む前に、どのような目的のお金を孫へ渡すのかをよく考えておくことが大切です。
暦年贈与とは? 定期贈与に注意!
暦年贈与(れきねんぞうよ)は、贈与税の基礎控除額を利用した相続税対策の一つです。年間贈与額が110万円以下であれば、譲り受けた財産の使用目的が限定されないため、学費や教育費以外のお金を受け取っても贈与税がかかりませんし、確定申告も原則不要です。非課税で祖父母から大学生の孫へ財産を渡したいときに有効な方法と言えます。
ただし、孫へ毎年振り込みをする場合には、定期贈与にならないように気をつけましょう。定期贈与は一定の期間に、一定の財産を贈与することです。例えば、毎年100万円を10年間振り込みすると約束した場合、定期贈与だと判断される可能があります。
定期贈与では、初年度のみしか基礎控除が適用されず、基礎控除額を差し引いた890万円(100万円×10年間−110万円)に対して贈与税が課税されます。税率は、200万円以下が10%、300万円以下が15%といったように、基礎控除後の額が大きくなるほど納める贈与税が上がっていきますので注意が必要です。
定期贈与だとみなされないように、振り込みのタイミングをその都度変える、振り込み金額を一定にしないなどといった工夫をしてみるとよいかもしれません。
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教育資金贈与の非課税制度
大学生の孫へまとまった額の振り込みをしたいというケースもあるかもしれません。しかし、一度に大きな額を振り込むと、贈与税が高くなる可能性があります。そんなときには、「教育資金贈与の非課税制度」を利用するのも手です。もともとは2023年3月31日までの制度でしたが、税制改正によって2026年3月31日まで延長されることになりました。
「教育資金一括贈与の非課税制度」は、1500万円以内であれば、子や孫に教育資金を非課税で贈与できるというものです。この制度が利用できるのは、30歳未満の子や孫です。30歳に達すると大学生の孫でも利用はできません。
この制度を利用する際には、銀行や信託銀行などで教育資金贈与専用口座の開設が必要です。また、口座から教育資金として資金を使った際の領収書等をその金融機関に提出する必要があります。
年間110万円以内なら非課税! まとまった額を渡したいなら教育資金贈与の非課税制度の活用を!
贈与税には、年間110万円という基礎控除額が設けられているため、この金額以内の振り込みであれば税金を納める必要はありません。ただし、毎年一定額の振り込みをしていると、税務署から定期贈与だと判断されることもあるため、注意が必要です。
また、祖父母から孫へまとまった額のお金を振り込みたい場合は、教育資金贈与の非課税制度の利用も検討してみるとよいでしょう。
出典
国税庁 No.4510直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー