更新日: 2023.09.16 贈与
父が相続のため「毎年100万円」振り込んでくれます。ただし「1年で使い切らなければいけない」と聞いたのですが、本当でしょうか?
贈与が定期贈与と見なされないためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。今回は、どのようなポイントに気をつけるべきか、詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
暦年贈与とは
贈与税には110万円の基礎控除があります。そのため、110万円以下の贈与であれば、納税や手続きは必要ありません。このことから、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)で贈与税のかからない110万円以下の贈与を行うことを暦年贈与と呼びます。
結果として110万円以上の贈与を行った場合でも、110万円以下に小分けして別の年に贈与されていれば、暦年贈与になります。その分、贈与税の節約になるわけです。
ただし、贈与には贈与税が発生する定期贈与があります。定期贈与とは、贈与を定期的に繰り返すことです。例えば、1000万円を10回に分けて贈与する、というような贈与契約は、定期贈与にあたります。つまり、贈与を小分けして暦年贈与する場合には、それが定期贈与であると見なされないことが大切なのです。
定期贈与と見なされないために注意するべきポイント
それでは、どうすれば定期贈与であると見なされずにすむのでしょうか。
まず重要なことは、毎年贈与契約書を作成することです。贈与のたびごとに贈与契約書を作成すれば、その贈与が全体の一部であるとは見なされません。その逆に、しっかり契約書を作成しておかないと、契約書を作成しなかった分の贈与は全体を分割して行われたものだと解釈されてしまいます。そのため、110万円を超えると贈与税が発生してしまうのです。
また、贈与が単発であることを示すため、毎年金額や贈与を行う時期を変えることも大切です。そうすることで、定期贈与だと見なされることを予防できます。
さらに、時折贈与を行わない年を挟むとよいでしょう。これら3つの対策を講じることが大切です。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
名義預金と見なされないことも大切!
定期贈与と見なされてしまわないことも大切ですが、名義預金だと見なされないようにすることも大切です。
名義預金とは、本人ではない別の名義に預金することを指します。例えば、子どもや孫の学費のため、彼らの名義の口座にお金を振り込んでいるとしましょう。その場合、振り込んだ額は贈与ではなく名義預金であると見なされ、相続税の課税対象になってしまうのです。
こうした事態を防ぐために重要なのは、送る側と受け取る側の双方で贈与に関する合意をしておくことです。そのため、必ず贈与契約書を作成しましょう。
また、受贈者が口座を自由に使えない場合や入金を把握していない場合も名義預金と見なされてしまいます。振込先の口座の管理は受贈者ができるようにしておくことも大切です。
暦年贈与を活用して上手に財産を贈与しよう!
贈与税を節税しながら贈与を行うためのポイントは、贈与契約書を毎回作成すること、贈与額や贈与時期を一定にしないこと、贈与しない年を間に挟むことです。また、名義預金と見なされないため、受贈者が入金を把握している必要があります。
贈与した金額を1年で使い切るかどうかは関係ありません。暦年贈与の仕組みをしっかりと理解し、上手に財産分与を行いましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー