祖父母から子どもの「学費」を援助してもらった場合、いくらまでなら「非課税」になる?
配信日: 2023.09.17 更新日: 2023.09.19
本記事では、教育資金について、贈与税のかからない受け取り方法を紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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贈与税の計算と基礎控除110万円について
贈与税は、1月1日から12月31日までの一年間に、贈与として受け取った財産をもとに計算されます。その際に、基礎控除額として110万円が差し引かれます。贈与額が110万円以下ならば、贈与税はかかりません。
ただし、贈与額は、受け取る側を基準にして計算されるという点に、注意が必要です。例として、祖父から100万円を、祖母から90万円を、一人の子どもが受け取った場合で説明します。子どもは、祖父母から合計で190万円を受け取ったことになり、110万円の控除額を差し引いた80万円に対して、贈与税が発生します。
贈与税の税率は、控除額110万円を差し引いた後の金額(課税価格)が大きくなればなるほど、高くなります。例えば、課税価格200万円以下ならば、税率は10%ですが、300万円以下ならば、15%です。1000万円以下であれば40%、3000万円を超すと、55%まで跳ね上がります。
祖父母から、110万円を超える援助を受ける場合に、贈与税を考えるならば、二つの方法があります。これまでいわれてきた暦年贈与と、平成25年度の税制改正において創設された「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」制度です。
暦年贈与とは
暦年贈与とは、年間の贈与税に対する基礎控除が110万円であることを利用して、110万円以下の金額を、数年にわたって連続して贈与していく方法です。個人間では教育資金としての贈与だと認識していても、口約束だけでは、税務署への説明の根拠とするには難しいものがあります。
そのため、金融機関の暦年贈与信託を利用することをおすすめします。さらに、送金忘れによるトラブルも、回避できます。
これまでも多く活用されてきた暦年贈与ですが、令和5年度の税制改正の大綱において、生前贈与加算の加算期間が、3年から7年へ延長されました。贈与加算とは、暦年贈与してくれていた方が亡くなった場合に、考える必要がある制度です。
亡くなった当日から数えて7年以内に行われていた贈与を、亡くなった方の財産に足し戻して、相続税を計算します。1年につき110万円ずつ贈与を行っていた場合は、亡くなった際の財産に770万円が足し戻されて、その分の相続税も発生します。贈与税を回避するために行っていた暦年贈与が、まるまる7年分無駄になるのです。
改悪との声が多いこの改正について考えると、暦年贈与を開始するならば、より早いうちがよいでしょう。
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一括贈与を受けた場合の贈与税非課税制度について
平成25年度の税制改正により、教育資金の一括贈与について、平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間であれば、非課税措置が得られるようになりました。非課税対象となる贈与額は、1500万円までです。
この制度を活用するためには、教育資金口座を開設して、教育資金非課税申告書を提出する必要があります。払い出しの際にも、教育資金である事実を証明するために、必要書類を提出します。
教育資金とは、入学金や授業料、学用品の購入費、修学旅行費、給食費などです。さらに、習い事のレッスン料や、習い事のための物品購入費、通学定期券代や留学の渡航費なども認められます。
例えば、1000万円を一括贈与してもらったとしても、子どもの手元にいきなり1000万円が来るわけではありません。大きな出費のたびに、口座から払い出すことができるというイメージです。1000万円を何の処理もなく受け取ると、贈与税が発生するため、この制度を活用しない手はありません。
新設されたこの制度は、手続きこそ多いですが、一括で大きな金額を、課税なしで受け取れるという魅力があります。
1500万円までの援助なら制度を活用して非課税に
祖父母からの教育資金は、一度にもらう金額が大きくなりがちです。期間限定ではありますが、教育資金の一括贈与についての非課税制度も、ぜひ検討してみてください。
出典
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 財産をもらったとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置
財務省 令和5年度税制改正の大綱 二 資産課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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