更新日: 2023.09.28 その他相続

義父の遺産は「1000万円」です。介護はほとんど私が行いましたが、相続は義姉よりも多く受け取れますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

義父の遺産は「1000万円」です。介護はほとんど私が行いましたが、相続は義姉よりも多く受け取れますか?
誰かが亡くなった後には相続が発生しますが、どれだけ仲がいい家族でも相続で関係性が崩れてしまうケースは少なくありません。それでも、自分が遺産を受け取れるのか気になる方は多いと思います。
 
本記事では、義父の遺産が1000万円あって、自分が介護をほとんどおこなっていた場合、義父の実子である義姉よりも多く遺産を相続できるかという事例について解説するので、気になる方は参考にしてみてください。
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そもそも義父からの相続権はあるのか?

民法によって相続人の範囲は決められています(法定相続人)。死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は順位が高い該当者から優先的に相続されます。亡くなったのが義父である場合、義父はパートナーの父親に該当するため、直接的な親子関係が存在しておらず、相続権はありません。
 
【図表1】

相続順位 相続対象者
第1順位 死亡した人の子ども
第2順位 死亡した人の直系尊属
(父母や祖父母など)
第3順位 死亡した人の兄弟姉妹

国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分を基に作成
 
このように、生前に介護を担当していたとしても民法上は相続権がないため、相続を義姉よりも多く受け取れる可能性は低いです。
 
また、義姉がどれくらいの金額を相続できるかについては、相続人の数などに影響されるので、義母がまだ生きていたり、兄弟姉妹が多かったりすると法定相続分は少なくなります。なお、相続人が多くなればなるほど連携も難しくなるため、相続がスムーズにできない可能性もあるでしょう。
 

民法の改正によって寄与分が認められた

少し前までは、生前に被相続人の介護をしていても相続権は発生しませんでしたが、民法の改正によって、介護などをしていて、被相続人の財産の維持や生活の保護をしていた場合は「寄与分」が認められるようになりました。
 
具体的に相続できる金額は寄与した内容次第なので、一概にいくらもらえるとは言えませんが、当事者同士で話し合いをして決める方法や、家庭裁判所への申し立てをする方法が挙げられます。
 
話し合いによって寄与分を決定する際には一人ひとりの意見が重要になるため、場合によっては義姉よりも多く相続できるケースもあるでしょう。また、寄与分は直接的な親子関係がある際にも適用され、実の息子や娘が特別に寄与したと判断される際にも対象です。
 

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寄与分の決定はトラブルになりやすい

しかし、寄与分の決定はトラブルになりやすく、介護をしていた本人が納得していても、パートナーなど他の法定相続人が納得できていないケースも少なくありません。介護をしていた本人の労力を正当に評価されない可能性も高く、なかなか貢献が認められないことも多いです。
 
例えば、介護をしていたとしても、同居している際の通常の介護範囲だと判断されれば、寄与分は認められません。他の相続人からしても、自分たちの相続分が少なくなる寄与分は認めにくく、なかなか話し合いがスムーズに進まないことも考えられます。
 

寄与分が認められるように資料を揃える

寄与分が認められるためには、客観的に十分な貢献をしたと判断する必要があるので、家庭裁判所に提出できるように普段から資料を揃えておくのも大切です。具体的な資料としては介護日記や、病院や買い物に一緒に出かけた記録などが挙げられます。
 
話し合いでスムーズに寄与分が認められるなら必要ありませんが、相続人が寄与分を拒否した際も視野に入れて揃えておくとよいでしょう。
 

まとめ

義父の遺産が1000万円あって介護をほとんどおこなっていたとしても、民法上は相続権がないので、基本的に遺産はもらえません。
 
ただし、民法の改正によって寄与分が認められるようになったため、法定相続人でなくても相続ができる可能性はあります。ただし、話し合いがスムーズに進まないときに備えて、各種資料はあらかじめ揃えておきましょう。
 
どれだけ仲がいい家族でも相続はトラブルになりやすいため、生前から遺言書を作成しておくなど、トラブル回避のためにできることは早めに対応しておきましょう。
 

出典

国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
e-Gov法令検索 民法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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