更新日: 2023.09.30 その他相続
義母が夫の遺産を「全部もらう」と宣言しましたが、妻の私にも法定相続分はもらう権利がありますよね? 仲良くしていたと思っていただけに驚いています…
しかし、法律では配偶者である妻にも相続権があるため、いくら宣言したとしても義母が全額をもらうことは難しいです。
本記事では、義母が夫の遺産を全部もらうと宣言した際でも、配偶者である妻は法定相続分がもらえるかどうか解説するので、気になる人は参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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法定相続分は原則としてもらえる
法定相続分とは法律によって定められた遺産分割の割合のことで、義母が独断で亡くなった夫の遺産をすべて相続することはできません。配偶者は最も優先される相続人であり、状況次第では全額相続できるケースもあります。
一般的には相続割合については相続人で遺産分割の話し合いをおこないますが、遺産分割の合意ができなかった際には法定相続分が民法で決められていることを把握しておきましょう。
法定相続分の割合は、図表1の通りです。
【図表1】
法定相続人 | 法定相続分 |
---|---|
配偶者と子どもが相続人 | 配偶者1/2 子ども全員で1/2 |
配偶者と直系尊属が相続人 | 配偶者2/3 直系尊属全員で1/3 |
配偶者と夫の兄弟姉妹が相続人 | 配偶者3/4 夫の兄弟姉妹全員で1/4 |
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分を基に作成
このように法定相続分が民法では定められているため、義母が夫の遺産を全部もらうと「宣言」しても、配偶者である妻も相続が可能です。例えば、遺産が600万円ある場合の法定相続分は、配偶者である妻が400万円・直系尊属である義母が200万円になります。
注意点としては、他にも直系尊属が存命なら、義母の法定相続分はさらに少なくなる点に加えて、子どもがいるならそもそも相続優先順位の関係で相続権がありません。
そのため、義母が遺産を全額もらうと宣言しても相続権自体がないケースも多く、基本的に妻は法定相続分は問題なくもらえるので安心してください。なお、法定相続分は遺産分割の合意ができなかった際に適用するもので、相続人同士で遺産分割の合意ができれば適用しなくても問題ありません。
配偶者である妻が相続を放棄するとどうなる?
義母が夫の遺産を全部もらえるケースもあります。配偶者である妻が相続を放棄して子どもがいない場合です。
ここでのポイントは配偶者が相続を放棄したとしても、子どもがいるなら子どもが相続するということです。相続時には優先順位が重要となっており、配偶者が相続を放棄しても、子どものほうが義母よりも優先順位は高いからです。
子どもに遺産をすべて渡したいと考えた際などに、配偶者が相続を放棄することがあります。他にも遺産相続では資産だけでなく負債も相続するため、計算した結果として負債の方が大きいなら相続を放棄したほうがいいでしょう。ここで重要なのは、遺産相続を無条件で受け入れるのではなく、資産と負債のバランスを考えながら決めることです。
相続放棄をすると初めから相続人でなかったと扱われるため、後から再び相続をしたいと申し出られない点は把握しておきしょう。
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まとめ
原則として、義母が夫の遺産を全部もらうと宣言しても、配偶者である妻は優先的に相続が受けられます。
法定相続分は妻と義母だけで考えると、妻が2/3・義母が1/3になるので金額面から考えても妻のほうが多いです。どれだけ義母が「遺産をもらえる」と強引に進めたとしても、遺産分割の合意ができない場合は法定相続分は保証されるので安心してください。
また、相続を放棄したとしても優先順位は義母よりも子どもにあります。
出典
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー