更新日: 2023.10.02 その他相続

実家の空き家を「0円物件」として手放したいです。本当に0円で譲れますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

実家の空き家を「0円物件」として手放したいです。本当に0円で譲れますか?
相続や遺贈などで取得した空き家は、維持管理の手間や固定資産税などが負担となりやすいです。そのため、利用予定が空き家は手放したいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
 
しかし、所有者にとっても不要な空き家は市場価値が低い傾向にあり、売りたくてもなかなか売れないケースは珍しくありません。
 
本記事では、空き家をめぐる現状や0円物件として手放すときのポイントを解説します。
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全国には約849万戸の空き家がある

総務省統計局が実施した「平成30年住宅・土地統計調査」によると、全国には848万9000戸の空き家があることが確認されました。このうち、その他空き家(所有者が何らかの理由で長期的に不在である・取り壊し予定である住宅)は約349万件にのぼります。
 
このような利用予定がなく、手放したくても買い手がみつからない空き家は、放置してしまうリスクに注意が必要です。
 

空き家の放置は危険

売れる見込みがないからといって、空き家を放置することは危険です。所有者は利用状況に関係なく、不動産を適切に管理する義務を負います。空き家を放置し続けると、「空家等対策特別措置法」に基づき、行政から「特定空き家」に指定されるおそれがあります。
 
特定空き家とは、国土交通省が示す以下の4項目のいずれかに該当する空き家のことです。

・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

行政から特定空き家に指定されると、不適切な状態を改善するよう助言・指導が行われます。助言・指導に従わなければ行政から勧告を受け、住宅用地に適用される固定資産税の優遇措置の対象から外されてしまいます。
 
最終的には、行政代執行により空き家を強制解体されてしまうこともあるため、空き家は放置する前に何らかの対処をしなければなりません。
 

無償譲渡により空き家を手放せる可能性も

不動産売却が難しい空き家でも、無償譲渡の0円物件としてなら手放せるかもしれません。では、個人間で空き家を無償譲渡する際は、どのような費用がかかるのか見ていきましょう。
 
通常、不動産会社に仲介を依頼して物件を売却するときには仲介手数料などがかかります。しかし無償譲渡であれば仲介を依頼する必要がないため、不動産売買における諸費用は発生しません。そのため、原則として譲渡する側に費用はかからないことが多いでしょう。
 
なお、譲渡を受ける側には贈与税などが課せられるためご注意ください。
 

贈与にかかる諸費用は必要

無償譲渡は贈与にあたり、贈与契約書に基づいた不動産の名義変更が必要です。贈与契約書は自分でも作成できますが、司法書士や行政書士に依頼する際には手数料が発生します。
 
また、住宅ローンを組んで取得している物件の場合、抵当権が設定されている可能性があります。ローンを完済しただけで自動的に抹消されるものではないため、抵当権抹消登記の手続きをしなければなりません。抹消登記には、不動産1件あたり1000円がかかります。
 
さらに空き家の状態によっては、リフォームしなければ住めないことも多いでしょう。リフォーム工事にかかる費用についても、誰がどのように負担するのかを取り決める必要があります。無償譲渡の場合は、現況渡しとして譲渡を受ける側が負担するといったパターンが考えられます。
 

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まとめ

空き家などを0円物件として手放すのであれば、原則として費用をかけずに空き家を手放せます。しかし贈与扱いになるため、譲渡を受ける側には費用が発生する点に注意が必要です。
 
さらに名義変更の手続きも行わなければならないので、必要に応じて司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。
 

出典

総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査
国土交通省 住宅局住宅総合整備課 空家等対策特別措置法について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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