実家の相続で争族に? 家を壊して土地を売りたい兄VS共同管理して残したい妹…どうすればいい?
配信日: 2018.08.31 更新日: 2019.05.17
だれも相続したくない実家は一体どうすればいいのでしょうか?
Text:一橋香織(ひとつばし かおり)
相続診断士事務所
笑顔相続サロン代表、全国相続診断士会会長、東京相続診断士会会長
アフィリエイティッドファイナンシャルプランナー【AFP】、2級ファイナンシャルプランニング技能士【国家資格】 、相続診断士、終活カウンセラー上級、家族信託コーディネーター
外資系金融機関を経てFPに転身。頼れるマネードクターとしてこれまで2000件以上の 相続・お金の悩みを解決した実績を持つ。講演・メディア出演(朝日テレビ「たけしのTVタックル」TBSテレビ「Nスタ」「ビビット」など)多数。
日本初のシステムノート型システムダイアリー㈱の『エンディングノート』監修。著書「家族に迷惑をかけたくなければ相続の準備は今すぐしなさい」PHP出版はアマゾン相続部門1位・丸善本店ビジネス部門で1位を獲得する。近著『終活・相続の便利帳』枻出版社。笑顔相続を普及するため専門家を育成する『笑顔相続塾』を主宰。連絡先:https://egao-souzoku.com/
実家はだれも欲しくない?
もし皆さんが、自宅を所有していて親の残した財産が田舎にある実家とある程度の預貯金だったらどうしますか?
ひとりっ子だとしても財産は全て相続するか放棄するかの2択です。きょうだいがいる場合は実家の押し付け合いになるかもしれません。
実家に資産価値があり売却できればいいでしょうが、だれも住まない・売却もできないとしたら?あるきょうだいも、相続にあたり、争いになってしまいました。
感情が更に問題を深刻化する
兄は大学進学時から実家を離れて暮らしていたため、実家に思い入れがありません。妹は30歳近くまで親と暮らしており、実家には特別な感情を持っています。
両親ともに亡くなった後、兄は「実家を取り壊してとりあえず更地にし、少しでも売れるようにしたい」と考えました。妹は「思い出がいっぱい詰まった家はしばらくそのままにして管理したい」と考えました。
それならば、妹自身が「実家を相続して預貯金は兄が相続すればいい」と、考えていたかというと、違っていました。
妹は、「実家はきょうだい共有にし、共同で管理、預貯金は半分ずつ分けたい」と考えていたのです。 結果、「そんな都合のいいことは許せない」と兄が怒りだし、遺産分割協議は泥沼化しました。
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どうすればよかったのか?
まずは、実家の不動産価値をきちんと査定する必要があると思います。また、実家を維持する場合は固定資産税をはじめとして、管理にどれくらいお金がかかるのかを洗い出すことも必要です。もし、解体する可能性がある場合には、解体費用がどれくらいかかるのかなども。
その上で、きょうだいで「どうするのがいいのか」を冷静に話し合いましょう。
それでも話し合いがまとまらなければ、法律の専門家を入れるしかないかもしれません。現実を把握しないで、互いに自分の主張を言い合っても、問題は解決しませんよね。
実家の処分の仕方
では、処分しようと話がまとまった場合はどのような方法があるのでしょうか?
(1)空き家バンクに登録し気長に買い手や借り手がつくのを待つ
(2)自治体に寄付できないか確認してみる
(3)引き取ってくれる不動産会社を探す
(4)相続を放棄する
上記のいずれかを選択することになると思います。
どの方法もベストではないとしても、いずれかを選択して手を打たなければ、実家をめぐる争族がご自身の子どもの代にまで影響するかもしれません。できれば、親が元気なうちに実家についてどうするか家族で話し合って準備をしたいものです。
出典
一般社団法人 移住交流推進機構(JOIN)ニッポン移住・交流ナビ:空き家情報
Text:一橋 香織(ひとつばし かおり)
相続診断士事務所 笑顔相続サロン代表、全国相続診断士会会長、東京相続診断士会会長