更新日: 2023.10.05 贈与

20歳の息子に「ロレックス デイトナ」を贈ろうと思います。税金はかからないですよね?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

20歳の息子に「ロレックス デイトナ」を贈ろうと思います。税金はかからないですよね?
子どもが20歳を迎えたのを機に、なにか特別な贈り物をしたいと思う親御さんもいるでしょう。筆者も先日、相談者から「息子へのお祝いの品にロレックス デイトナを贈りたいのだが、税金はかからないですよね?」との質問を受けました。
 
結論から言うと、高級腕時計などの高価な贈り物には贈与税が発生する可能性があり、この税金は受け取った子どもが支払わなければなりません。本記事では、意外に知られていない贈与税の仕組みについて解説します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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子どもへの贈り物は年間110万円まで

すべての贈り物に贈与税がかかるのかというと、そうではありません。国税庁のホームページでは年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、「社会通念上相当」と認められるものには、贈与税はかからないとの記載があります。
 
「社会通念上相当」とは、どれくらいなのでしょうか。これを考えるには、「1年間の合計でいくら贈与されたか」がポイントになります。
 
「誰からもらったのか」を問わず、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた額に対して贈与税が課されます。言い換えると、年間で110万円を超えるプレゼントをもらわなければ贈与税はかからず、申告も必要ありません。
 
ここで注意しなければいけないのが、基礎控除額はあくまで1年間で贈与された合計額に対するもので、贈る人ごとに設定されているわけではないということです。例えば、20歳の子が同じ年に父から50万円相当の時計、母から50万円相当の宝石の贈与を受けた場合、合計金額は100万円で基礎控除額を下回り、税金はかかりません。
 
一方、父から100万円相当の時計、母から20万円相当の宝石の贈与を受けた場合は、合計金額が120万円で基礎控除額を上回るので、税金がかかることになります。
 
ここでもう一つ注意が必要で、贈与する対象の価格は購入時の価格ではなく、贈与時点での時価評価額になります。新品で新しく購入したものだけでなく、もともと所有してあったものでも、査定で値段がつけば贈与の対象になるということです。
 

贈与税の計算方法

ここからは、具体的な贈与税の計算方法について見ていきましょう。納める贈与税の金額は、次の計算式で求めます。
 
贈与税額=(1年間で贈与された合計額-基礎控除110万円)×税率-控除額
 
贈与税の税率は、贈与者と受贈者との関係によって変わります。具体的には、贈与者が直系尊属(父母、祖父母など)かそれ以外かで分かれており、直系尊属の贈与税が少なく抑えられるよう優遇されています。
 

「直系尊属」から贈与を受けた場合

仮に贈り物を時価評価額500万円の「ロレックス デイトナ」として考えてみましょう。
 
贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の直系卑属(子・孫など)が、直系尊属(祖父母・父母など)から贈与を受けた場合は、「特別贈与財産」として扱われます。特別贈与財産の課税額の算出には、図表1の速算表を使います。
 
図表1

基礎控除後の金額 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190万円
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」より筆者作成
 
親から子にデイトナをプレゼントしたときの課税額は以下の通りです。
 
500万(時価評価額)-110万(基礎控除額)=390万円
課税額=390万円 × 15%(税率) - 10万円(控除額) = 48万5000円

 

一般贈与財産の場合

直系尊属以外から贈与されるケースは「一般贈与財産」として扱います。夫婦間の贈与もこれに含まれます。一般贈与財産の速算表は図表2の通りです。
 
図表2

基礎控除後の金額 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」より筆者作成
 
仮に夫から妻にプレゼントしたとすると、課税額は以下のようになります。
 
500万(時価評価額)-110万(基礎控除額)=390万円
課税額=390万円×20%(税率)-25万円(控除額)=53万円

 
このように、親が子どもにプレゼントしたケースのほうが税金は4万5000円少なくなるのが分かります。
 

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まとめ

本記事では、親から子どもに高価な贈り物をする場合を中心に、贈与税の仕組みを解説しました。ロレックスなどといった高級腕時計は、昨今のインフレで値上がりし、中古市場でも定価を超えた価格で取引されています。「思わぬ税金がかかってしまった!」とならないためにも、まずは相手に確認をすることも大切です。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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