更新日: 2023.11.17 その他相続

祖父の死後、タンス預金「300万円」を発見! 介護をした自分が全額もらって大丈夫? 申告が必要なケースについても解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

祖父の死後、タンス預金「300万円」を発見! 介護をした自分が全額もらって大丈夫? 申告が必要なケースについても解説
高齢者の中には現金をタンス預金にしている人が少なくありません。そのため、死後の遺品整理中に、多額の現金が発見されることがあります。こういった場合には、その現金を誰が相続するかが問題になりがちです。そこで、本記事では相続や相続税の基礎知識と、死亡した親族のタンス預金を発見した場合の対応について解説します。
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相続の基礎知識

相続とは、ある人が死亡したときにその人の財産(すべての権利や義務)を、特定の人が引き継ぐことをいいます。何を誰にどれくらい相続するかは、以下のような方法によって決められます。
 

・遺言書

遺言書は、相続人名と相続する財産や割合などを明記しておく書面です。遺言書に書かれた内容は、そのほかの方法に優先します。
 

・遺産分割協議

遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行って、相続する財産や割合などを決めます。その決定には相続人全員の合意が必要です。
 

・法定相続人

遺産分割協議で合意に達しない場合は、法定相続人による相続に移ります。法定相続人は、民法に規定された相続人が、その順位に従って財産を相続する方式です。ただし、被相続人の配偶者は常に相続人になります。
 
そのほかの法定相続人の順位は、第1順位が被相続人の子ども、第2順位が被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)、第3順位が被相続人の兄弟姉妹です。ただし、第1順位の相続人が死亡している場合は、その子どもの直系卑属(子どもや孫など)が相続人になります。
 

・法定相続分

法定相続分は、法定相続人が相続する場合に適用される相続割合の目安です。配偶者と第1順位が相続人の場合は、配偶者と第1順位が2分の1ずつ相続します。配偶者と第2順位が相続人の場合は、配偶者が3分の2で第2順位が3分の1です。配偶者と第3順位が相続人の場合は、配偶者が4分の3で第3順位が4分の1になります。
 

相続税の基礎知識

死亡した親族の財産を相続すると、相続した財産の額によっては相続税の申告が必要になる場合があります。ただし、基礎控除額の適用などによっては、申告を免除される場合があります。
 

・相続税とは

被相続人から財産を相続した場合にかかる税金が相続税です。相続税は財産を相続した相続人が納税します。
 

・申告が必要なケース

「財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額」が「遺産に係る基礎控除額」を超える場合には、相続税の申告が必要です。「遺産に係る基礎控除額」は、3000万円+(600万円✕法定相続人の数)という計算式で算出できます。
 

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祖父のタンス預金「300万円」は発見者のものになる?

介護していた祖父のタンス預金「300万円」を発見したからといって、発見者が必ず相続できるわけではありません。まずは、祖父の遺言書を読んで、タンス預金について明記されているかどうかを確認してください。
 
遺言書に明記がない場合は、ほかの相続人に伝えて相続人全員で遺産分割協議をしましょう。必ずしも有利に働くわけではありませんが、その際に自分が祖父を介護していたことをアピールするといいかもしれません。遺産分割協議で合意できなければ、法定相続人の規定に従うことになります。
 
孫は法定相続人ではありませんが、第1順位の相続人がすでに死亡していれば、相続人になる可能性があります。なお、相続財産がタンス預金の300万円のみであれば「遺産に係る基礎控除額」を超えないため、相続税の申告は必要ありません。
 

相続財産を黙って自分のものにするのはやめよう

死亡した親族のタンス預金は相続財産のため、必ずしも発見者のものになるわけではありません。タンス預金を発見した場合は、まず遺言書の有無と内容を確認しましょう。
 
遺言書がない場合や、あってもタンス預金に関する明記がない場合は、ほかの相続人に知らせて遺産分割協議を開催します。その席で遺産分割などについて合意できなければ、法定相続人の規定に従って分割することになります。
 
死亡した人を自分が介護していれば、発見したタンス預金を自分のものにしたいと思うのは自然でしょう。ただ、相続財産は人間関係を悪化させる原因になることも多いため、発見したタンス預金を黙って自分のものにすることだけはやめましょう。
 

出典

国税庁 相続税のあらまし

国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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