更新日: 2023.11.19 贈与
祖父母から「現金書留」で月に10万もらっています。贈与税の申告は必要でしょうか?
今回は、祖父母から現金書留で月に10万円もらっている場合、贈与税の申告が必要かどうかを詳しく説明していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
贈与税は年間110万円以上の贈与を受けると発生する
贈与を受けた場合、1年間(1月1日から12月31日まで)に受け取った額が110万円までであれば非課税となり、110万円を超えたときは、合計額から110万円を差し引いた残額に贈与税が発生します。
これは一人の贈与者から受け取った金額ではなく、それぞれの贈与者から受け取った金額の合計額が対象です。例えば、祖父母から合計100万円を1年間で受け取った場合、贈与税は発生しません。
しかし、祖父母それぞれから100万円ずつを1年間で受け取った場合、年間で合計200万円の贈与を受けたことになるため、贈与税が発生します。
祖父母から現金書留で毎月10万円もらっている場合は、年間120万円の贈与を受けていることになります。1年の途中からもらい始めたなど、年間で110万円を超えない場合を除き、基本的には贈与税の申告と納税が必要になるでしょう。
なお、現金書留であるか否かなど、贈与の方法に関係なく贈与税は発生します。
例外的に贈与税が発生しないこともある
受けた贈与が年間110万円を超えても、例外的に贈与税が発生しないこともあります。扶養義務者から生活費や教育費として、必要な都度、直接これらの用に充てるために贈与を受けた場合です。
祖父母は直系尊属に当たるため、扶養義務者となります。このとき、親の存命や資力は関係ありません。つまり、祖父母から毎月10万円もらっても、それが学費や生活費に充てるためのものであれば、贈与税はかかりません(ただし、学費や生活費の名義で受け取ったとしても、貯金したり、遊興費として消費したり、株や不動産などの資産を購入したりしたような場合は、贈与税が課税されます)。
このように、年間110万円を超える贈与があっても、必ずしも贈与税が発生するとは限らないことは知っておきましょう。
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申告と納税の方法は?
贈与税の申告と納税は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、贈与を受けた人が行います。申告先は、原則として、贈与を受けた人の住所を所轄する税務署となります。
申告期限までに正しく申告と納税ができていない場合、本来支払うべきであった税に加えて加算税も発生するため、贈与を受けたら、税についても考えておきましょう。
参考までに、贈与税で発生する税率は、贈与額に応じて最小10%からとなっています。
贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の受贈者が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与された財産については、下記の贈与税の速算表【特例贈与財産用】を、それ以外の贈与財産については、下記の贈与税の速算表【一般贈与財産用】を基に贈与税額を計算します。
仮に毎月10万円、1年間で合計120万円の贈与を受けた場合、税率は10%となるため、実際に発生する贈与税額は(120万円-110万円)×10%=1万円となります。
【表1】
出典:国税庁「財産をもらったとき」
納税と申告の手続きは、e-Taxを利用した電子手続きのほか、郵便や信書便による送付、管轄税務署の窓口にて直接行うことでも可能です。詳細については、管轄となる税務署へご相談ください。
祖父母から月10万円の贈与を受けている場合は贈与税がかかる可能性が高い
祖父母から毎月10万円の贈与を受けている場合、年間での贈与額は120万円となるため、1万円の贈与税の発生が見込まれます。ただし、それが生活費や学費などのためであれば、非課税となる可能性もあります。
贈与税の申告と納税を忘れてしまうと、加算税が課されるなどの不利益が生じることもあります。年間で110万円を超える贈与を受ける見込みがあれば、翌年の2月1日から3月15日までの間にスムーズに手続きできるように、贈与税についても考えておきましょう。
出典
国税庁
タックスアンサー(よくある税の質問) No.4429 贈与税の申告と納税
財産をもらったとき
執筆者:柘植輝
行政書士