更新日: 2023.11.29 贈与

進学祝いに親から400万円もらいました。贈与税は「学生」でも納めなければならないのですか?

執筆者 : 柘植輝

進学祝いに親から400万円もらいました。贈与税は「学生」でも納めなければならないのですか?
金額の大小はあれど、親から進学祝いにお金の贈与を受けるという方がいます。そのとき気にすべき存在が「贈与税」です。親から受け取ったお金に税金がかかることを知らず、後々大きな金額を納めることになってしまっては、せっかくのお祝いが台無しです。そこで、進学祝いにおける贈与税について考えてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

学生でも贈与税を納めなければならないの?

結論から述べていくと、学生でも贈与税は納めなければなりません。
 
贈与税は年間110万円を超える贈与を受けた場合に発生します。そのため、進学祝いに400万円をもらった場合は、贈与税の対象となります。仮に400万円全額が課税対象となった場合、かかる贈与税は33万5000円となります。
 
ただし、贈与税は社会通念上必要と認められる範囲においては非課税とされています。それにかんがみると、進学祝いの金額が400万円などと過大でなければ、贈与税が非課税となる可能性があります。
 
具体的に何円であれば贈与税が非課税となるかは、個別の事情によって異なります。
 

学費に充てるためでも贈与税はかかるの?

400万円の進学祝いが、仮に学費に充てるためのものであったとしても、一括で受け取っていると贈与税がかかる可能性もあります。
 
たしかに、扶養義務者である親から受け取る生活費や教育費は非課税です。そのため、学費に充てられるために贈られた進学祝いであれば、400万円であっても非課税になるのではないかと考えられます。
 
しかし、生活費や教育費として非課税とされるには、贈与されたお金が都度直接それらに充てられることが必要です。400万円は、通常、一人暮らしをしていても都度消費できる金額とは考えにくい額です。すると、生活費や教育費の前払いとして受け取っていても課税される恐れがあります。
 

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もし、贈与税を払わないとどうなる?

贈与税が発生する場合、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、申告と納税が必要になります。そして、贈与税の納税は金銭での一括納税が原則です。万が一期限までに行うことができない場合、原則として年7.3%(納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで)ないし14.6%(納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後)の延滞税がかかります。
 
長年放置していると、延滞税が積もり積もって、大きな額を納税することになる可能性もあります。必ず期限内に申告と納税をすることが大切です。
 

学費である進学祝いの贈与を非課税にするには?

もし、400万円の進学祝いが全額教育費である場合、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」という制度に従って贈与されていれば、非課税となるでしょう。
 
この制度は、親や祖父母など直系尊属から、教育資金に充てるために受け取った金銭が、1500万円まで非課税となるものです。ただし、「金融機関との契約が必要である」など所定の条件を満たす必要があり、事前に手続きが必要です。
 
単に教育資金として贈与しただけではこの制度は利用できないため、既に受け取った金銭について適用させることはできませんが、こういった制度を活用することで、お得に贈与することが可能です。
 

まとめ

進学祝いに400万円を受け取った場合、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」を利用しない限り、33万5000円もの税金がかかる可能性があります。
 
学生であっても、贈与税はしっかり納める必要があります。年間で110万円を超える贈与を受けている学生の方は、必要に応じて住所地を管轄する税務署と相談しながら、適切に納税と申告をするようにしてください。
 

出典

国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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