夫の両親が孫のために「100万円」を贈与! 教育資金なら「贈与税」はかからない? 非課税になるケースを解説
配信日: 2023.12.07
本記事では、教育資金の援助が贈与税の対象になるのか、またどのようにすれば税金がかからないかたちでお金を渡せるのかを解説します。必要な手続きについても説明するので、参考にしてください。
執筆者:小林裕(こばやし ゆう)
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
【結論】教育資金として100万円の援助を受けるケースでは、贈与税がかからないようにできる
結論として、子どもの教育資金として100万円の援助を祖父母から受ける今回のケースの場合、贈与税がかからないようにすることは可能です。
前提として、扶養義務者である祖父母や両親から、子や孫(直系卑属)がもらった教育費が「通常必要と認められるもの」であり、適切な対応を取っている場合においては贈与税の課税対象にはなりません。
贈与税の対象とならない「教育費」は、子や孫の教育で通常必要となる学費や教材費、文具費などです。通学のための交通費や塾の費用なども対象です。教育資金の贈与に関するさまざまなパターンについて解説します。
(1)都度贈与
都度贈与とは、必要に応じ、その都度お金を贈与する方法です。この方法では、今回のケースのように100万円の学費負担が生じた際、その必要分のみを非課税にて贈与できます。
ただし、教育資金として使われたことを明確にする必要があるため、領収書を保管しておく必要があります。また、贈与額や贈与日を明確にしておくことが望ましいです。現金の手渡しではなく、金融機関への振り込みによって、記録を残すとよいでしょう。
この方法においては、「未来に発生する教育費用」のための贈与は、非課税対象外となるケースがあるため、注意が必要です。
(2)暦年贈与
暦年贈与とは、1年間(1月1日~12月31日)の贈与合計額が110万円以下の場合、贈与税が非課税となる制度を活用する贈与方法です。この方法については資金使途の制限がないため、教育以外の生活費や娯楽費などに使っても全く問題がない自由度の高いお金を贈与することが可能です。
都度贈与と比較してのデメリットは、1年間で110万円を超える贈与を行う際、超えた金額が非課税対象外となる点です。
また、都度贈与と同様に、贈与額や贈与日を明確にしておくことが望ましいです。現金の手渡しではなく、金融機関への振り込みを行い、記録を残しましょう。
(3)教育資金の一括贈与
教育資金の一括贈与とは、親や祖父母から30歳未満の子や孫へ、受贈者1人につき教育資金1500万円までを非課税で贈与可能な制度です(塾や習い事、留学などの費用の場合は500万円まで)。この方法では、前項にて紹介した都度贈与や暦年贈与よりも、大きな金額をまとめて贈与できます。
手続きについては、親や祖父母が金融機関(銀行や信託銀行など)と贈与資金管理の契約を結んだ上で、一括で子や孫名義の口座に入金します。受贈者である子や孫は教育資金であることを証明できる領収書などを金融機関に提出することで、その相当額を非課税にて引き出すことができます。
ただし注意点はいくつかあります。一括で入金された金額を使い切る前に、贈与した祖父母や親が死亡した際、受贈者が23歳以上の場合には残額が相続税の課税対象となるケースがあります。また、受贈者が30歳を超えてしまった場合にも契約終了となり、残額が贈与税の課税対象となります。
非課税枠を利用し早めの贈与を
ここまで教育資金贈与の方法について紹介しましたが、税改正は定期的に行われており、現状の非課税制度がいつまで利用できるか定かではありません。
また、贈与を行う側の祖父母や両親の意思判断能力が低下してしまった場合には、贈与が認められないケースもあります。贈与を検討している人は、可能な限り早めの行動を心がけましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
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