更新日: 2023.12.12 贈与
子どもが祖父母や親戚などから高額のお年玉をもらう場合、贈与税はかかるのでしょうか?
結論からいえば、お年玉をもらうことで贈与税はかかりません。贈与税には一定の課税条件があり、お年玉はそれらに当てはまらないからです。本記事では、贈与税の仕組みをはじめ、お年玉に贈与税がかからない理由などを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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贈与税の仕組み
贈与税とは、個人から財産の贈与を受けた際に、取得した財産に対してかかる税金です。贈る側が受け取る相手に対し「財産を贈与します」という意思表示を行い、双方が合意すれば贈与が成り立つ仕組みです。合意がなく一方的な場合は、贈与には該当しません。
なお、贈与税は個人間の贈与に対して課税されるため、法人からの贈与の場合は所得税がかかります。
社会通念上相当と認められるものなら贈与税はかからない
贈与税は原則として、贈与として取得したすべての財産に対してかかります。ただし、お正月にもらうお年玉については、相続税の課税対象の要件を満たしていないため非課税扱いです。
国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」にて「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」については贈与税がかからないと記載しています。
この場合、お年玉は年末年始の贈答、かつ社会通念上相当と認められるものに含まれます。社会通念とは「一般的な常識の範囲内」を意味しますが、明確な判断基準は設けていません。お年玉を贈る側や受け取る側の経済状況などにより、個別に判断される可能性が高いです。
お年玉の金額が、一般的な常識の範囲内なら贈与税はかからないと想定できますが、曖昧な部分もあるので不安なときは税務署に確認するのが安心でしょう。
また、お年玉以外にも、扶養義務者から生活費や教育費(学費や教材費、文具費など)に充てるのを目的に取得した財産で、通常必要と認められるものについても非課税扱いになります。
年間110万円超える場合は要注意
お正月にもらうお年玉については税金がかかりませんが、もらった金額が110万円を超えるほど多い場合は注意してください。なぜなら、1年間(1月1日~12月31日)に取得した財産の合計額が基礎控除額の110万円を超える場合は、贈与税の課税対象になるからです。1人あたりからもらうお年玉の金額ではなく、人数は関係なしにお年玉の総額で計算します。
お年玉が110万円を超えるケースは、めったにないかもしれません。しかし、祖父母だけでなく多くの親戚がいたり、近所からもらえたりするような場合は、お年玉の金額がどのくらいになるのかを必ず確認しておきましょう。
贈与税の対象は現金だけではない
現金でもらうお年玉以外にも、クリスマスや誕生日といったタイミングでもらえるプレゼントの金額にも注意してください。取得財産としてお年玉とプレゼントの金額を合算して、基礎控除額の110万円を超えたら課税対象になるからです。
例えば、お年玉が50万円、誕生日に20万円、クリスマスに30万円のプレゼントをもらった場合は基礎控除額の110万円を超えないので贈与税の課税対象になりません。それに対し、お年玉が50万円、誕生日に30万円、クリスマスに40万円のプレゼントをもらうと、総額120万円となり基礎控除額の110万円を超えて贈与税の課税対象になります。
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贈与税がかかる条件を正しく理解しておこう
お年玉は、年末年始の贈答、かつ社会通念上相当と認められるものに該当するため贈与税はかかりません。しかし、お年玉の総額が110万円を超えている、お年玉以外にも高額なプレゼントをもらっていて総額110万円を超えているような場合は、基礎控除額の110万円を上回るため贈与税がかかる場合があります。
贈与税がかかるほどのお年玉をもらうケースは多くないかもしれませんし、課税対象になるにしてもお年玉を贈る側や受け取る側の経済状況が左右されます。お年玉の金額が高額だった、その他にも高額なプレゼントをもらっているような場合は、税務署や税理士などの専門家に相談して適切な判断基準を確認してみてください。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー