高所得者と結婚した友人が毎月「100万円」もらえるそうです。配偶者なら贈与税は発生しないですか?
配信日: 2023.12.18
そこで今回は、夫婦間での贈与と贈与税について考えてみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
夫婦間の贈与であっても贈与税の課税対象となる
初めに、贈与税の概要について確認していきます。贈与税とは、個人が贈与により財産を取得した際にかかる税金で、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から、110万円の基礎控除を差し引いた金額が課税の対象となります。贈与税の税率は、課税対象となる額に応じて10%から55%です。
表1
出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4408贈与税の計算と税率(暦年課税)」
贈与税は、父母や祖父母、兄弟姉妹、そのほかの者から受けた贈与はもちろん、夫婦間での贈与にも適用されます。
つまり、毎月100万円、年間で1200万円を配偶者からもらっているという場合、基礎控除を超える1090万円の部分には贈与税が発生することになります。
ただし、配偶者から生活費として必要な都度受け取っているケースでは、その100万円が毎月の生活費に直接充てられているのであれば、贈与税の課税対象にはなりません。
例えば、家賃を支払うためとか、家具を購入するための費用などが該当しますが、仮にそれが多少高額であっても、一般常識の範囲内で生活費として使われている以上は、年間で110万円を超える贈与でも非課税となるのが原則です。
そのほかにも贈与税が非課税となる例としては、子どもの教育費などがあります。
もらった100万円を貯金や遊興費に充てている場合は?
もし、配偶者から毎月受け取っている100万円の一部、または全額を自分名義の預金口座に貯金していたり、金融商品や日常生活で必要と認められない物を購入していたり、遊興費などに充てていたりすると、生活費として消費していないという理由で、贈与税が課されることになります。
ただし、こうしたケースであっても、課税されるのは生活費として使われていない部分になります。
例えば100万円のうち、毎月90万円を生活費に充てて、残りの10万円を自身の遊興費に使っていた場合、その10万円は贈与により取得された財産と見なされることになります。
年間では120万円の贈与があったことになるため、贈与税が課税されるのは、基礎控除の110万円を超えた部分の10万円になります。この場合、課税価格は200万円以下ですので、税率は10%となり、1万円の贈与税が発生します。
贈与税は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に、申告と納税をする必要があります。
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居住用不動産を取得する目的なら贈与税が非課税となることも
配偶者への贈与については「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」という特例があります。
この特例は、居住用不動産や、それを取得するための金銭の贈与について、夫婦間では110万円の基礎控除とは別枠で、最高2000万円まで控除できる制度です。
つまり、配偶者から毎月100万円をもらったとしても、年間の合計は1200万円ですので、特例の要件に該当していれば、贈与税が非課税となります。
ただし、特例の対象となるのは、婚姻期間が20年を過ぎたあとに行われた贈与であり、贈与の目的が不動産の取得(贈与の翌年3月15日までに住宅を取得して居住しており、その後も居住する見込みである)に限られています。また、同じ配偶者からの贈与は、一生に一度しか特例の適用を受けられません。
婚姻期間が20年未満で、毎月100万円を生活費以外に受け取っている場合は、特例の適用対象外のため、贈与税が発生することになるでしょう。
まとめ
高所得者と結婚して、毎月100万円を受け取っているというケースでも、それが生活費などの贈与税の課税対象とならない用途に充てられていれば、贈与税は生じません。
しかし、遊興費などに使っていると、それは贈与税の課税対象となります。
夫婦間であっても贈与税は発生するため、配偶者から受け取っている金額と使途によっては、一度、贈与税について確認したほうがよいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)
No.4402 贈与税がかかる場合
No.4405 贈与税がかからない場合
No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:柘植輝
行政書士