両親が「今年中に贈与したほうが有利だ」と、孫にまで「100万円」贈与しようとしています。来年から制度が変わるそうですが、そこまでする必要があるのでしょうか?
配信日: 2023.12.22
更新日: 2025.07.02
2024年から暦年課税(暦年贈与)の持ち戻し期間が3年から7年に延長されます。そのため、今年中に駆け込み贈与をしなければと考えている人もいるかもしれません。しかし、持ち戻しの対象者は相続人に限られているため、孫は持ち戻しの対象外である可能性が高いでしょう。
本記事では、勘違いしがちな暦年課税の持ち戻し期間について解説します。
本記事では、勘違いしがちな暦年課税の持ち戻し期間について解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士
贈与税の暦年課税とは
贈与税は個人から贈与で財産を取得したときにかかる税金です。贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」がありますが、今回は「暦年贈与」とも呼ばれている暦年課税について説明します。
暦年課税は、1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除額110万円を除いた金額に税金がかかる仕組みです。つまり、110万円までであれば贈与税はかかりません。相続税の税率は、1000万円以下で10%、最高の6億円超では55%と遺産の額によって税率が異なります。そのため、長期的に暦年課税を行って相続財産を減らしておけば、相続税の節税が可能です。
贈与の対象者は法的には特に決められていません。したがって子どもや孫が多いほど、贈与を利用して効率よく相続財産を減らせるため有利といえます。特に、通常であれば親から孫への相続は、親から子、子から孫と2回相続税が課税されるところですが、孫への贈与は課税を1世代スキップできるメリットがあります。
ただし、相続開始前の一定期間内になされた贈与は、相続財産に持ち戻されます。これは、相続開始直前の駆け込み贈与によって相続税の課税が回避されることを防ぐためです。
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