親から「300万円」を生前贈与で受け取る予定だけど、税務署から「追徴課税」される場合もあるって本当?「贈与契約書」について解説
配信日: 2023.12.22
本記事では、生前贈与をする際に必要な「贈与契約書」について、注意点も踏まえて解説します。
執筆者:小林裕(こばやし ゆう)
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
贈与契約書がないと税務調査にて生前贈与を否認される可能性あり
「贈与契約書」とは、財産贈与が行われる際に作成する契約書のことです。生前贈与自体は契約書がなくても口頭でも成立しますが、税務調査が実施された際に贈与契約書がなければ、生前贈与が行われていたことを証明できません。そのため、生前贈与が否認される可能性があります。
例えば当事者間では生前贈与と認識していたとしても、贈与契約書がないと税務署は贈与でなく「名義預金」や「貸付金の振込」などと判断する可能性があり、その場合は故人の財産の一部と見なされるため相続税の課税対象となります。
贈与契約書の作成について
生前贈与そのものが否認されてしまうリスクを軽減するためにも、生前贈与をする際には贈与契約書を作成しておくとよいでしょう。贈与契約書の形式について厳密なルールはないですが、贈与の内容を明確に記載する必要があります。具体的には、以下の5つを明確に記載しておくとよいでしょう。
(1)いつ渡すのか
贈与契約締結時の日付および、実際に贈与を行う日付
(2)誰が渡すのか
贈与をする人の氏名および住所
(3)誰に渡すのか
贈与を受ける人の氏名および住所
(4)何を渡すのか
贈与財産の内容および金額など
(5)どのように渡すのか
贈与の方法(銀行振込など)
贈与契約書作成時のその他留意点
贈与契約書は贈与者・受贈者双方にて2通作成し、それぞれが保管します。契約書作成は基本的にパソコン等で打ち込む形で問題ありませんが、署名欄については贈与者・受贈者それぞれの自筆で署名し、捺印は印鑑登録された実印で行うことにより対外的な信頼性が高まります。
また、未成年の受贈者である場合には、受贈者側の親権者も署名および捺印をしましょう。
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生前贈与を行う際には贈与契約書の作成を
税務調査対策の観点からも、生前贈与では契約書を作るのが望ましいでしょう。税務調査にて生前贈与が否認されてしまった場合、贈与税がかかって追徴課税が生じる可能性があるため、生前贈与の意味がなくなってしまいます。贈与者と受贈者のそれぞれが安心して生前贈与を実行できるよう、しっかりと対策を行いましょう。
出典
国税庁 令和5年分贈与税の申告のしかた
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート