更新日: 2024.01.22 贈与
妻が「児童手当はタンス預金する」と言い張っています。「贈与税」を回避したいようですが、児童手当にも贈与税がかかるって本当でしょうか?
本記事では児童手当を全額貯めた場合の総額を計算し、児童手当に贈与税がかかるケースを解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
児童手当の総額は約200万円
児童手当とは中学校を卒業するまでの子どもの養育者に支給される手当のことです。子どもの年齢や第何子かによって支給額は異なります。2024年1月現在、子ども1人あたりの1ヶ月の支給額は次のとおりです。
●3歳未満:一律1万5000円
●3歳以上小学校修了まで:1万円(第3子以降は1万5000円)
●中学生:一律1万円
生まれてから中学校卒業までの児童手当の総額は約200万円になります(第1子、第2子の場合)。ただし養育者の所得によっては、手当が減額されたり支給されなかったりします。
2024年12月には児童手当の支給期間が延長され、高校生にも児童手当が支給される予定です。拡充後の児童手当の総額は240万円になります。また所得制限は撤廃され、すべての子どもの養育者に児童手当が支給されます。
親から子どもへの贈与は原則として税金がかかる
親が子どもに金銭を渡した場合、原則として贈与税がかかります。児童手当は子どもに支給されるものではなく、子どもを養育する親に支払われるものなので親の財産となります。
贈与税の基礎控除額は年間110万円までとなっているため、年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかかりません。しかし、110万円を超えた分に関しては贈与税がかかります。
生まれてから児童手当を全額貯めて約200万円を親から子に贈与した場合、(200万円-110万円)×10%=9万円の贈与税を子が支払わなければいけません。
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タンス預金のリスク
タンス預金は、資産隠しなど法律に触れるイメージがあるかもしれませんが、タンス預金をすること自体は違法ではありません。現金を手元に置いておくことで、災害時や緊急時などキャッシュレス決済ができない場合に役立つこともあるでしょう。
また日常生活において町内会費の集金や、急な不幸での香典などの支払いに現金を用意しなければいけないときなど、タンス預金が役に立つシーンは多くあります。
一方で、タンス預金にはさまざまなリスクもあります。現金を自宅に保管していると、自宅に侵入された場合に盗まれる危険性が高まります。また火事が発生した場合はすべて燃えて失う可能性もあります。
大金を失う危険性を考慮すると手元に置いておく現金は最低額にとどめ、基本的には銀行口座で保管するのが適切といえるでしょう。
贈与税がかからないように児童手当を渡すには
児童手当を贈与する方法によっては贈与税が発生するため、渡し方には注意が必要です。
親の銀行口座に振り込まれた児童手当を子どもの銀行口座に移す場合は、年間110万円を超えて入金しないことがポイントです。お年玉やお祝い金なども課税対象となります。110万円を超えた分に贈与税が発生してしまうため、小まめに入金すると良いでしょう。
しかし、年間の贈与額が110万円未満でも、毎年同じような時期に一定の金額の贈与を繰り返していると「定期贈与」とみなされる可能性があります。
例えば毎年100万円を10年間にわたって子どもに贈与し定期贈与とみなされた場合、合計額の1000万円がすべて贈与税の課税対象となってしまいます。定期贈与を回避するためには、毎年違う金額を違う時期に贈与する、毎年贈与契約を結ぶといった方法があることを頭に入れておくと良いでしょう。
また子ども名義の口座に児童手当を入金するだけでは、子どもの財産として扱われません。贈与を受ける側が贈与について認識し承諾して初めて贈与が成立します。子どもがある程度大きくなったら、児童手当を子ども名義の口座に入金しているという贈与の事実を伝えておきましょう。
まとめ
児童手当の総額は約200万円となるため、子どもにまとめて全額を渡すと基礎控除額の年間110万円を超えた部分に贈与税がかかってしまいます。タンス預金であれば税金を逃れられると考える人もいるかもしれませんが、盗難や災害で大金を失うリスクもあるため、児童手当の保管方法としてはおすすめできません。
年間110万円を超えないように児童手当を贈与し、子どもにも贈与の事実を伝えておくようにしましょう。
出典
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
内閣官房 こども未来戦略方針の具体化に向けた検討について
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:山田麻耶
FP2級