更新日: 2024.02.09 その他相続
親族は仲が良いので「遺産争い」なんて起きない気がします。そんなに心配すべきことなのでしょうか?
本記事では、遺産争いが起きるトラブル内容について解説します。また、対処法についても紹介しますので、遺産争いが心配な人は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
遺産争いの件数
親族仲が良いから遺産争いとは縁が遠いと感じる人もいます。しかし、裁判所の「令和4年 司法統計」によると、遺産分割等の事件数は、家事調停事件の令和4年の新受事件数12万3760件中11.6%で、1万4356件です。年間1万4356件とは家庭裁判所で取り扱われた事件のみでの件数であり、潜在的なトラブルの数はさらに多いといえます。
また、株式会社アシロが運営する「ベンナビ相続」が2023年に行った「相続トラブル調査」によると、遺産争いをしたことがある人は、相続経験者中23%との結果です。約5人に1人が相続トラブルを経験しているため、親族仲が良いから大丈夫だと思っても安心できません。
遺産争いが起きるポイント
遺産争いが起きるのは、どのような内容・相手なのでしょうか。遺産を相続する際でもめやすいのは「遺産を」「誰が」「どれくらいの割合で」相続するかを話し合う段階です。
被相続人の生前に面倒を見たか、これまで交流のなかった親戚が権利を主張してきたかなどで、遺産争いが生まれる傾向にあります。遺産争いの内容や争いの起きるポイントを知っておくことで、事前に対処するための準備をしましょう。
相続トラブル
株式会社アシロが運営する「ベンナビ相続」の同調査によると、遺産争いにおけるもっとも多い相続トラブルは「遺産分割」で約56%でした(複数回答)。遺産分割とは、遺産をどのように分けるかという内容です。
そのほかのトラブルとして多いものは「遺留分」で約33%、「寄与分」で約20%と続きます。遺留分や寄与分といった自分の取り分を主張しあうケースが多いと分かりました。
トラブル相手
相続の際にトラブルになった相手としてもっとも多かったのは、「自分(相続人)の兄弟」で約51%でした。次いで多かったのは、「被相続人の兄弟や甥姪」で約28%、「被相続人の親」で約21%です。
もともと仲が良かったとしても、いざ相続となるとトラブルが起きてしまうケースは見られます。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
遺産争いをしないための対処法
親族仲が良いにもかかわらず、遺産争いが起きてしまうことはありえます。しかし、遺産争いをすると時間や労力がかかる上、親族関係も悪化してしまうなどして良いことはないでしょう。
本項では、遺産争いでもめ事が多いケースおよび、対処法について紹介します。「自分たちは大丈夫」と思わずに、できる対処はしておきましょう。
生前に確認する
被相続人が存命のうちに、遺産相続について確認しておきましょう。チェックしておくと良い項目は主に以下の4点です。
●誰が法定相続人であるか
●法定相続分がどれくらいか
●相続税の負担はあるか
●不動産の分割方法
被相続人の死後、想定しなかった法定相続人が登場してもめるというケースもあります。法定相続分についても確認しておきましょう。法定相続分とは、遺産の取得割合です。法定相続人や法定相続分については民法で定められているため、あらかじめ知ることができます。
相続税がいくらになるかも知っておきましょう。そして、不動産を相続する場合どのように分割するかも話し合っておくと、トラブルを軽減できます。
財産目録を作成し遺産を明確にする
財産目録とは、資産などを明瞭にしたものです。財産目録を作ることで遺産が明確になり、「ほかにも遺産を隠しているのでは?」といった疑心暗鬼を生まずに済みます。
遺産争いをしないために事前に話し合っておこう
親族仲がよくても、遺産争いが起きることはあります。相続人同士でコミュニケーションが不足していたり、疑心暗鬼になったりすることがもめる原因になりえるでしょう。
遺産の扱いや分割について、被相続人を含めて日頃から確認し合い、遺産争いのトラブルをできる限りおさえましょう。
出典
裁判所 司法統計
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
国税庁 No.4155 相続税の税率
株式会社アシロ 相続トラブル調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー