親にもしものことがあれば実家が残ります。誰も住む予定はないのですが、相続放棄はできるのでしょうか?

配信日: 2024.02.10

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親にもしものことがあれば実家が残ります。誰も住む予定はないのですが、相続放棄はできるのでしょうか?
「今、親が住んでいる実家があるけど、今後誰も住む予定がないし、売れそうもないから相続したくない」と考える人もいます。必要ない家を相続したくない場合に相続放棄は可能であるものの、その場合は預貯金などの資産も放棄しなくてはならず、不便を感じることもあるでしょう。
 
本記事では、誰も住む予定のない親の家を継ぎたくない場合、相続放棄の他に利用できる制度について解説します。親の家をどうするか悩んでいる人は参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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住む予定のない実家を相続放棄できる?

現在親が住んでいる実家があるものの、親にもしものことがあった場合に相続したくないと考える人もいます。その場合選択肢として挙げられるのが「相続放棄」でしょう。
 
相続放棄をすることで、誰も住む予定もなく売ることも難しい家を継がずにすみます。しかし相続放棄をする際は大きなデメリットがあるため、本項で解説します。
 

相続放棄は可能

親の住んでいた家を相続したくない場合、相続放棄は可能です。相続放棄をする場合は、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てましょう。
 

家以外の相続も放棄してしまう点に注意

相続放棄をすると、誰も住まない家のみならず、親の預貯金といったすべての資産も相続放棄となります。必要ない家だけを相続放棄する方法はありません。
 
家以外に親に十分な資産がある場合は、相続放棄をしないほうがよいでしょう。
 

土地だけを引き渡せる「相続土地国庫帰属制度」

相続放棄をしてしまうと、資産などの相続権もなくなります。しかし、親の持つ家だけを相続放棄したいといったニーズに対応するために「相続土地国庫帰属制度」がスタートしました。この制度を利用すれば土地だけを国に引き渡せるため、親の資産は相続できます。
 
相続土地国庫帰属制度を利用するためには、対象の相続人であると同時に土地の要件を満たしていなければなりません。本項で詳しく見ていきましょう。
 

土地を引き渡せる人

国に土地を引き渡せるのは、法人をのぞく土地の相続人です。制度が始まるより以前(令和5年4月27日より前)に相続していたとしても申請できます。複数人で相続した場合は、全員で申請しましょう。なお、生前贈与・売買によって得た土地は引き渡せません。
 

引き渡せる土地の要件

どのような土地でも引き渡しができるわけではなく、さまざまな要件を満たしていなければなりません。国に土地を引き渡せない要件について、以下で見ていきましょう。


・建物がある
・担保権、使用収益権が設定されている
・すでに利用が予定されている
・特定有害物質で汚染されている
・境界が不明瞭、所有権について争われている

親の家を国に引き渡す場合、事前に更地にしたり土地の境界線をはっきりさせたりなどしなくてはなりません。その他、以下のように該当すると判断された場合に、不承認になるケースもあります。


・土地の形により管理に費用や労力がかかる
・有体物が地上にある
・隣の土地所有者などと争訟しないといけない

基本的に、管理・処分にあたってお金や労力がかかる場合は、土地を国に引き渡せません。
 

「相続土地国庫帰属制度」の費用

親の家を国に引き渡すための申請には、1筆(登記における土地の単位)の土地あたり、まずは審査手数料1万4000円を納付します。さらに土地の引き渡しが決まったら、管理費として10年分の土地管理費相当額の負担金(1筆20万円が基本)を納めなくてはなりません。
 
家の状態によって、別途家の解体費や土地家屋調査士への依頼などにも費用がかかる点に注意しましょう。
 

申請先

制度を利用する場合は、はじめに法務局へ相談しましょう。相談する際は、法務局のサイトで相続土地国庫帰属相談票やチェックシートなどをダウンロードなどして記入し、家の写真や登記簿謄本などを持っていくとスムーズです。それから申請書類作成・提出し、承認されたら負担金を納めます。
 

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相続放棄か相続土地国庫帰属制度から選ぼう

誰も住む予定のない実家の相続放棄は可能です。しかし相続放棄をしてしまうと、親が持つその他の資産も相続放棄しなくてはなりません。
 
土地のみが不要である場合は、相続土地国庫帰属制度を利用することで、他の資産を相続できるでしょう。住む予定のない家を相続したくない場合は、どちらの制度を選んだほうが良いか検討してください。
 

出典

政府広報オンライン 相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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