子どもが進学するお祝いに、両親から「150万円」をもらいました。これにも「贈与税」がかかりますか? 節税するにはどんな方法があるのでしょうか?
配信日: 2024.02.10 更新日: 2024.02.13
この記事では、教育費と贈与税の関係について解説していきます。
執筆者:沢渡こーじ(さわたり こーじ)
公認会計士
そもそも贈与税とは
贈与とは、無償で金品を取得したり、債務を肩代わりしてもらったりすることです。贈与を受けると、受け取った人が贈与税を支払う必要があります。年110万円までの控除枠があり、1月1日から12月31日までに贈与された金額が110万円以下であれば税金がかかりません。
学費などの教育費の場合
今回は子どもの進学祝いに150万円をもらったというケースですが、基本的に学費の援助や入学祝いは非課税扱いのため、今回のケースでも税金がかからないと考えられます。
ただし、注意点があります。教育費に関しては夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者相互間から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものが非課税になります。いとこや親族など扶養義務者でない人から教育費をもらった場合は該当せず、非課税になりません。
通常認められるものとは
学費が非課税になる要件のうち「通常必要と認められるもの」とは、社会通念上適当と考えられるものになります。具体的には、幼稚園から大学、専門学校など各種教育機関の学費や、文具費・教材費、通学のための交通費といったものが対象になります。
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進学のお祝い金で気を付けること
進学のお祝い金は基本的に非課税になりますが、例えば数年分の生活費や教育費を一括で受け取ったり、もらったお祝い金で株式や家屋を取得したりすると贈与税の対象になるので注意しましょう。
教育資金を一括でもらった場合
教育費を数年分一括でもらう場合、非課税にはなりませんが、2026年3月末までは教育資金の一括贈与に対して最大1500万円まで非課税になる特例が使えます。
ただし特例の適用を受けるには、金融機関に専用の口座を作り、そこに一括で入金しなければいけません。
一括で渡すというのは、一度しか贈与できないというわけではなく、1500万円までの範囲であれば何度でも贈与できるということです。この制度を使うことで、数年分の学費をまとめて贈与することが可能になります。
ただし、前もってまとまったお金を贈与することで祖父母がお金を渡せる回数が減り、孫の喜ぶ顔を見る機会が減ってしまうことになります。
加えて、教育資金の一括贈与の非課税特例は、2026年3月までの適用期限があります。
まとめ
贈与税は毎年110万円までの範囲内であれば非課税になります。また、祖父母からもらう教育資金や進学の祝い金は、社会通念上適当と認められるものであれば贈与税がかかりません。今回のように、子どもの進学祝いに両親から150万円をもらったというケースも通常は非課税になります。
ただし、数年分の教育資金を一括で贈与するような場合は贈与税の対象になります。その場合は専用の口座を作り、一括で口座に入金してもらい、教育資金の一括贈与制度を活用することで1500万円まで非課税になる制度も設けられています。
祖父母からの教育資金は、都度の贈与であれば非課税になると覚えておきましょう。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 「令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(令和5年6月)」
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
執筆者:沢渡こーじ
公認会計士