更新日: 2024.02.25 その他相続

親は「縁起でもない」と言って相続の話を避けています。「事前の話し合い」ってやっぱり不謹慎でしょうか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

親は「縁起でもない」と言って相続の話を避けています。「事前の話し合い」ってやっぱり不謹慎でしょうか…?
家族が亡くなると、葬儀や火葬の手続きなど現実的な話が、いやおうなしに進んでいきます。悲しんでいる暇やのんびり考えている時間はありません。相続もそうです。故人の資産を誰がどのような割合で相続するかを決め、期限内に相続税を納める必要があります。
 
本記事では、そのときになって慌てることがないよう、事前にやっておきたい相続準備について解説していきます。
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これだけは理解しておきたい! 相続に関する基礎知識

あらかじめ理解しておきたいのは、相続に関する基礎知識です。相続の際に最低これだけは押さえておきたいことを簡単に紹介します。
 

・相続の権利がある人

故人(被相続人)の資産を相続できるのは、まず配偶者です。配偶者は常に相続人であり、外れることはありません。配偶者を除く相続順位は1位が子ども、2位は父母、3位は兄弟姉妹です。故人が未婚で親も亡くなっているときは、兄弟姉妹が相続人になります。ただし、これは法定相続人の話で、本人の遺言書がある場合はその内容が優先されます。
 

・相続税の納税期限

相続税の納税期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月目の当日まで」です。通常は、被相続人が亡くなった日が相続開始と考えられています。
 

・相続は放棄することも可能

相続するのは資産だけではありません。故人が抱えていた借金も相続の対象になります。借金の額が多くてプラスの資産を超える場合は、相続を放棄することも可能です。相続を放棄するときは「相続放棄の申述書」と「標準的な申立添付書類」を用意し、家庭裁判所に申請します。
 

アンケートから見る事前にやっておきたいことは?

ここでは、2023年12月6日~12月11日にかけて日本トレンドリサーチが株式会社ニーズ・プラスと共同で行った「不動産の相続」についてのアンケートをもとに紹介していきます。このアンケートによると、62%の人が「事前にやっておくべきだったことがある」と回答しています。では、主な内容を見ていきましょう。
 

・遺言書の存在

先述したように、故人の遺言書があればその内容が優先されます。故人が資産を渡したい人や配分が明確にされているため、話し合う必要はありません。遺言書がないときは法定相続人の順位で相続の権利が与えられ、配分も決めていきます。そのため、予想外の人が口を挟むなどトラブルになることもあります。
 

・事前に相続の配分を決めておく

相続と納税を速やかに進めるには、相続の配分を事前に話し合っておくことも必要です。現金など細かい資産まで把握できていなくても、不動産のような誰もがわかる部分だけでも決めておくといいでしょう。
 

・配分に関する署名と押印

口約束だけでは、いざ相続する段階になってもめる可能性も出てきます。話し合いがまとまったら、書面で残しておくことも大切です。また、普段からもめることがないよう、相続人同士が良好な関係であることも重要な条件です。
 

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相続の対象や思わぬ相続人の存在を押さえておくことも大切

国税庁は、相続の対象になるものを「金銭に見積もることができるすべての財産」としています。土地や建物、預貯金はもちろんですが、預貯金や有価証券、現金も含まれます。美術品や貴金属類なども高価なものは相続税の対象になるため注意しましょう。故人が家族に内緒で取得した不動産がないかどうか把握しておくことも大切です。
 
また「生命保険金」のように死亡によって支払われるお金は「みなし相続財産」として相続税の対象です。故人が在職中に亡くなった場合、死亡にともなって受け取る「退職金」もみなし相続財産として扱われます。
 
相続の段階になってから、面識がない相続人の存在が明らかになることもあります。例えば、親や配偶者が再婚している場合は、結婚前の子どもがいないかどうか把握しておくといいでしょう。亡くなってから知って慌てるという事態を避けられます。
 

相続についてある程度決めておくことは必要

本人がまだ生きているときに相続の話をすると不謹慎に思う人もいます。しかし、そのときになって慌てないよう、最低限のことを決めておくのは大切なことです。いざ亡くなってみると、家族が知らない土地が出てくるなど思わぬ資産が明らかになることもあります。本人に配慮しながら可能なことは進めておき、話し合っておくなど事前準備をしておくといいでしょう。
 

出典

国税庁 相続税のあらまし
裁判所 相続の放棄の申述
日本トレンドリサーチ 「不動産相続の話し合い」に関する調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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