更新日: 2024.03.13 贈与

【タンス預金の時効】5年前に母からもらった「300万円」のタンス預金。時間も経っているので申告はいらない?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【タンス預金の時効】5年前に母からもらった「300万円」のタンス預金。時間も経っているので申告はいらない?
母親から現金などの財産を贈与された場合に、1年間で110万円を超えていれば、申告が必要です。贈与税の申告を忘れると、無申告加算税などのペナルティーを科されるおそれがあります。贈与税には時効もあり、時効が成立していれば、税務署から贈与税を課すことはできません。
 
しかし、不審なお金の動きは把握されてしまうため、実際に時効まで見つからずにいることは難しいといえるでしょう。
 
今回は、贈与税の発生条件や時効についてご紹介します。
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贈与税の発生条件

贈与税は、暦年課税の場合では、1年間で贈与税の基礎控除額110万円を超える贈与を受けた場合に発生する税金です。現金だけではなく、住宅や宝石などの財産すべてが贈与としてみなされるため、注意しましょう。
 
もし贈与税の対象となった場合は、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日の間に申告をして、税金を支払う必要があります。母親から成人している子どもへ贈与した場合の贈与税の税率は、表1の通りです。
 
表1

110万円を引いたあとの金額 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1000万円以下 1500万円以下 3000万円以下 4500万円以下 4500万円超
控除額 0円 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%

※国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)贈与税の速算表 <特例贈与財産用>(特例税率)」を基に筆者作成
 
もし母親から300万円を受け取ったならば、基礎控除額110万円を差し引いた190万円に税率10%と控除額0円が適用されるため、贈与税は19万円になります。
 

贈与税に時効はある?

贈与税の対象となることを知らないまま、月日が経過するケースはゼロではありません。
 
相続税法第37条によると、贈与税の修正や申告は6年たてば時効が成立するため、税務署が贈与税を課すことはできなくなると考えられます。なお、意図的に贈与税を申告しなかったり、うその申告をしたりしたなどの悪質な場合は、時効が7年とされています。
 
しかし、現実的に考えても、時効まで待って贈与税を消失させることはかなり難しい方法です。
 
税務署は、不審なお金の動きをKSK(国税総合管理)システムで把握できるからです。
 
例えば、母親が現金で300万円を引き出して、直接子どもへ渡したとしましょう。税務署は、大きな金額が引き出されたにもかかわらず、母親が使っていないことから、お金の行き先を調べて、子どもに渡ったことを発見する可能性があります。
 
また、子どもがもらったお金を、宝石や住宅購入などに使うと、子どもの預金残高が変動していないのに大きな買い物をしたことから、お金の出どころを調べられる可能性も少なくありません。
 
贈与税の無申告は、無申告加算税などのペナルティーも課されるため、税金の対象になると判明した時点で、申告をしましょう。
 

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贈与税は時効が過ぎる前に見つかる可能性が高いので申請をする

贈与税は、年間110万円を超える贈与に対して発生する税金です。
 
時効も存在しており、うっかり忘れていた場合は6年、分かっていたにもかかわらず、わざと申告しないなどの悪質な場合は7年が時効とされています。5年前にもらった300万円のタンス預金は、時効が来ていないため、贈与税の申告が必要です。
 
税務署は、大きなお金の動きや不審なお金の動きを把握できるため、実際に時効まで待って、見つからずに済む可能性はあまり高くありません。
 
時効までに贈与税の無申告が発覚すれば、無申告加算税などのペナルティーの対象にもなりますので、贈与税が発生することが分かった時点で申告をして、きちんと納税をしましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)
 No.4402 贈与税がかかる場合
 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
デジタル庁 e-Gov法令検索 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号) 第五章 更正及び決定 (贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)第三十七条
財務省 行政事業レビューシートの最終公表(令和元年度実施事業に係るレビューシート) 2.適正かつ公平な課税の実現 事業番号0007 国税総合管理(KSK)システム 参考資料 国税総合管理(KSK)システムの概要
 
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