更新日: 2024.04.25 その他相続

内縁の妻に相続させたいなら? 内縁の妻に財産を残す方法を5つご紹介

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

内縁の妻に相続させたいなら? 内縁の妻に財産を残す方法を5つご紹介
内縁の夫や妻は、残念ながら法定相続人にはなれません。実質的には婚姻と同等の関係や生活状況であっても、婚姻届けが出ていない内縁関係は民法上の「配偶者」ではないため、内縁関係の夫や妻は相続人にはなれないのです。 
 
そのため、相続の制度や特例は内縁関係では準用できないことが多々ありますが、中には内縁関係でも適用でき、最近では法律や自治体および民間の対応も内縁関係に寄り添う姿勢が見られます。
 
この記事では、内縁関係の全体像や2020年の改正民法(相続法)の概要および内縁の妻が遺産(相続財産)を相続する方法とその注意点を解説しています。
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内縁の妻と認められる定義や条件

 
「内縁の夫婦」とは、婚姻届を提出していないものの実質的に婚姻した夫婦が同様の共同生活を送る関係を指します。つまり、内縁関係と婚姻関係の違いは「婚姻届の提出の有無」だけといえます。
 

内縁の定義や条件とは

 
現行の法令では、内縁関係は「事実婚」と呼ばれ、婚姻届を提出する「法律婚」とは異なる取扱いです。内縁関係(事実婚)の要件は下記のとおりです。
 

・お互いに婚姻の意思がある
・一緒に共同生活を送っている

 
ただし、一時的でなく継続的な同居の有無とその期間、家計を同一にしているかどうかの実体や、挙式などの周囲への周知の有無および子どもの存在などの事情が総合的に考慮されます。
 
また、内縁関係は法律婚ではないものの、住民票の記載方法については、内閣府が示した以下の取扱いがあります。
 

<世帯主との続柄の記載方法>

・内縁の夫婦は法律上の夫婦ではないが、準婚として各種の社会保障の面では法律上の夫婦と同じ取扱いを受けているので「夫(未届)、妻(未届)」と記載する。
・内縁の夫婦の子の世帯主(夫)との続柄は、世帯主である父の認知がある場合には「子」と記載し、世帯主である父の認知がない場合には「妻(未届)の子」と記載する。

 
つまり、内縁(事実婚)関係であっても、法律婚と同等の権利を準用する体制が整いつつあるということなのです。
 

内縁関係に準用される婚姻の権利義務や法的保護とは

 
内縁関係が認められた場合に、その当事者には単なる男女の交際関係から一歩進んだ法的な権利義務や保護が与えられます。
 
例えば、内縁の夫婦には、婚姻費用(生活費、住居費、教育費など)の分担や、同居・協力扶助義務(協力して共同生活を送るなど)といった法律婚に準じた権利義務が発生するとされます。
 
また、内縁関係の不当な破棄(一方的な関係解消など)や、不貞行為(内縁関係外の者との深い関係など)についての不法行為責任や慰謝料の支払い義務を認めることがあります。さらには、「内縁関係のなかで築いた財産については共同財産と見なす」といった法的保護も婚姻の規定が準用されます。
 

内縁(事実婚)の妻に相続権は認められない

 
民法で定められている法定相続人と相続順位は下記のとおりです。
 

・常に相続:配偶者
・第一順位:直系卑属(子ども)
・第二順位:直系尊属(父母、父母がすでに死亡しているなら祖父母)
・第三順位:傍系血族(兄弟姉妹、兄弟姉妹がすでに死亡しているなら甥や姪)

 
ただし、この場合の配偶者は法律上の婚姻をしたパートナーをいい、法律婚ではない内縁の妻は法定相続人ではありません。したがって、何十年も共に生活して財産を築いてきた関係で、晩年には被相続人へ献身的な介護をして最期を看取ったとしても、現行法では内縁の妻が法定相続人として財産を受けることはありません。
 
その他にも、下記のように内縁の妻に認められない権利や制度があります。
 

内縁の妻には遺留分がない

「遺留分」とは、兄弟姉妹を除く法定相続人に法律で保証される相続割合のことです。
 
例えば、被相続人が「配偶者には残さずに、子どもに全ての財産を相続させる」としていても、配偶者が最低限相続できる権利割合として、法定相続分2分の1の半分である4分の1が遺留分として認められています。
 
このとき、遺留分が侵害された配偶者は相続財産そのものを取り戻すのではなく、侵害された遺留分の価値(時価など)に相当する金銭を支払うよう請求することになります。この金銭支払の請求を「遺留分侵害額請求」といいます。ただし、内縁の妻はそもそも法定相続人ではないため、遺留分も遺留分侵害額請求権もありません。
 

内縁の妻には寄与分や特別寄与料もない

「寄与分」とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献したとして相続人が、他の相続人よりも財産を多くもらえる制度です。寄与とは、被相続人の家業を無償でサポートしたり介護の世話をしたりする行為が該当しますが、寄与分の対象者は相続人に限ります。したがって、相続人でない内縁の妻に寄与分はありません。
 
特別寄与料とは、寄与分の対象範囲を「その相続の相続人ではない親族」にまで広げたものです。例えば、被相続人の子どもの配偶者(義理の娘)が介護をしていた場合が該当します。こちらも、内縁の妻がそもそも相続人ではないため、特別寄与料は認められません。
 

内縁の妻が親族に代わり手続きするためには?

被相続人が死亡した際に行う「死亡届の申請」や「火葬許可証の申請」は、通常は親族が行います。この申請手続きは親族でなくともできますが、申請者が生前に被相続人と関係があったのかの確認がスムーズになるように、住民票上で「同居人」など同一世帯になるよう届出を行うとよいでしょう。
 

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非嫡出子でも認知をすれば相続権が得られる

 
婚姻関係にある男女の間に生まれた子ども「嫡出子」で、婚姻関係にない男女から生まれた子どもは非嫡出子であり、内縁関係の男女から生まれた子どもは「非嫡出子」に該当します。
 
内縁関係のなかで生まれた非嫡出子が内縁の夫の相続人になれるかどうかは、その子が内縁の夫から「認知」されていたかによります。なお、認知とは「婚姻関係でない両親の間に生まれた子どもを、父親が実の子どもだと認める」ことです。
 

非嫡出子と嫡出子の相続割合は同じ

認知された非嫡出子の相続割合は嫡出子と同じです。
 
以前は、非嫡出子の相続割合は、嫡出子の2分の1と民法で規定されていましたが、憲法第14条にある「全ての国民が平等」という規定に違反しているとの判決を受けて改定されました。
 
この判決にならい民法が改正され、認知された非嫡出子と嫡出子の相続割合は同一となったのです。
 

父親の死後に認知が成立する場合あり

父親が生前に自ら届け出る認知を「任意認知」といい、遺言書の認知は「遺言認知」です。また、父親の死後3年以内に子どもが起こした認知を求める訴えによる認知は「死後認知」といいます。
 
非嫡出子は被相続人の死亡時から戸籍を遡って出生時まで確認し、隠し子がいた場合にその子への認知の有無を調査します。戸籍に認知の記載がなければ、非嫡出子である本人へ認知を求める意向があるかを尋ねます。
 
遺産分割協議後に認知が認められた場合には、認知された非嫡出子が相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを請求できます。
 

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2020年の相続法改正と内縁関係への影響

 
2020年4月1日の改正民法(相続法)によって創設された「配偶者居住権」や「配偶者短期居住権」について解説します。
 
なお、この2つの制度は被相続人の死亡が2020年4月1日以降であり、2つの制度は共に相続人である配偶者のための権利であり、内縁の妻には適用されません。
 
配偶者の新たな権利である「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」を解説します。
 

配偶者居住権

下記の場合には、被相続人の死後も相続人である配偶者がその建物に居住し続けられます。この居住権を第3者へ主張するためには、配偶者と建物所有者が共同で法務局へ登記する必要があります。
 

・相続開始時に、建物を被相続人が単独所有もしくは相続人(配偶者)と共同所有(共有)していた
・相続開始時に、相続人(配偶者)がその建物に居住していた
・「配偶者に居住権を取得させる」旨が、遺言書もしくは遺産分割協議で確認できる

 
ただし、配偶者居住権は「一身専属権」であり、配偶者が死亡すれば終了し、配偶者から誰かへ譲渡や相続はできない権利です。
 

配偶者短期居住権

被相続人が遺言などで「自分の死後直ちに配偶者を家から退去させる」もしくは「家を配偶者以外の者に遺贈する」とした場合でも、配偶者の準備期間として短期的な居住ができます。要件は下記のとおりです。この配偶者短期居住権は登記することができません。
 

・被相続人の配偶者であること
・相続開始時に被相続人が所有する建物に無償で居住していたこと

 
居住できる期間は、遺産分割協議がまとまるまでか、協議が早くまとまった場合でも被相続人が亡くなってから6ヶ月間は無償で建物に住み続けられます。
 

内縁の妻に遺産(相続財産)を相続する5つの方法とは

 
内縁の妻が遺産を相続する5つの方法とは下記のとおりです。
 

(1)生命保険の受取人にする
(2)被相続人に生前贈与をしてもらう
(3)被相続人に遺贈をしてもらう
(4)特別縁故者であることを証明する
(5)婚姻届を提出する

 
それぞれについて解説します。
 

内縁の妻に遺産を相続する方法(1)生命保険の受取人にする

 
内縁の妻が、生命保険契約で「保険金の受取人」になることで、法定相続人ではない内縁の妻も相続財産とは別の形で遺産を受け取れます。
 
死亡時の保険金は、保険契約で指定された受取人の固有の財産と見なされるため、原則として相続人への分配を考える必要はありません。相続財産ではないため、法定相続人の誰かの遺留分を侵害して金銭を請求されるような心配ありません。
 
なお、生命保険金の受取人は戸籍上の配偶者もしくは2親等内の親族となるのが一般的です。しかし、保険会社によっては受取人の範囲が緩和されているケースがあり、保険会社所定の条件をクリアすれば内縁の妻が保険の受取人になることができるのです。
 
保険会社所定の要件の例として下記のものがありますが、念のため各保険会社の契約約款をご確認ください。
 

・お互い戸籍上の配偶者がいない
・一定期間以上生計を共にしている
・一定期間以上同居している

 
ただし、戸籍や住民票などの証明が必要であり、訪問調査を実施する場合もあります。
 
<内縁の妻が死亡保険金を受け取る際の注意点>
内縁の妻が受け取った死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税が課税される場合があります。
 
生命保険金には残された家族の生活を支えるという重要な目的があるため、一定の金額は非課税になります。したがって、下記の計算による金額を受け取った保険金額から控除して、残った金額に対して相続税を課税します。
 

死亡保険金の非課税金額=500万円×法定相続人

 
ただし、これは法定相続人ではない内縁の妻には適用されないため、内縁の妻が受け取った保険金はその全額に対して相続税が課税されることになるのです。
 

内縁の妻に遺産を相続する方法(2)被相続人に生前贈与をしてもらう

 
「生前贈与」なら、法定相続人でない内縁の妻にも生前に財産を渡しておけます。
 
遺言書は、被相続人が自由に何度も内容を更新できるうえに、被相続人の死亡後でも全相続人が遺産分割協議で合意すれば、遺言書の内容とは異なる配分で遺産(相続財産)を受け取ることができます。
 
しかし、生前贈与(被相続人が生前に行う贈与)なら、被相続人が生きていた時点の意思に基づいて財産が受贈者へわたるため、被相続人の生前の意思を尊重する相続人が多い場合には、遺産(相続財産)の配分が少々不均衡でも揉めづらくなります。なお、生前贈与では年間の贈与額が110万円を超える場合に、贈与価額に応じた贈与税がかかるため注意が必要です。
 
ただし、遺留分の侵害や特別受益(相続財産の前わたしと見なす生前贈与)が生前贈与を受けていない相続人から主張されれば、生前贈与を含めた遺産分割協議もしくは相続方法を調停で話し合う可能性があります。
 

内縁の妻に遺産を相続する方法(3)被相続人に遺贈をしてもらう

 
「遺贈」は遺言によって行う贈与であり、被相続人から内縁の妻へ財産を渡す意思が残せます。ただし、全ての相続財産から相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いて残りがある場合には、相続税がかかります。
 
この場合には、相続人ではない内縁の妻も相続人と同様に、相続財産を受け取った者として相続税の申告と納税が必要です。また、内縁の妻が遺贈によって受け取った財産が相続人の遺留分を侵害していると、遺留分侵害額請求を受けて金銭を支払わなければならない場合があります。
 
また、この場合の遺言書は「自筆証書遺言」ではなく、公証役場の公証人に有償で作成してもらう「公正証書遺言」がおすすめです。少しでも相続人と揉める可能性を下げるために、公文書の扱いで証拠能力が高く、偽造や変造の恐れもない公正証書のほうが安心だといえます。
 

内縁の妻に遺産を相続する方法(4)特別縁故者であることを証明する

 
相続人が誰もいない場合に限り、下記のような要件を満たせば「特別縁故者」として遺産(相続財産)を受け取れる可能性があります。
 

・被相続人に法定相続人がおらず、遺言書がない
・その者が被相続人と長らく生計を同じくしていた
・その者が被相続人の療養介護を無償で行っていた
・その者が被相続人の特別縁故者である理由がある

 
ただし、特別縁故者になって遺産を受け取るためには、「家庭裁判所へ自分自身で特別縁故者であるという証拠を添えて申し立てる必要」があります。なお、相続税が課税される状況なら遺産(相続財産)を受け取った特別縁故者は、相続税の申告と納税を行わなければなりません。
 
ちなみに、特別縁故者の証拠として下記のような客観的な証明資料が必要です。
 

・被相続人の財産分与の意思が分かる手紙やメールや日記など
・療養看護の取次状況が分かる文書やメール履歴
・医療費や介護費用の領収書
・介護サービスなどの訪問時の写真や動画
・婚姻と同様の関係であったことが分かる資料

 
これらは内縁の妻からの自己証明が必須であるため、信憑性や説得力のある証拠をたくさん揃えておく必要があります。
 

内縁の妻に遺産を相続する方法(5)婚姻届けを提出する

 
婚姻ができないため内縁関係を選んだのであれば、婚姻することは、最も確実に最優先の相続人になれる方法ですが、現実的になかなか難しいでしょう。また、被相続人の死後には行えない方法でもあるため、事前に十分な話し合いができた場合の選択肢になります。
 
なお、婚姻はその期間の長さに関係なく、「婚姻届を提出して受理されたかどうか」です。ただし、婚姻届提出時に被相続人が婚姻の意味を理解できないほど判断能力を欠いていた場合には婚姻無効の可能性があり、本人が署名できないため内縁の妻が代書した場合には偽証罪の可能性があるため、本人の意思能力や行為能力の有無および程度が関係することも覚えておきましょう。
 

内縁の妻が遺産相続で注意すべき点

 
内縁の妻が遺産(相続財産)を相続するために注意すべきことを解説します。
 

内縁の妻が遺産相続で注意すべき点(1)「内縁の妻」を証明できるようにする

 
内縁関係でも遺産(相続財産)をもらうために、生前贈与以外の方法を選択する場合には、自分が内縁の妻であることを客観的な書類を揃えて証明しなければなりません。
 
この証拠書類のうち最も簡単に揃えられて信憑性が高いものは「同一世帯と記載された住民票」です。内縁関係を判断する要件のひとつ「一緒に共同生活を送っている」ことを、役所が証拠能力の高い住民票で証明してくれれば、客観的書類として申し分ありません。
 

内縁の妻が遺産相続で注意すべき点(2)内縁の夫が高齢の場合は意思能力に注意する

 
贈与、遺贈、生命保険などは契約の締結が必要です。しかし、被相続人が意思能力や判断能力を欠いた状態で行った契約は無効になります。
 
相続を考慮する時期には当事者が高齢であるケースが多いため、内縁の相手方が高齢もしくは認知症の症状があるなら、本人の契約当時の状態を巡って相続人と争う可能性があります。
 
本人の受け答えや行動に不安がある場合には、意識が明確なうちに相談を済ませて手続きを終えるべきです。ただし、せっかくの手続きが無効にならないように、弁護士や司法書士など法律の専門家への相談を検討すべきでしょう。
 

内縁の妻が遺産相続で注意すべき点(3)配偶者に認められる相続税の特例が適用されない

 
婚姻届を提出した法律上婚姻している夫婦の場合は、相続において税務上の特例(相続税が節税できる措置)がありますが、内縁関係にはこの制度が適用されません。
 
図表1は法律上婚姻している夫婦に適用される税務上の特例です。
 
図表1

配偶者の税額控除 配偶者は、引き継いだ遺産が1億6000万円までは相続税が非課税
小規模宅地等の特例 一定の要件を満たす被相続人所有の土地は、分類ごとに本来の評価額から50〜80%が減額される
相続税の2割加算 配偶者と1親等の血族(親もしくは子)以外が遺産を相続する場合は、相続税が2割加算される
※内縁関係の相続は2割加算の対象になる
障害者控除 相続人が障害者の場合、85歳に到達するまでは1年あたり10万円(特別障害者は20万円)まで相続税が控除される

※国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減、No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)、No.4157 相続税額の2割加算、障害者と税 を元に筆者が作成
 

内縁の妻にも認められる相続権利はある?

 
内縁の妻にも認められる相続権利について解説します。
 

内縁の妻にも認められる相続権利(1)相続人の賃借権

 
内縁の妻が被相続人の賃借権自体の相続はできないが、相続人が引き継いだ「賃貸借契約の賃借人の権利」を内縁の妻に準用して、その賃貸物件に住み続ける、という最高裁の判例があります。
 
<参考判例>
建物の賃借人の内縁の妻は、賃借人(被相続人)が死亡した場合には、相続人が相続した賃借権を援用して賃貸人に対し引き続き建物に居住する権利を主張できるが、相続人とともに共同賃借人となるわけではない。
昭和40(オ)1435  家屋明渡請求
昭和42年2月21日  最高裁判所第三小法廷  判決  その他  大阪高等裁判所
 
また、借地借家法代36条代1項では、事実上の婚姻関係相当といえるような内縁関係にある夫や妻が、被相続人がもっていた建物の賃借権を受け継ぐことができるとしています。
 

内縁の妻にも認められる相続権利(2)遺族年金

 
遺族年金は、残された遺族の生活を支えるための年金であり、内縁の妻のように法律上の正式な配偶者でなくとも、所定の要件を満たせば遺族年金が受け取れます。
 
遺族年金は、被相続人によって生計を立ててもらっていた者であればよいのですが、内縁の妻が遺族年金を請求するためには内縁関係を証明する資料を用いて自分で内縁関係を証明しなければなりません。
 

内縁(事実婚)の妻に相続権はないが、遺産をもらう方法はある

 
実質的には婚姻関係であるものの、婚姻届の有無によって相続権や相続税の取扱いには大きな差があります。現行の制度は、献身的な最期の看取りをした内縁の夫や妻にとっては厳しい内容ですが、民法その他の法令や自治体および民間の対応は、内縁関係の当事者に寄り添う方針が見られます。
 
まだ先のこととは思わずに、内縁関係の事実および財産の残し方や配分について、判断能力が確かなうちに当事者間で話し合うことが大切です。その際には専門家の知恵やアドバイスをもらい、間違いなく効率的に進めるように心がけるとよいでしょう。
 

出典

男女共同参画局 いわゆる事実婚※に関する制度や運用等における取扱い
法務局 配偶者居住権とは
はなさく生命 生命保険の受取人は誰にする? 結婚・離婚時などの変更方法は?死亡保険金の受取人に関する疑問を解説!
公益財団法人生命保険文化センター 生活基盤の安定を図る生活設計
国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減
国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
国税庁 No.4157 相続税額の2割加算
国税庁 障害者と税
e-Govポータル 平成三年法律第九十号 借地借家法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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