更新日: 2024.05.15 その他相続
遺産なんて欲しくありません。関わりたくないので「相続人から抜ける」にはどうすればいいですか?
しかし、被相続人との関係において、「関わりたくない」という方もいらっしゃることでしょう。本記事では、相続をテーマに、相続人から抜ける方法について解説します。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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相続人の選択肢は3種類
相続が開始したとき、相続人は、相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、以下の3つのうちいずれかを選択しなければなりません。
・単純承認
・限定承認
・相続の放棄
単純承認とは、相続人が被相続人の全ての権利義務を承継することをいいます。相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、限定承認や相続の放棄をしなかったときは、単純承認をしたものと見なされます。
限定承認とは、相続人が相続によって得た財産の限度で、被相続人の債務などの負担を受け継ぐことをいいます。限定承認をするには、相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、(相続人が複数人いるときは)共同相続人の全員が共同して、家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。
相続の放棄とは、相続人が被相続人の権利義務を一切受け継がないことをいいます。相続の放棄をするには、相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。
「相続人から抜けたい」という方は、相続の放棄をする必要があります。相続の放棄をした方は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものと見なされます。
相続放棄の手続き
先述のとおり、相続を放棄するには、相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。この期間を過ぎてしまうと、単純承認したものと見なされ、相続を放棄することができなくなりますので注意が必要です。
申述をするのは、原則として相続人ご本人です。相続人が未成年または成年被後見人である場合には、その法定代理人が代理で申述します。
申述する家庭裁判所は「被相続人の」最後の住所地の家庭裁判所です。「相続人の」住所地の家庭裁判所ではないので注意してください。
申述に必要な費用は収入印紙800円分と連絡用の(予納)郵便切手代です。連絡用の郵便切手代は申述先の家庭裁判所により異なります。例えば、東京家庭裁判所であれば376円、名古屋家庭裁判所であれば470円です。
申述に必要な書類は以下のとおりです。
・相続放棄の申述書
・標準的な申立添付書類
「相続放棄の申述書」は裁判所(各家庭裁判所)のホームページから入手することができます。「標準的な申立添付書類」とは、「被相続人の住民票除票または戸籍附票」「申述人の戸籍謄本」のほか、申述人と被相続人との続柄に応じた書類のことです。各家庭裁判所のホームページで確認することができます。
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まとめ
相続は、被相続人から相続人へ財産を承継することをいいます。「相続対策」といえば、一般には、相続することを前提としています。しかし、中には「相続をしたくない」「関わりたくない」という方もいらっしゃいます。
とはいえ、相続人の範囲は民法で決められており、ご自身が相続と無関係でいられることはありません。
「相続をしたくない」「関わりたくない」のであれば、ご自身に相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に相続の放棄の申述をしなければなりません。関わりたくないからといってそのままにしておくと、単純承認をしたものと見なされてしまいますので注意が必要です。
相続の放棄の申述は、ご自身で行うことができます。相続の放棄の手続きについては、本記事で解説しております。あなたが相続の放棄をする際、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
出典
e-Gov法令検索 「民法」
裁判所 「相続の放棄の申述」
東京家庭裁判所 「予納郵便切手一覧表(令和5年10月版)」
名古屋家庭裁判所 「『相続放棄の申述』の手続とは…」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー