祖父母が毎年、誕生日に「100万円」を贈与してくれます。110万円以下でも「贈与税」がかかると聞いたのですが、私は大丈夫ですよね…?
配信日: 2024.06.08
本記事では毎年誕生日にお祝いとして祖父母から100万円を受け取るケースを考えます。年間110万円以下の贈与なのに、贈与税がかかるかもしれない理由はなんでしょう? もし払うことになった場合の贈与税金額と対策を解説します。
執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
年間110万円以内であれば贈与税がかからない
贈与税には毎年110万円の基礎控除があります。基礎控除を簡単にいうと、一人ひとりが持っている非課税枠のイメージです。
贈与を受けた財産のうち、110万円分には贈与税がかからないため、1年間に受けた贈与が110万円以内であれば贈与税がかかりません。
したがって、本記事のケースのように年間100万円の贈与であれば贈与税の支払いは不要です。
ただし、毎年もらう100万円以外にも贈与を受けて110万円を超えてしまった年は、当然贈与税がかかります。
贈与税は、会社員の所得税や住民税のように勝手に給与から引かれるものではありません。
翌年の3月15日までに、贈与を受けた本人が確定申告の上、支払わなければならないことに注意が必要です。年齢に関係なく贈与税の支払いは必要なので、子どもの贈与税の確定申告は、親権者が責任を持って行いましょう。
定期贈与の場合は総額に対して贈与税がかかる
国税庁によると、「毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で契約(約束)されている場合には、契約(約束)をした年に、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利(10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。」という記載があります。
つまり、毎年誕生日に100万円の贈与を10年間続けたことが、「毎年100万円を10年間、合計1000万円をもらう権利の贈与」と見なされた場合、1年間で1000万円の贈与を受けたのと同様に扱われるのです。
基礎控除は1年分の110万円しか適用できなくなるため、1000万円から110万円を引いた890万円に対して贈与税が課税されてしまいます。この場合の贈与税は231万円です。定期贈与と見なされてしまうと、2年分以上の金額が贈与税として消えてしまうことに注意しましょう。
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定期贈与と見なされないために気をつけることは?
税務署に定期贈与であると指摘されないためには、贈与の時期と金額を変えると良いといわれています。
1年目は100万円、2年目は90万円、3年目は110万円といった具合に、毎年贈与する金額を変えることで、定期贈与性を否定しやすくなります。また、毎年誕生日に贈与するのではなく、毎年贈与する時期を変えることで単発の贈与だと示しやすくなります。
実際に贈与したという客観的な証拠を残すことも有効です。お金の受け渡しをするたびに「贈与契約書」を作ったり、現金での受け渡しではなく振り込みで送金したりすると良いでしょう。
毎年同じ金額の贈与は避けた方が良い
年間110万円までの贈与には贈与税はかかりません。しかし、毎年同じ時期に同じ金額の贈与を繰り返すことで定期贈与と見なされ、合計金額に対して贈与税が課される場合があるので注意が必要です。
定期贈与となるかどうかは、個別に税務署が判断します。贈与税の課税を避けられるように、毎年の贈与額や時期を変える、毎年単発の贈与をしているという客観的な証拠を残すといった対策を心がけましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士