更新日: 2024.06.08 贈与
祖父から大学の入学祝いで「500万円」もらいました。「非課税だから大丈夫」といわれましたが、本当なんですか? 非課税は「100万円まで」と聞いた気がするのですが…
本記事では、教育資金の一括贈与制度の概要や暦年贈与との違い、制度の注意点などを踏まえて、贈与税の非課税枠を超えた教育資金の贈与について解説します。
執筆者:梅井沙也香(うめい さやか)
FP2級
入学祝いなら500万円でも非課税になる?
入学祝いなど教育資金として贈与する場合は「教育資金の一括贈与制度」が適用されるため、500万円の贈与でも非課税となります。
暦年課税での非課税枠は年間110万円までですが、要件を満たした教育資金の贈与であれば「教育資金一括贈与の非課税制度」が適用され、受贈者1人につき1500万円まで贈与税が非課税です。教育資金の一括贈与制度に該当する要件は次の通りです。
・祖父母などの直系尊属からの贈与であること
・受贈者が30歳未満である(または30歳以上で学校等に在学、または教育訓練を受けている)こと
・受贈者が30歳を過ぎた後も在学している場合は40歳未満であること
・受贈者の前年の所得が1000万円未満であること
教育資金には、入学料や授業料、修学旅行代や試験の検定料などが含まれ、習い事など教育資金に含まれない学校等以外の活動については、1500万円のうち500万円までが非課税となります。
ただし、受贈者が23歳以上の場合は教育訓練給付金対象の受講費のみ非課税の対象となるため注意してください。
制度の適用は2026年3月末までで、制度の適用を受けるためには教育資金口座の開設を行い、「教育資金非課税申告書」を金融機関等の営業所などに提出する必要があります。
贈与者が亡くなると相続税がかかることも
非課税制度を利用した後に贈与者が死亡した場合、贈与された教育資金のうち、口座に残っている金額は相続等により取得したものとみなされ、原則相続税がかかります。課税額は贈与された時期により決められ、時期ごとの課税額は以下の通りです。
・2019年3月31日以前の贈与は「課税なし」
・2019年4月1日から2021年3月31日までの贈与は「贈与者が死亡する前3年以内の贈与額」
・2021年4月1日以降の贈与は「贈与された全額」
なお、2021年4月1日以降の贈与分に課税される相続税については、受贈者が贈与者の子以外(孫など)で一定の要件を満たしている場合、相続税額の2割加算が適用されます。
ただし受贈者が贈与者の死亡日において「23歳未満」「学校等に在学中」「教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練の受講中」のいずれかの場合は、贈与者が死亡した後も贈与された教育資金の残額に相続税は課税されません。
しかし、贈与者に関わる相続税の課税価格の合計が5億円を超え、2023年4月1日以降の贈与分に残額がある場合は相続税がかかるため注意してください。
一括で贈与した教育資金を分割して支払いに充てていく場合は、贈与税だけでなく相続税も考慮して制度を利用するようにしましょう。
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まとめ
本来、贈与を受けた金額には暦年課税が適用されて年間110万円までが非課税ですが、条件を満たした教育資金の贈与では「教育資金の一括贈与制度」が適用され、1500万円まで贈与税が非課税となります。
教育資金の一括贈与制度には、年齢や資金の使い道、受贈者の前年の所得額や制度の期限などといったいくつかの条件があり、制度の適用には所定の手続きも必要です。
また、教育資金の贈与後に贈与者が亡くなった場合、口座内の贈与分の残額には原則相続税が課される決まりで、課税額は贈与時期により異なります。一定の要件を満たしている場合は相続税が非課税となりますが、贈与者の相続税額によっては非課税にならないケースもあるため注意してください。
まとまった教育資金の贈与がある場合は、贈与税や相続税も考慮して、なるべく早いうちから贈与しておくのがおすすめです。
出典
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:梅井沙也香
FP2級