祖母の家にある「100円1万枚」は「タンス預金」ですよね?私の銀行口座に預けたら、課税対象になるのでしょうか?
配信日: 2024.06.19
今回は、100円硬貨1万枚を入金したら課税されるのか、またや、税務署に指摘されるケースなどについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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100円硬貨1万枚だけなら贈与税は発生しない
100円硬貨1万枚であれば、贈与税の控除額の110万円以内におさまるため、贈与税の申告漏れなどを指摘される可能性はほとんどありません。ただし、銀行に預けた年と同じ年にほかの贈与を受け取っていれば、合計金額が110万円を超えて申告漏れを指摘される可能性はあります。
例えば、祖母からもらった100円硬貨1万枚を預ける年に、別で100万円の贈与を受け取っていたとしましょう。すると、当年の贈与された金額は合計200万円となるため、贈与税が発生します。
国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」によると、贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与された合計額より、基礎控除額110万円を差し引き、その金額に応じた税率を乗じて求めるよう定められています。
今回のケースだと、90万円に10%の税率を乗じ、9万円の贈与税がかかることが分かります。
さらに注意したい点が、100円硬貨1万枚を相続財産として祖母から受け取ったときです。相続税は、現金以外に建物や土地、有価証券なども含めた亡くなった方の遺産すべてを合算して税金額を計算します。
もし100円硬貨1万枚のほかに多額の遺産を相続したときに、合計金額が控除額を超えていれば相続税の対象です。相続税の控除額は3000万円+(相続する人数×600万円)で求められます。
例えば、相続をする人数が配偶者と子どもの2人だとすると、控除額は4200万円です。このケースでは、100円硬貨1万枚のほかに4100万円を超える建物や土地といった遺産があると、控除額を超えた分に対して相続税が発生します。
税務署から申告漏れを指摘されるケースとは?
税務署から申告漏れを指摘されるケースとしては、その年に使用した多額のお金が一括贈与や相続財産でないことを証明できないときです。
例えば、祖母から100円硬貨1万枚を受け取り、翌年に100万円、さらに翌年には60万円、硬貨を受け取ってから4年後に40万円の合計300万円を受け取っていたとします。各年の贈与額は、控除金額内なので通常なら贈与税は発生しません。
しかし、この300万円をタンス預金として保管し、あるとき一括で銀行へ預けたとしましょう。税務署は申告された贈与額では大きな収入がないのに口座や買い物などで多額の不審なお金の動きがあると、調査に入ることがあります。
もし口座に大きな入金があった際に調査が入ると、タンス預金は定期的に口座に入れていないため通帳に「控除額内で数年にわたって受け取った」証拠がありません。そのため、「300万円の贈与を数年に分けて受け取ったと虚偽申告をしている」と疑われ、疑いを晴らせなければ300万円に対する贈与税の支払いを求められる可能性があります。
相続財産も同様で、遺産を受け取った方が高額な買い物をしたときなどに、申告された金額と乖離(かいり)している場合は調査を受けるケースがあるため、注意が必要です。
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申告した税金額が間違っていたときの対処法
税金の申告が終わったあとに間違いに気づいたときは、修正申告が必要です。もしタンス預金が贈与税の対象になるにもかかわらず申告をしていないと、滞納や無申告として扱われ追加で徴税される可能性があります。
なお、修正後の金額によっては、延滞税や加算税が加わるケースもあります。税金が加わったときは、増えた分も合わせて納税しましょう。
100円硬貨1万枚のみを銀行口座に入れるなら問題ない
贈与税の控除額は110万円のため、100万円分の100円硬貨を銀行口座へ入れるだけなら基本的に贈与税の対象外です。100円貯金自体はタンス預金ではありますが、課税条件を満たしていないため税金は発生しません。
ただし、ほかにも贈与を受けていたり相続をした財産があったりするときは、課税されるケースもあります。また、実際には一括贈与でなくともタンス預金で集めたお金を一括で銀行口座へ入れると、控除額以上の金額を一括贈与されたと判断される可能性があるため、タンス預金の扱いには注意が必要です。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー