更新日: 2024.06.25 贈与

70歳の母親に「200万円のへそくり」が発覚!「死んだら家族で分けて」とのことだけど、死後の贈与だと「損」になるでしょうか?

70歳の母親に「200万円のへそくり」が発覚!「死んだら家族で分けて」とのことだけど、死後の贈与だと「損」になるでしょうか?
今回はある仲の良い家庭からの相談です。家族全員で夕食を楽しんでいると、急に同居の70歳の母親が200万円ほどへそくりがあると言いだし、家族は全員驚きました。よく聞くタンス預金です。
 
母はただ堅実にお金をためていただけで現時点では特に使い道もないとのことです。また贈与や相続については全く知識がない状態です。そんな家庭の相談内容としては「死ぬまで贈与しない」ことが損になるか? というものです。本記事では、へそくり・タンス預金と税金面について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

生前贈与、死因贈与で「違い」はある?

今回のケースの200万円は、どのタイミングで他者に渡るかで税金面に違いがあります。具体的には生前贈与と死因贈与、相続になります。
 
生前贈与とは、生きているうちに財産を渡すことです。中でも暦年贈与は1年間での贈与額が110万円以下なら非課税になります。
 
ほかにも、日常生活の費用とみなされる場合は贈与税がかからない財産とみなされる場合があり、また、教育資金一括贈与により令和8年3月31日まで1500万円まで教育費が非課税になる場合や、住宅の取得にも非課税になる場合があります。
 
死因贈与とは、贈与者と受贈者の合意(契約)に基づき贈与者が死亡したときに贈与の効力が生じる法律行為で、相続税の課税対象になります。相続税には基礎控除があり、3000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算されます。
 
ほかにも死因贈与と似たものに遺贈があります。遺贈は、遺言書により自分が死んだ場合の財産を渡す方法を示すもので、相続税の対象になります。このようにタイミングによって税金面に違いが生じます。
 

高齢者のタンス預金やへそくりのリスクと注意点

続いてタンス預金のメリット・デメリット、リスクと注意点について、それぞれ紹介します。
 

メリット

・いつでも使える
・相続時の銀行口座凍結の対象にならない
・利子がつかないため、税金がかからない

 

デメリット

・利息が付かない
・インフレに弱い
・災害、盗難により失われる可能性がある
・保管場所を失念する
・相続トラブル

 
このように、タンス預金にはメリットがあるものの、デメリット面も目立ち、特に保管に関わる事と、贈与・相続のトラブルは家族関係において大きなリスクになりえますので注意が必要です。
 

【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断

死ぬまで贈与しない事は損?

今回の件で損か得かを判断するのは難しい部分がありますが、 税金面では亡くなった時に家族にわたるほうが相続税の非課税枠が大きく有利です。
 
しかし、お金は使うタイミングが非常に重要です。母親が亡くなる前に孫の進学などを控えているのであれば、生前に贈与することで贈与税がかからずメリットが大きいでしょう。
 
さらに、お金は使ってこそ価値がある事も忘れてはいけないでしょう。当然、今回の200万円は、母親が自由に使う権利のあるものですから無理に贈与や相続の話を持ち掛けるのは良くありません。
 
とはいえ、保管の問題もありますから母親に少し優雅な旅行などを勧めて、それに同行させてもらったり、1年間のイベントやお祝いを増やして娯楽に充てたりするという選択肢も良いでしょう。
 
1番損をするのは200万円を巡って家族間トラブルになる事です。税金面のことと今後の必要資金、娯楽に充てることのバランスをとることが重要です。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集