更新日: 2024.07.03 その他相続

相続って大変だと聞きますが、わが家は母1人、子どもは私1人だけ。預金も大した額ないので、もしものことがあっても手続きは簡単ですよね?

相続って大変だと聞きますが、わが家は母1人、子どもは私1人だけ。預金も大した額ないので、もしものことがあっても手続きは簡単ですよね?
「相続」と言われても、具体的にはどのような手続きが発生するのかは分からない人も多いのではないでしょうか。「親1人子1人だから相続手続きは簡単」と軽く考えていると、実際の手続きが煩雑で戸惑ってしまうケースもあります。
 
本記事では、一人っ子の場合の相続について、主な手続きや注意点を分かりやすくまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

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一人っ子で財産が少ない場合、法定相続の手続きはシンプル

遺言書がなく法定相続分に従って遺産を分割する場合、遺産の2分の1を配偶者が相続し、残りを子どもが等分します。一人っ子で被相続人の配偶者もいない場合の法定相続では、子どもが唯一の相続人であるため、ほかの相続人と遺産を分割する必要がないぶん、相続手続きはシンプルです。
 
一人っ子の相続で、主にやらなければならない手続きは次のようなものです。

●遺言書の有無の確認
●故人の遺産(預貯金、有価証券、不動産、借金など)の調査
●金融機関での預貯金等の相続手続き
●不動産の相続登記
●相続税の申告・納税

遺産の評価額があまり高くなく相続税の基礎控除額を超えない場合は、相続税の申告・納税手続きも必要ありません。相続税の基礎控除額は、次の式で計算します。
 
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
 
一人っ子で被相続人の配偶者がいないケースでは、法定相続人は1人のため、基礎控除額は3600万円です。故人が所持していた現金や有価証券、不動産、美術品等の動産など、相続税の対象となる遺産の合計額が3600万円を超えていなければ、相続税は発生しません(※生前贈与などが対象となるケースもあります)。
 

注意点(1)一人っ子でも相続人の調査をしたほうがよい

一人っ子で親の配偶者もいない場合、法定相続人は1人です。しかし、このようなケースでも相続人の調査は実施したほうがよいでしょう。
 
なぜなら、「相続人が自分だけだと思い込んでいたら、自分の把握していない前婚の子や婚外子がいた」という可能性がゼロではないためです。自分以外に相続人がいた場合は、法定相続分に従って遺産を分割しなければなりません。
 
相続人を調べるには、親の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本を取り寄せましょう。まずは親の本籍地から戸籍謄本を取り寄せ、本籍が移った記録があれば前の本籍地からさらに謄本を取り寄せることを繰り返して、出生まで書類をさかのぼる必要があります。
 

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注意点(2)遺言書がある場合は手続きが複雑になる可能性がある

親が遺言書を作成していた場合は、手続きが複雑になる場合があるため注意しましょう。
 
まず、遺言の執行者(遺言の内容を実現する人)が指定されていない場合は、家庭裁判所に申し立てて遺言の執行者を選任しなければなりません。そして、自分だけが前財産を相続するのではなく、遺言書の内容に従って遺産を処分(分割、遺贈など)することになります。
 
また、預貯金の相続の際にも、遺言書の内容によって必要書類や手続きなどが変わることがあるため、金融機関で確認する必要があります。
 

注意点(3)相続財産に不動産が含まれている場合は相続登記が必須

相続財産に不動産が含まれていた場合は、必ず相続登記をしなければなりません。相続登記とは、相続した不動産の名義を故人から相続人に変更する手続きです。
 
相続登記は2024年4月より義務化されたため、相続によって所有権の取得を知った日から3年以内に手続きをしなければ10万円以下の過料を科される可能性があります。期限内に戸籍関係書類や申請書をそろえて、当該不動産を管轄する法務局で手続きしましょう(窓口・郵送・オンライン)。
 
3年以内に必要書類をそろえて手続きすることが難しい場合は、「相続人申告登記(相続人であることを法務局に申し出る手続き)」をすると、ひとまずは義務を履行したことになるため覚えておくとよいでしょう。
 
ただし、相続人申告登記だけでは権利関係の証明にはならないため、正式に相続登記を完了するまでは不動産の売却や抵当権設定はできません。
 

親1人子1人の相続手続きはケース・バイ・ケース

同じ親1人子1人の相続であっても、遺産の内容や遺言書の有無などによって、相続手続きの難易度が異なります。いざというときにどう動けばよいか戸惑わないためにも、親が元気なうちに資産の内訳や預貯金の預け先、遺言書をどうするかなどの情報を共有しておくと安心です。
 
また、生前に整理できる財産は現金化して整理するなど、親子で話し合いながら相続対策を進めておくのもよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
裁判所 遺言執行者の選任
一般社団法人全国銀行協会 預金相続の手続に必要な書類
法務局 登記申請手続のご案内
東京法務局 相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)
法務省 相続人申告登記について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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