更新日: 2024.07.23 その他相続

亡くなった父に「借金」があったことが判明。子どもである私に「返済義務」はあるのでしょうか。

亡くなった父に「借金」があったことが判明。子どもである私に「返済義務」はあるのでしょうか。
亡くなった親に借金があることが発覚した場合は、どうすればよいのでしょうか。親の財産を相続したいとは思っても、借金まで背負いたくないと考えるのは誰でも同じでしょう。親の借金を払わないで済む方法は果たしてあるのでしょうか。亡くなった親の借金をそのまま子どもが引き継ぐべきなのか、解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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相続は3種類ある

相続には、以下の3つの種類があります。

・単純承認
 
・限定承認
 
・相続放棄

原則として、相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、この中からどれか1つを選ぶことになります。
 

単純承認

通常の相続は、単純承認のことを指します。単純承認とは、全ての権利を引き継ぐとともに、義務も負うというものです。ここでいう「義務を負う」とは、借金を引き継ぐことです。ちなみに、限定承認や相続放棄をしなければ、自動的に単純承認を選んだことになります。通常の遺産相続では、法定相続人全員が単純承認をして、遺産分割協議を行うのが一般的です。
 

限定承認

亡くなった親にいくらの借金があるか、わからないこともあります。その場合に、相続によって得られるプラスの財産を限度に、借金を引き継ぐのが限定承認です。限定承認は、借金の総額が不明で、それを返済しても財産が残る可能性がある場合に選択します。ただし、限定承認は相続人全員で家庭裁判所へ申述することが条件です。つまり、限定承認は個々に選択できるのではなく、相続人全員が限定承認するか否かの、どちらかしかありません。
 

相続放棄

相続放棄は、全ての財産を引き継ぐことを放棄するものです。亡くなった親のプラスの財産を引き継がない代わりに、借金も引き継がなくて済みます。相続放棄は、相続を放棄したい個人が自由に選択することが可能です。相続放棄が認められると、その人は初めから相続人ではなかったとみなされ、残りの法定相続人で遺産分割協議が行われます。
 
相続放棄を受けるためには、亡くなったことを知ったときから3ヶ月以内(民法第915条1項と民法第938条)に、亡くなった親の最後の居住地を管轄する家庭裁判所で相続放棄の手続きをします。
 

相続放棄の手続き

相続放棄は、以下の手順で行われます。
 
1.遺言書の有無や内容を確認する
 
遺言書があれば、それに沿って財産を分けます。遺言書の内容によっては、借金があっても自分が引き継ぐとは限りません。遺言書がなければ、法定相続人全員で遺産分割協議を行いますが、相続放棄した人は遺産分割協議には参加しません。
 
2.亡くなった親の財産を調べる
 
亡くなった親のプラスの財産も、マイナスの財産も全て洗い出します。
 
3.法定相続人を確定させる
 
民法の定めに従って「相続する権利がある人」が法定相続人となります。(民法887、889、890、900、907、938、939)
 
4.「相続放棄申述書」を作成して提出する
 
相続放棄申述書は、亡くなった親の最後の居住地を管轄する家庭裁判所に、直接持参するか郵送で提出します。
 
5.「相続放棄申述受理通知書」が届く
 
相続放棄が認められると、相続放棄申述受理通知書が届き、相続放棄の手続きが完了します。
 

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もう1つの相続放棄の方法

相続放棄は、家庭裁判所の手続きがなくても可能です。遺産分割協議で「相続しない」と宣言すれば、相続放棄が認められます。しかし、この場合は法的には相続人のままになり、債権者の督促を逃れることはできません。そのため、相続放棄の意思がある場合には、家庭裁判所で手続きをすることをおすすめします。
 
ただし、3カ月では財産の状況を全て調べられない可能性もあるでしょう。このような場合は、相続放棄の期間を延ばしてもらうように、家庭裁判所に申し立てすることも可能です。
 

相続放棄は慎重に

相続放棄が受理されると、基本的には撤回することはできません。あとで新たな財産があることがわかり、借金がなくなったとしても、相続放棄した事実は消えないとされています。そのため、相続放棄は慎重に考えて行う必要があります。自分以外の法定相続人が相続放棄しないのであれば、注意深く事を進めるべきでしょう。
 

出典

相続の放棄の申述 裁判所
相続人の範囲と法定相続分 国税庁
民法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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