更新日: 2019.01.10 贈与
【相談実例】自分の親が子供の教育費を贈与。だけど夫がいい顔をしないんです
それに対して、家計相談に乗っていると、祖父母が孫にポーンとお金を出してくれるケースも思いのほか多く見かけるのです。
今回は、奥様の親御さんからの教育費の贈与をご主人がよく思わず、貯金の目標をどうすればいいかというご相談にお答えしました。
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
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まずは夫婦で「どこまで教育費をかけたいか」を話し合う
「教育費はいくらぐらいかかりますか?」と聞かれることはとても多いです。このご質問に関しては、文部科学省の発表しているデータをもとに「平均的」な数字をお伝えしています。
ですが、掛けようと思えばいくらでもお金をかけることができるのが教育費です。習い事や早期教育のための教材、勉強以外の良さを伸ばすために参加させるイベントなども、大きく言えば教育費になるかもしれません。
そのように計算していくときりがないので、まずは夫婦で「どこまでの進学を金銭的に支援するか」を話し合っていただきたいと思います。
公立高校までというご家庭もありますし、私立の中高を含めて大学4年間まではどんな進路でも応援するつもりがある。はたまた親が医師などの場合には、6年間の公立の医学部までは出すつもりでいるなど、ご家庭によって全く違います。
ここで勘違いしないでいただきたいのは、教育費をたくさん出せる親が偉いというわけではないということです。
教育によって我が子の選択肢が広がるのなら・・・という思いがあったとしても、人生にかかるお金は教育費だけではありません。そのためにも、教育費の上限を夫婦で一度決めていただきたいのです。
教育費を準備できるかを計算する
教育費は、使う時期が比較的わかりやすいのが特徴です。大学費用なら子供が18歳ごろ。ずれたとしても1・2年程度のはずですから、子供のいまの年齢と目的とする金額と時期がはっきりすれば、いまいくらを教育準備資金として貯めていけばいいのかを計算することができます。
足し算・割り算でできるものですが、実はここをきちんと計算していないご家庭も多いのです。子供一人1000万円と漠然といわれてもなかなか準備には至りませんので、「今月いくらためるべきか」まで数字を出してください。
そうすると、その金額が今の家計にとってどのくらいの負担になるのかがわかると思います。
子供がすでに大きくなっていたり、今の収入では教育費に回すことが難しかったりする場合もあります。そんな時は、どんな代替え手段があるかを夫婦で考えましょう。
例えば、目標値を下方修正する。私立は選択肢から外すなどです。子供がある程度大きくなっている場合は、本人の望む進路の中から金銭的負担が許容範囲のところがないか一緒に探すのもよいでしょう。
そして、子供にとっての祖父母に援助をお願いするという手段もあります。夫婦で話し合うことを飛ばして、いきなり一方から援助を受けるのはあまり良いことではありません。
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もらう側がうまく間に入り勝手に決めないこと
今回ご相談に来たお客様の家庭は、奥様のご両親が孫の教育費を出してくれるという話になりましたが、それに関してご主人がいい顔をしないので困っているとおっしゃっていました。
しかし、よく話を聞いてみると、子供の教育費に関して夫婦で話し合ったことはほとんどなかったようです。
「夫は高卒で就職したので、大学資金を出すつもりがないようだった。そんなに余裕もないし、自分のパート収入では貯金できないから親に相談した」とのことでした。奥様としては「くれるんだからいいじゃない」と思ったそうですが、やはりこれはコミュニケーション不足だと感じます。
祖父母は孫のことを思い、他意なく援助してくれていても、やはり経済的に一家を支えているご主人をそっちのけでお金のやりとりを行うのは夫婦間のトラブルの元となりかねません。
奥様がご実家とご主人様の双方の間に立ち、どちらの気持ちも無視することの無いように、上手に立ち回りたいところです。
教育費に限らず、住宅宅取得の場合などにも起こりうるこの贈与の問題。本人同士はそれほど金銭感覚に大きな相違がない場合でも、それぞれの実家の経済状態には差がある場合があります。
お金をもらうというのは想像以上にデリケートなことです。まずは一番身近な家族である夫婦でのコミュニケーションをしっかりとって足並みをそろえることで、あげる側・もらう側、どちらにも嫌な思いが残らないようにしていただきたいと思います。
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者