更新日: 2024.10.21 贈与

「成人祝いに」と父から「フランクミュラー」をもらいました。けっこういい値段だと思うのですが、贈与税などの対象ではないですか?

「成人祝いに」と父から「フランクミュラー」をもらいました。けっこういい値段だと思うのですが、贈与税などの対象ではないですか?
一生に一度しかない成人祝いを奮発して渡す親もいるでしょう。しかし、受け取った側としては、あまりに高額だと税金の対象にならないか不安になる方もいるかもしれません。
 
お祝いとして渡されたプレゼントは、状況によっては課税対象になるケースもあるため注意が必要です。今回は、成人祝いが贈与税の課税対象になるのかや、課税対象にならないための対策などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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成人祝いは贈与税の課税対象にならない可能性がある

贈与税は、1年間で受け取った財産の合計額が110万円を超えていると発生する税金です。そのため、もし「フランクミュラー」(スイスの高級機械式時計メーカー)を通常の贈与として受け取っていた場合には、110万円との差額に対して税金が課されるでしょう。
 
しかし、「成人祝い」として受け取った場合は、110万円を超えていても非課税となるケースがあります。
 
国税庁によると、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」に贈与税はかからないためです。成人祝いも祝物のひとつなので、課税されない可能性があります。
 
ただし、非課税となるのはあくまでも社会通念上相当であると判断される金額の範囲内です。いくらまでが非課税になるのかは明記されていないため、成人祝いとしてもらったものがかなり高額の品だった場合は、意図せず贈与税の対象になる可能性もあるでしょう。
 
受け取った時計が高額で万が一課税対象になった場合は、期限までに納税する必要があるため、専門家や税務署などに課税対象でないか確認しておきましょう。
 

もし課税対象になると税額はいくら?

今回は、1000万円の腕時計を受け取ったとして、贈与税の金額を計算しましょう。
 
贈与税の基礎控除額は110万円です。1000万円から基礎控除額を引いた890万円に対して贈与税が課されます。贈与税は成人している方が直系尊属から贈与されたときに適用される「特例税率」と、それ以外の「一般税率」があり、今回のケースで適用されるのは特例税率です。
 
国税庁によれば、特例税率の場合、890万円のときの税率は30%、控除額は90万円のため、贈与税は177万円が課されます。ただし、ほかにも贈与を受け取っていたときはその金額も含めて計算するため、税額は変わる可能性があります。
 

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課税対象にならないための対策

そもそも基礎控除額の110万円以内の時計であれば、祝物でなかったとしても課税されません。自分で時計を選ばせてもらえる場合は、贈与税の基礎控除額内の商品を選ぶことも方法のひとつです。
 
一方、祝物のほかに扶養義務者から日常生活や教育費のために支払ってもらったお金も、通常必要と認められるものであれば非課税です。時計の代わりに、就職や大学の授業で必要なパソコンなどを購入してもらうと、教育で必要なお金の支援として税金はかからないと考えられるでしょう。
 
なお、すでにプレゼントを受け取ったあとの場合は、課税対象でないか調べる必要があります。もし専門家に問い合わせた結果課税対象になるのなら、きちんと納税しましょう。
 

成人祝いでも高すぎるプレゼントなら課税されるケースも

贈与税は、贈与された財産の合計額が年間110万円を超えていれば基本的に課税対象ですが、成人祝いなど祝物として受け取ったプレゼントであれば超えていても課税されない可能性があります。国税庁によれば、祝物は社会通念上相当とされる範囲であれば非課税と定められているためです。
 
しかし、あまりにも高額なプレゼントは「社会通念上相当である」と認められずに、課税対象となる場合もあります。明確な金額の基準はないため、非課税になるのか分からないときは専門家などへの相談が必要です。
 
もし事前にプレゼントを選ばせてもらえるときは、110万円以内の商品にしたり大学や就職で必要なものを直接買ってもらったりすると、贈与税は課税されないでしょう。可能であれば、プレゼントの内容を自分で選べるか父親に聞いてみるとよいかもしれません。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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