更新日: 2024.10.29 贈与
子どもが生まれたので、これからの「児童手当」は全額貯めて将来プレゼントしたいです。夫は「税金がかかるから使ったほうがいい」と言っていますが、本当ですか?“非課税”で渡せる場合もあるのでしょうか?
そのとき「児童手当とはいえ、子への贈与にあたるのではないか?」という疑問が生じます。もし贈与に該当するのであれば、原則として年間110万円を超える贈与は親族間であっても贈与税が課税されます。
本記事では、児童手当を全額貯めて子どもに渡した際に贈与税がかかるのか、かかる場合の節税方法はあるのかなどについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
児童手当は総額でいくらもらえる?
児童手当は2024年10月分から制度が変わり、大幅に拡充されています。変更された主な点は、所得制限の撤廃、支給対象年齢の引き上げ、第3子以降の増額などです。2024年10月以降に子ども1人当たりに支給される児童手当(月額)は次の通りです。
・3歳未満:1万5000円
・3歳以上小学校修了前:1万円
・中学生~高校生:1万円
この児童手当は第1子・第2子を対象とした金額で、第3子以降は全ての期間で月額3万円が支給されます。
児童手当として受け取れる金額の総額は、生年月日によって受給月数が変わるため一定ではありません。ここでは、3歳未満は36ヶ月(3年間)、3歳以上小学校修了前までは108ヶ月(9年間)、中学生と高校生は合わせて72ヶ月(6年間)の受給月数とします。また、今回の試算は「第1子」であると仮定します。
この場合、各年代で支給される児童手当の金額は次の通りです。
・3歳未満:1万5000円×36ヶ月=54万円
・3歳以上小学校修了前:1万円×108ヶ月=108万円
・中学生~高校生:1万円×72ヶ月=72万円
これらを合計すると、受け取れる児童手当の総額は234万円となります。
贈与税がかかる場合とかからない場合がある
贈与税の基礎控除額は年間110万円、つまり110万円を超えた場合には贈与税の対象となるため、234万円を一括で子どもに贈与すると贈与税が課される可能性があります。しかし、贈与した財産の使途などによっては例外もあります。
生活費や教育費に充てるなど一定の要件を満たせば、非課税
贈与税は原則として贈与を受けた全ての財産に対してかかりますが、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」については贈与税がかからないとされています。
例えば、子どもが親元を離れ一人暮らしをしている大学生で、子の家賃や食費、授業料などで必要なお金を渡しているという場合、この金額は贈与税の対象外です。ただし、一般的な生活費を過度に超えるような金額や、実際には生活費以外の株式や不動産などの買い入れ資金にしている場合には贈与税の対象となるので注意が必要です。
他にも、子どもが取得する住宅資金や教育資金などといった一定の要件を満たせば、贈与税の課税対象外となります。
110万円以下になるように分割して贈与すれば、非課税
また、前記した通り、贈与税は年間110万円を超える贈与に対して課税されますが、言い換えれば、毎年110万円以下であれば課税されません。そのため、例えば今年80万円、翌年70万円、翌々年84万円というように分割して贈与する場合にも非課税となります。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
まとめ
児童手当を全額貯めた場合、200万円以上の金額になり、成長した子どもにプレゼントした場合には贈与税がかかる可能性があります。贈与税には非課税となる条件もありますので、本記事を参考に節税を検討するとともに、課税対象の場合はしっかりと税金の申告をしましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー