2019年、相続のルールが大きく変わる!?

配信日: 2019.01.24 更新日: 2019.07.03

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2019年、相続のルールが大きく変わる!?
2019年は元号が新たに変わるだけではなく、消費税アップなどの大きな話題には欠きませんが、今回は、誰にでも身近な話題である、民法改正についてお話ししたいと思います。

 
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

遺言書がもっと身近になる

遺言には3種類あります。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言です。秘密証書遺言は実質ほとんど使われませんので、自筆証書遺言と公正証書遺言を比較してみます。
 
自筆証書遺言は財産の内容、財産を相続させる人など、全文を自筆で書くことが必須ですので、不備があることが多いものですが、自分で書くということで費用が掛からないという特徴があります。
 
一方、公正証書遺言は費用がかかることと、証人が2人いるため、他人に対してプライベートな情報を見せることになるということ。そして普段滅多に行くことの無い公証役場で作成するのは、ハードルが高いということが特徴でした。
 
2019年、自筆証書遺言についての問題点が解決され、さらに身近になることが予想されるのです。
 

改正により自筆証書遺言のために備えておくべき要件

今回の改正で問題が解決する内容をご紹介します。
 
まず、これまで最も大変だと言われていた財産目録の作成を、パソコンで行える、通帳のコピーを添付できる、遺言者が署名押印できる、ということが可能となりました。
 
預金、証券口座、不動産など、細かい財産の詳細を自筆で行わなければならなかったことを考えると、かなりの省力化となるでしょう。そして、遺言者の死亡後、これまで自筆証書遺言は家庭裁判所に検認手続が必要でしたが、今回新設された法務局の遺言書保管制度を使えば、検認手続が不要となります。
 

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覚えておくと役立つその他の改正

その他、相続に関する大きな改正2つを覚えておくといいでしょう。「配偶者の居住権創設」と「預貯金の払い戻し制度」です。
 
自宅の価格が高額であった場合、改正前は、遺産を分割するためには家を売って現金を確保しなければならない、というケースがありました。しかしそれは、配偶者が慣れ親しんだ自宅から出ていかなければならないということにつながります。それを防ぐために「配偶者の居住権」が創設されました。
 
家の所有者が亡くなっても、その配偶者が亡くなるまでは自宅に住み続けることができ、かつ生活費も受け取ることができるようになりました。
 
また、故人の口座は遺産分割が終わるまで凍結され、預金を引き出すことはできませんでした。しかし、この状態が続くとお葬式代も出せないということがおこっていましたが、今回、一金融機関での上限が150万円と制限はあるものの、遺産分割の前に各相続人が一定額のお金を確保できるようになる「預貯金の払い戻し制度」が創設され、葬式代や、払うべき医療費、光熱費代など、費用を相続人が立て替える必要がなくなります。
 
これらの改正ですが、配偶者居住権は2020年4月1日、預貯金の払い戻しは2019年7月1日、そして、遺言書保管は2019年7月10日に施行されることと決定しましたが、遺言書の方式緩和については2019年1月13日からとなっています。
 
しかし、保管の手数料や保管証明書の交付手数料など詳細についてはこれからです。制度が変わると慣れるまで大変ですし、いま公開されている範囲ではわからない注意点も見つかるでしょう。いずれにせよ、一番早い改正は1月13日です。今後さらに詳細な情報を待ちたいものです。
 
執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
 

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