更新日: 2024.11.15 贈与

息子が大学に進学すると年間160万円ほど学費がかかる見込みです。ウチの両親と義理の両親がお金を出してくれると言っているのですが、80万円ずつ受け取れば贈与税はかからないですよね?

息子が大学に進学すると年間160万円ほど学費がかかる見込みです。ウチの両親と義理の両親がお金を出してくれると言っているのですが、80万円ずつ受け取れば贈与税はかからないですよね?
大学進学には多くの費用がかかるため、親族から教育資金や生活費の援助を受ける家庭も少なくありません。ただし、贈与税が気になる方もいるでしょう。贈与税がかかるかどうかで、大学資金の準備方法が変わってきます。
 
本記事では、贈与税の基礎控除額や教育資金の贈与に関する特例について解説しています。大学進学を控えた子どもがいる方は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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贈与税の基礎控除は年間110万円まで

贈与を受ける際、贈与額が基礎控除額を超えると贈与税がかかることがあります。贈与税の基礎控除額は年間110万円で、贈与税を納めるのは贈与を受けた人です。複数の人から贈与を受けても基礎控除額は変わりません。
 
例えば、同じ年に義理の両親から80万円、実の両親から80万円を贈与された場合、合計160万円となり、基礎控除額の110万円を超えるため贈与税の対象となります。複数の人から贈与を受けても、基礎控除額は全体で110万円に限定されることを理解しておきましょう。
 

贈与税率とシミュレーション

基礎控除後の課税価格に応じた贈与税率と控除額は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

※国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」をもとに筆者作成
 
例えば、年間の贈与額が400万円で、基礎控除後の課税価格が290万円の場合、贈与税は33万5000円(290万円×15%-10万円)となります。基礎控除後の課税価格に応じて、税率は10~55%まで適用され、控除額も異なることを理解しておく必要があります。
 

「教育資金の一括贈与の特例」とは

通常、扶養義務者(親や祖父母、兄弟姉妹など)から生活費や教育費として贈与を受ける場合、日常生活に必要な費用とみなされ、贈与税はかかりません。具体的には、学費や教材費、文具費などが対象です。
 
なお、数年分の教育費を一括贈与する場合や、教育費として幅広い用途に使う場合には、贈与税がかかることがあります。
 
ただし、「教育資金の一括贈与の特例」(教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置)を利用すれば、このような場合でも最高1500万円まで非課税で贈与を受けることが可能です。特例の条件や注意点は、以下のとおりです。
 

特例を適用するための条件

教育資金の一括贈与の特例を適用するための条件は、以下のとおりです。


・受贈者が30歳未満であること
・贈与者が直系尊属(父母や祖父母など)であること
・受贈者の前年所得が1000万円を超えていないこと

 

「教育資金」の使用用途と非課税枠

本特例における教育資金とは、次のような費用を指します。


・入学金
・授業料
・入園料
・保育料
・施設設備費または入学(園)試験の検定料
・学用品費
・修学旅行費
・学校給食費
・塾や習い事の費用
・通学定期券代

非課税枠は1500万円ですが、学校以外の費用に関しては、そのうち500万円までが対象となります。
 

注意点

教育資金の一括贈与の特例に関する注意点は、以下のとおりです。


・学校以外の費用に使える非課税枠は500万円まで
・教育資金に使わなかった場合は課税対象となる
・所得要件がある(受贈者は前年所得が1000万円以内)
・学校債や振込手数料は非課税の対象外
・学校で使用するものを業者から購入する場合は対象外となる

塾や習い事にかかる費用も非課税の対象ですが、学校以外の費用に充てることができる非課税枠は500万円までとなるため、注意が必要です。また、教科書代や給食費、修学旅行代などを学校ではなく業者に支払う場合、1500万円の非課税対象にはならない点にも気をつけましょう。
 

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教育資金を受け取る際は贈与税などに注意しよう

贈与税には基礎控除額として年間110万円があり、この範囲内での贈与には贈与税がかかりません。また、直系尊属からの贈与については、最大1500万円まで非課税となる「教育資金の一括贈与の特例」を受けることができる可能性があります。
 
ただし、資金の用途によっては非課税の対象外となることがあるため、注意が必要です。贈与を受ける際は、事前に税務署などに問い合わせて贈与税の有無や税額を確認しておくと、安心して進めることができるでしょう。
 

出典

国税庁 No.4410 複数の人から贈与を受けたとき
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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