生命保険の受取人を「配偶者」より「子ども」にしたほうが「節税」できるって本当ですか?夫が生命保険への加入を検討しています…。

配信日: 2024.12.12

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生命保険の受取人を「配偶者」より「子ども」にしたほうが「節税」できるって本当ですか?夫が生命保険への加入を検討しています…。
自分にもしものことがあったときに備えて、生命保険に加入している方もいるでしょう。生命保険を契約するときは、受取人を誰にするかよく考えて決める必要があります。
 
もし、配偶者だけでなく、子どももいる場合は、子どもを受取人にした方がよい場合もあります。今回は、配偶者と子どもが相続するときの控除額の差や、生命保険の受取人にするメリットなどについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

相続税の控除金額は配偶者と子どもで異なる

相続税で受けられる控除額は、配偶者と子どもで異なります。子どもが相続する場合は、基本的に基礎控除のみが控除できる金額です。国税庁によれば、相続税の基礎控除は「3000万円+法定相続人数×600万円」です。
 
もし、配偶者1人と子ども1人が法定相続人である場合、基礎控除額は4200万円になります。6000万円が正味の遺産額だった場合、子どもが相続するときは4200万円を超えた1800万円が課税対象です。
 
一方、配偶者は基礎控除に加えて配偶者の税額軽減(配偶者控除)が適用されます。国税庁によると、配偶者控除では配偶者の法定相続分相当額までか、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が1億6000万円までなら控除対象です。先ほどの例だと、もし4200万円を超えて6000万円の相続があったとしても、控除額内なので課税されません。
 

子どもを生命保険の受取人にするメリット

子どもを生命保険の受取人にすると、非課税になる金額を増やせます。生命保険や損害保険などで受け取る死亡保険金の分が一定金額まで非課税になるためです。
 
先述したように、配偶者は配偶者控除として多額の控除枠がある一方、子どもには基本的に基礎控除しかありません。もし、基礎控除を超える金額で相続があったり、子どもにも相続財産を残したりしたい場合、死亡保険金の非課税枠を活用すると、子どもが受けられるメリットも大きくなるでしょう。
 
国税庁によると、「500万円×法定相続人数」が死亡保険金の非課税限度枠のため、法定相続人が配偶者と子ども1人だと、1000万円が非課税になります。
 

生命保険の受取人を子どもにしたときの税額

国税庁によると、相続税は、以下の手順で相続人ごとの税額を求めます。

1.非課税財産などを差し引いた正味の遺産額から基礎控除額を引いて課税遺産総額を求める
2.課税遺産総額を法定相続分であん分する
3.それぞれに税率をかける
4.税額を合計する(相続税の総額)
5.相続税総額を実際に相続した割合であん分する

今回は、以下の条件で生命保険を子どもが受け取ったときと、受け取っていないときの税額を比較しましょう。

●遺産総額は7000万円
●遺産総額のうち生命保険金が2000万円
●法定相続人数は配偶者と子どもの合計2人
●相続財産は配偶者3500万円、子ども3500万円で分ける

まず条件を基にすると、相続税の基礎控除額は4200万円、生命保険金は1000万円までが非課税です。また、課税価格は配偶者と子どもで3500万円ずつ、生命保険金を受け取った方から1000万円を控除して、6000万円が課税価格の合計(正味の遺産額)となります。
 
正味の遺産額6000万円から基礎控除額を引いた課税遺産総額は1800万円、法定相続分は配偶者と子どもで2分の1ずつであるため、2人で900万円ずつになります。国税庁によると、税額は「900万円×10%」で90万円、2人で合計180万円が相続税の総額です。
 
これらの計算を基にすると、子どもが生命保険金を受け取ったときと、配偶者が生命保険金を受け取ったときの税額は表1のようになります。
 
表1

子どもが受け取ったとき 配偶者が受け取ったとき
子ども 配偶者 子ども 配偶者
納税額の計算式 180万円×(3500万円-1000万円)/6000万円 180万円×3500万円/6000万円-配偶者の税額軽減 180万円×3500万円/6000万円 180万円×(3500万円-1000万円)/6000万円-配偶者の税額軽減
実際の納税額 約75万円 0円 約105万円 0円

※筆者作成
 
表1から分かるように、配偶者は配偶者控除が適用されるため、生命保険金の有無にかかわらず税金はかかりません。しかし、子どもは生命保険金があることで、ないときよりも税額が約30万円安くなります。そのため、生命保険金は子どもに受け取ってもらった方が、相続財産にかかる税額を少なくできるため、節税につながるでしょう。
 
なお、国税庁によると、生命保険金を複数人で分けて受け取ったときは、以下の計算式でそれぞれの課税対象になる金額を求められます。
 
・その相続人が受け取った生命保険金額-(非課税限度額)×その相続人が受け取った生命保険金額/すべての相続人が受け取った生命保険金の合計額
 

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生命保険金の受取人を子どもにした方が税金が少なくなる場合がある

相続税の計算をする際、亡くなった方の配偶者には基礎控除のほかに、配偶者控除が適用されます。しかし、子どもには基本的に基礎控除しか適用されません。そのため、同じ金額を相続したとしても、配偶者よりも子どもの方が税額が高くなります。
 
しかし、相続税は生命保険金を受け取った場合、「500万円×法定相続人数」を非課税として計算が可能です。受取人に非課税枠が適用されるため、元から控除額が大きい配偶者よりも、子どもを受取人にした方が節税につながるでしょう。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版) 財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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