子どもの進学費用「200万円」を親から借りようとしたら、「証明として契約書を書くのが条件」と言われました。親子なのに、そこまでする必要はあるのでしょうか?
配信日: 2025.01.07
実は親子であっても契約書なしにお金の貸し借りをすることは、贈与税の観点から考えると好ましいことではありません。
本記事では、親からお金を借りるときに契約書を作ることが、どのようなメリットになるかを解説するので参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
親子間でお金を借りたときでも贈与税の対象になるケースが考えられる
親子間でお金を借りるときには贈与税がかからないと思うかもしれませんが、貸し借りをする際の条件によっては贈与税の対象になるケースが考えられます。
このようなリスクを避けるためにも、親子間でのお金の貸し借りであっても、きちんと契約書を作成することをおすすめします。「金銭消費貸借契約書」とインターネットで検索すれば出てくるテンプレートを活用しましょう。
国税庁で公表されている贈与として取り扱うケースは、「実質的に贈与であるにもかかわらず形式上賃借としている」「ある時払いや出世払いで返済をする」などです。
金銭の貸借として認められるためには、借入金の返済能力や返済状況などを判断します。客観的に見たときに金銭の貸借として問題なければ、贈与税の対象にはなりません。
明らかに返済ができない金額の貸借をすると、借入額と返済能力のバランスが合っていないと思われるリスクがあるので注意してください。
もしも客観的に見て金銭の貸借として認められない内容であれば、借入金が贈与として取り扱われます。今回のケースでは、子どもの進学費用として借り入れた200万円が贈与の対象です。
また、借入金を無利子に設定すると利子に相当する金額の利益を受けたとされ、利益相当額が贈与とみなされる可能性もあります。利益相当額と他の贈与額を合わせた金額が贈与税の基礎控除額110万円以下なら、贈与税はかからず対象外です。
利率については一般的に考えられる範囲であれば、問題ありません。
贈与と判断されないために金銭消費貸借契約書に記載するべき内容とは?
親子間での金銭の貸借を贈与と判断されないためにも、金銭消費貸借契約書は重要な役割を持っています。しかし、どのような内容でもいいわけではなく、ある程度は記載しておくべき項目がある点は把握しておきましょう。
金銭消費貸借契約書のテンプレートに沿って記入します。「契約日の日付」「借主の住所・氏名」「貸主の住所・氏名」「借入金額」「返済期日」「利息や延滞損害金」「返済方法」は記載漏れがないよう注意しましょう。
内容について不備があると贈与と判断されるリスクがあるため、各種項目については抜けや不備がないか注意しなければなりません。
また、返済方法については現金手渡しでは記録に残らないので、銀行振込を活用して記録を残すのがおすすめです。記録に残しておけば、客観的に返済をおこなっているという証拠になります。
金銭消費貸借契約書をしっかりと作成して条件どおり返済をしていれば、金銭の貸借と認められて贈与税はかからないでしょう。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
まとめ
親子間での金銭の貸借は注意しないと借入金が贈与と判断されて、決められている贈与税率に基づいて贈与税が課税されます。このような事態を避けるためにも、金銭消費貸借契約書の作成、銀行振込での返済などがおすすめです。
金銭の貸借が客観的に見ても成立して定期的な返済をしているかが、贈与と判断されないポイントになります。
出典
国税庁 No.4420 親から金銭を借りた場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー