父の葬儀から3年経って「現金500万円」が仏間から出てきました。相続税を追加で払う必要があると聞きましたが、このまま「無申告」で受け取ってはダメでしょうか?

配信日: 2025.01.20

この記事は約 3 分で読めます。
父の葬儀から3年経って「現金500万円」が仏間から出てきました。相続税を追加で払う必要があると聞きましたが、このまま「無申告」で受け取ってはダメでしょうか?
タンス預金は、銀行の普通預金や定期預金などにお金を預けず、自宅でお金を管理する貯金方法です。通帳など記録が残らないため、亡くなった人が遺言に残しておかないと相続税の申告までに発見されない可能性があります。
 
もし相続税を申告・納税した後にタンス預金が見つかっても、黙っておけばバレないのでしょうか。
 
本記事ではタンス預金が相続手続き後に見つかった場合に必要な手続きと、タンス預金が税務署にバレる理由などを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

相続後にタンス預金が出てきたときは相続税の「修正申告」が必要

「タンス預金は記録がない」という性質上、相続の際に相続人がその存在に気付かない可能性があります。
 
相続税の申告後にタンス預金が出てきた場合、「内緒にしておけば税金を納めなくていい」と考える人もいるかもしれません。
 
結論、相続税の申告後に新たな相続財産を見つけた場合は、再度の遺産分割協議をおこなったうえで「相続税の修正申告」が必要です。修正申告をせずに隠し、タンス預金の存在が税務署に知られると、申告漏れとしてペナルティが加算されることになります。
 

タンス預金の時効は「存在を知っていたか」で大きく変わる

相続税には時効があるため、一定期間を過ぎてしまえばタンス預金分の相続税は納めなくていいということになります。
 
ただ、「悪意(相続人がタンス預金の存在を知っていたが期限内に申告しなかった)」か、「善意(相続人がタンス預金の存在を知らなかった)」かで相続税の時効までの期間は異なります。
 
相続税の時効は相続税の申告・納税期限日を起算日として、善意なら5年、悪意なら7年です。例えば相続税の申告・納税日から5年1ヶ月後に初めてタンス預金の存在を知った場合、相続税は時効を迎えています。一方の悪意の場合、相続税の申告期限である「死亡の日の翌日から10ヶ月以内」と7年と合わせると、約8年を経ないと時効が成立しません。
 

【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断

タンス預金の存在が税務署にバレると断言できる理由

「タンス預金をもし見つけてしまっても、税務署が気付く前に隠せばいい」と思う人もいるかもしれませんが、まず不可能だと思ったほうがいいでしょう。
 
税務署は被相続人だけでなく、相続人の口座も金融機関に照会し確認できるからです。例えば相続税の申告後にタンスから500万円が出てきて、2人の相続人が250万円ずつ受け取って口座に入金すると、税務署にタンス預金の存在がバレる可能性が高いです。
 
税務署は通帳記録に加えて、その預金がどのように得られたかをヒアリングしたり実地調査したりする権限を持ちます。そのため、申告漏れ・脱税をしても見つかる可能性が高いといえるのです。
 
仮に口座に入れないまま保管していたとしても、被相続人が口座から出金した履歴を調査されるとタンス預金の存在がバレる可能性があります。
 

正しく修正申告をしなかったときはペナルティがある

タンス預金の存在がバレたときには「追徴課税」が発生することになります。追徴課税は「加算税」「延滞税」の2種類です。
 
加算税は、適切な申告がなかった人に対して加算される罰則的な意味合いがあり、延滞税は申告と納税の遅れに対する課税の意味合いがあります。
 
加算税のうち「無申告加算税」は本来納付すべきだった税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%が加算されます。
 
もしも隠ぺいや仮装など意図的に財産隠しをしたと判断されると「重加算税」として、無申告のケースでは無申告加算税に代えて40%の重課税となるので注意しましょう。
 
延滞税は「期限日翌日から2ヶ月以内」は課税割合が年2.4%、「2ヶ月超」は年8.7%の納税が必要です(令和7年12月31日まで)。
 

まとめ

相続税後の申告・納税後にタンス預金が出てくると「秘密にしておけばバレないのでは?」という考えが浮かぶかもしれません。ただし、実際には税務署はさまざまな方法を用いて財産の行方を調べることができます。
 
隠したときの代償はあまりにも大きいため、タンス預金が見つかった時点で正しく申告をするようにしましょう。
 

出典

国税庁 No.9205 延滞税について
財務省 加算税の概要
財務省 国税総合管理(KSK)システムの概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 夫の家事への不安に関するアンケート ライターさん募集