父が亡くなり、自分が「実家の土地」を相続! 先日兄から「相続登記は済ませたか」と聞かれましたが、司法書士に頼むと10万円もかかるし、期限もないなら放っておいて大丈夫ですよね?
配信日: 2025.01.23
その際、土地の「相続登記」をする必要があるのですが、登記をするには司法書士への依頼費用や手間がかかるため、後回しや、放置してしまっているという人もいるかもしれません。
しかし、登記に費用がかかるからと放っておいて本当に問題ないのでしょうか?本記事では、相続登記に関するルールや、土地の相続人が決まらない場合の対応などについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続登記とは?
相続登記は、正確には「相続による所有権の移転の登記」と言います。土地や建物を所有している人が亡くなったときに、その土地や建物の登記簿の名義を相続人へ変更する手続きのことです。
相続登記は元の所有者が亡くなり相続が発生したときに自動的に行われるのではなく、土地や建物の相続人が、法務局に申請する必要があります。その際、主に次のような費用が発生します。
・登録免許税:土地や建物の固定資産税評価額×税率0.4%
・戸籍謄本や住民票など各種証明書の取得費用:数千円~
・司法書士などに支払う報酬:平均7万円前後
相続登記は2024年4月から義務化された
全国にある持ち主不明の土地の合計面積は、九州の大きさに匹敵するとも言われています。
持ち主不明の土地は、公共事業や民間取引といった土地の活用がしづらくなることに加え、土地が管理されず、周辺の土地に悪影響を及ぼすなどの理由から問題になっています。持ち主不明の土地が発生する主な理由は、相続時に登記が行われていないことです。
これまで相続登記は任意だったため、相続した土地や建物に大きな価値がなかったり、売却が難しかったりした場合に、費用や手間とのバランスが見合わず、相続登記をしない相続人がいました。
そこで、国は2024年4月から相続登記を義務化しました。相続登記の義務化に関するポイントは次のとおりです。
3年以内に申請が必要
相続により土地や建物の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請が義務付けられました。
例えば、2024年4月に土地を相続していたとすると、2027年3月末までに相続登記の申請が必要です。遺産分割協議が行われた場合は、遺産分割が成立した日を起点として、そこから3年以内に相続登記を申請する必要があります。
義務化になる前の相続も対象になる
2024年4月以前に相続した土地や建物も、相続登記義務化の対象です。義務化の前に相続したことを知った土地や建物は、2027年3月31日までに相続登記の申請が必要です。
ただし、義務化の前に発生した相続でも、自分が土地や建物を相続していたか分かっておらず、結果的に相続したことを知ったのが2024年4月以降だった場合は、相続を知った日から3年以内が期限となります。
過料が科される可能性がある
正当な理由がないにもかかわらず相続登記を申請しなかった場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。
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土地の相続人が決まらない場合の救済制度がある
相続登記が義務化されたとは言え、例えば遺産分割協議がまとまらないなどの理由で、すぐに相続登記を申請できない場合があります。そのようなときでも相続登記の申請義務を果たすことができる「相続人申告登記」という制度が2024年4月に創設されました。
この制度は相続人全員ではなく単独で申請が可能となっており、ひとまず相続登記の義務を果たせます。
ただし、申告した相続人のみが義務を履行するだけなので、ほかの相続人に効果は及ばないほか、相続登記と違って、不動産について権利関係を公示するものではない点には注意が必要です。
また、遺産分割協議の結果、土地を相続することが確定した場合は、改めて相続登記が必要になりますので、手続きの手間が増えるだけになる可能性もあります。相続登記の期限は3年なので、期限までに相続登記が間に合わない可能性が出てきてから相続人申告登記を検討しても遅くないでしょう。
土地を相続したら3年以内に登記を行いましょう
持ち主不明の土地の課題解決に向けて、2024年4月から相続登記が義務化されました。相続を知った日、または遺産分割が成立した日から3年以内に申請しない場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。
土地や建物を相続することになったり、既に相続していたりする場合は、忘れずに登記を行うようにしましょう。
出典
政府広報オンライン 相続登記が義務化! 所有者不明土地を解消する不動産・相続の新ルールとは?
法務省 所有者不明土地の解消に向けて、不動産に関するルールが大きく変わります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー