<相続税対策>遺言状は大別して2種類 自筆証書遺言と公正証書遺言
配信日: 2017.08.29 更新日: 2019.01.08
遺言状を書こうと思っても、実際はどのような形式で書いたらいいのか悩んでしまいます。とくにせっかく作成した遺言状に不備があり無効になってしまっては、思い通りの相続ができなくなります。
遺言状にはいくつかの種類がありますが、大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言の二つが基本で、それぞれに長所と短所があります(この二つ以外にも、中間的なものとして秘密証書遺言がある)。どちらの方法を選ぶかは、それぞれの特徴を理解したうえで決めてください。
自筆証書遺言
本人が自筆で記載するもので、いくつかの決まりに沿って仕上げることが大切です。遺言の内容の全文と日付を手書きで作成したうえで、署名と捺印をします。用紙の種類・サイズ、筆記用具の選択は自由ですが、必ず自筆で書く必要があり、パソコンなどで作成したものは無効になります。日付の記入がない、捺印がないといったものは、遺言状の効力を発揮しません。
自筆証書遺言のメリットは、①自宅で作業ができるため、コストがかからない、②記載内容を他人に知られることなく、すべて秘密にできる、③時間の経過とともに、気持ちが変わっても書き直しも出来る、があげられます。
ただし反対にデメリットもあります。①日付の記載を忘れたなど、書式を間違えると無効になる、②わかりにくい場所にしまったため、誰からも発見さない場合がある、③家庭裁判所に検認を受ける手続きが必要になる、などです。
公正証書遺言
本人が2人の証人とともに公証役場へ出向き、遺言の内容を口頭で伝え、それを公証人に記載してもらいます。作成した遺言状を、本人、2人の証人、公証人が内容を確認のうえ署名・捺印をします。これを公証役場で保管してもらい、相続が発生した時点に公開します。遺筆証書遺言と比べ、確実性の高い遺言状が作成できます。病気などで身体的自由が利かない人は、公証人を自宅や病院へ呼んで作成することができます。また、2人の証人は第三者に依頼することが必要です。作成者の親族にあたる人や、公証人の親族、また未成年者は、この証人になる資格がありません。
公正証書遺言のメリットは、①保管場所が公証役場なので、安全性が高く紛失しない、②公証人が作成するため、記載漏れがなく遺言状が無効になることはない、③家庭裁判所の検認を受けるが必要ない、があげられます。
反対にデメリットとしては、①作成にあたり2人の証人を依頼する必要がある、②遺言状作成のための手数料がかかる、③相続予定者など親族を証人にできない、などがあげられます。
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秘密証書遺言
この秘密証書遺言は二つの中間にあたるものです。自分で書いて封印し、2人の証人とともに公証役場に出向き、本人が書いたものであることを確認してもらいます。きちんと封印したうえで、自分で保管します。書き方に不備があれば無効になるのは、自筆証書遺言と同様です。ただし遺言状自体は自筆で書く必要はなく、パソコン等で仕上げたものでも構いません。秘密も保持できますし、証人がいるので、遺言が発見されないこともありません。
自筆証書遺言と公正証書遺言、あるいは秘密証書遺言のいずれかを選ぶかは、遺言を書く人の判断です。どうしても秘密保持を優先し、内容を書き換える可能性もあるならば、自筆証書遺言を選ぶのがいいと思います。ただし、記載ミスなどで無効になる、未発見や紛失の恐れがあるなどのデメリットがあるため、遺言状の確実性を重視するなら、公正証書遺言を選択が無難かと思います。