更新日: 2019.06.19 葬儀
なぜ?あんなにも揉める?世間をにぎわしている【争族】
この法律の施行で「妻」に対しての財産分与が大幅に守られました。長年連れ添い、夫を支えた「妻」に対して、とても素晴らしい法律だと思います。
しかし一方で、離婚も珍しくないこのご時世。熟年者の再婚も増えています。やはり、老後の一人暮らしは不安なもの。側に面倒をみてくれる人が欲しい気持ちもよくわかります。しかし、子供がいる人が再婚すると、将来的に問題になるのが、相続問題です。
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
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法定相続人とは!?
人が亡くなりと、その方が持っている資産を親族で財産分与を行います。しかし、親族誰もが財産分与ができるわけではなく、そこには「財産分与できる親族」と「順位」「配分」というルールが法律で決められています。民法で決められた財産を相続する人のことを『法定相続人』といいます。
ただし、法定相続人の子供や兄弟姉妹が既に亡くなってしまった場合には、孫や甥・姪が「代襲相続人」としてそれを引継ぎます。
配偶者は常に相続人
配偶者は第一に相続人となる権利があります。他の親族がいる場合は、その親族との関係(順位)により、妻の相続割合が変わってきます。
昭和55年の相続改正に伴い、配偶者の法定相続分が引き上げられました(以前は、子と相続する場合は3分の1、直系尊属と相続する場合は2分の1、兄弟姉妹と相続する場合は3分の2でした)。また、妻の要件には当たり前ですが規定はありません。例えば、父親が若い妻をもらった直後に亡くなったとしても、戸籍上妻であれば「配偶者」として、「常に相続人」の立場になります。
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離婚した妻との間の子供・婚外子は!?
熟年離婚が増えてきています。その時、妻は年齢的に次のパートナーとの間に子供を作る可能性は低いのですが、夫は別です。このケースは争族になりやすいパターンです。例え前妻との間にできた子供の親権がなくても実子なので、子供の相続の権利は、後妻との間にできた子と同じです。
相続は当人が亡くなった後に起こる問題。死人に口なし。本人の想いを確認することはできません。なので、前妻との間に子供がいる方が再婚をする際には、遺言書を作成することをモラルとして、実践していただきたいものです。また、婚外子がいる場合には「認知」が必要です。自分の血を継ぐ子孫がいる時は、終活を真剣に考える必要があるのではないでしょうか!?
遺言書がある場合
遺言書がある場合には、遺言書が優先されます。ですから、争族はかなりの確率で減ってきます。しかし、遺言書があったからと言っても、そこには最低限のルールがあるのです。仮に夫が愛人に熱を上げてしまい「全ての財産を愛人に贈与する」という遺言書を書いても、それは認められません。法定相続人には最低限法律で守られる相続権があります。それを「遺留分」といいます。
<遺留分が認められる場合>
遺留分は法定相続人の中でも、配偶者・子供・直系尊属のみが認められます。兄弟姉妹には「遺留分」の権利はありません」。
<遺留分の割合>
直系尊属のみ:3分の1
その他の親族:2分の1
ここは、妻も子供も変わりません。上記の様に「愛人に全て」の遺言書があったケースにおいて、妻と子供が2人いたとしましょう。それでも、「妻と子供併せて:2分の1」の権利となります。
もめるような財産がないから我が家は大丈夫。うちは兄弟姉妹が仲良しだから争族なんてありえない。誰もがそう思うものですが、そうならないのが相続です。50歳を過ぎたら、終活を考える社会になるように、相続診断士としてできることをしてまいりたく思います。
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士