急増中のおひとり様。穏やかな老後過ごす為の対策は存在するのか

配信日: 2019.05.29 更新日: 2019.06.14

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急増中のおひとり様。穏やかな老後過ごす為の対策は存在するのか
生涯未婚率(50歳時の未婚率)は急増しており、平成27年には男性の4~5人に1人となっています。この数字は、平成27年時点で50歳(現在54歳)の男性の未婚率ということです。
 
例えば、令和1年時点で80歳男性の生涯未婚率は、50歳(平成元年時点)のときの未婚率を見ることになりますので、6%くらいということになります。未婚率は上昇を続けているため、今後おひとり様の相続が急増するのは明らかです。
 
おひとり様は、子どもがいる場合とは相続対策も違ってきます。
 
※子供がいない夫婦で、配偶者が死亡した場合もおひとり様として考えます。
 
宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
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※内閣府「平成30年版 少子化社会対策白書」より
 

【おひとり様の相続】

子がなく親もいない場合、法定相続人は兄弟姉妹となることが多いです。何もしなければ、兄弟姉妹が遺産分割協議などで分けることになります。
 
おひとり様が高齢となると、親類の誰かにお世話してもらうこともありえます。その場合は、お世話を掛ける人に財産を渡したいと考えるのではないでしょうか。
 
例)75歳未婚で1人暮らしの男性。
  推定相続人:80歳の兄、73歳の妹
  日頃お世話をしてくれている姪(兄の長女)に財産を相続させたい。

対策(1)「遺言」

姪が相続人でない場合は、遺言で財産を取得させることができます。
 
兄弟姉妹には遺留分(請求すれば認められる相続割合)がありませんので、遺言により確実に取得させることができます。兄が死亡すると、この姪も相続人になりますが、法定相続分以上の財産を取得させるためには遺言が必要になります。
 
遺言は、確実に執行できるよう公正証書遺言とすることがよいと考えます。

対策(2)「生命保険」

一時払い終身保険などに加入し、姪を死亡保険金の受取人にする。
 
保険金は、相続税法上はみなし相続財産となりますが、民法上は受取人の固有の財産となりますので、遺産分割の対象にはなりません。また、姪が相続人となった場合には、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人数)の適用があり相続税の節税にもなります。
 
ただし、生命保険の受取人を配偶者および2親等までとする保険会社もありますので、3親等の姪が受取人になれるかの確認は必要です。また、兄が健在で姪が相続人とならない場合は非課税枠の適用はできず、相続税が2割加算となります。

対策(3)「養子縁組」

養子縁組をすると、相続上は実子と同じ扱いになります。子は第1順位の法定相続人ですから、この男性が亡くなった場合の唯一の相続人となります。この場合、相続人が1人ですから遺言や遺産分割協議は必要ありません。
 
また、養子とした場合には、生前の贈与でも非課税特例を活用できます。
・住宅投資金の贈与(限度額は時期や消費税率により異なる)
・結婚、子育て資金の一括贈与(1000万円限度)
・教育資金一括贈与(1500万円限度)

など、年齢等の適用要件が合えば利用できます。
 
養子縁組をしても、実親との親子関係は維持されます。しかし、戸籍にも記載される重要な身分上の変更となりますので、慎重に検討する必要があります。

対策(4)生前贈与(暦年贈与)

生前贈与する相手には制限がありませんので、姪に毎年贈与することも可能です。
 
年間の贈与には、110万円の非課税枠がありますので、この範囲内であれば贈与税がかかりません。また、非課税枠は、贈与を受ける者ごとに計算しますので、贈与したい人が複数人いれば、それぞれ110万円までが非課税です。
 
暦年贈与は、相続税対策としてよく利用されますが、渡し方や管理方法などを間違うと、後でまとめて贈与税や相続税を課税されることもありますので
・贈与者と受贈者との贈与契約で意思確認を明確にすること
・贈与した財産を受贈者が管理すること
・定期贈与(定期の給付を目的とする贈与)とみなされないように、毎年贈与契約を結ぶこと

などを注意してください。
 

【まとめ】

おひとり様の場合、誰にどれだけ渡したいのかを明確にする必要があります。自分の老後を豊かに過ごすための資金計画を考え、お世話になる人にきちんと報いることができれば、穏やかに最期まで過ごすことができるでしょう。
 
出典
内閣府「平成30年版 少子化社会対策白書」3 婚姻・出産の状況
 
執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)
AFP認定者、行政書士
 

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