更新日: 2020.10.27 その他相続

独身の兄が亡くなったが、戸籍を確認したら養子だった。相続人は誰になる?

執筆者 : 宿輪德幸

独身の兄が亡くなったが、戸籍を確認したら養子だった。相続人は誰になる?
「独身の兄が亡くなりました。両親もすでに他界しており、相続人は弟の私1人と考えていたのですが、戸籍を確認すると兄は養子でした。私は相続人なのでしょうか。」と70歳男性からの相談です。養子は相続に関しては実子として扱われますが、実親との親子関係も継続しますので注意が必要です。
 

【PR】相続の悩みをLINEから気軽に無料相談!

【PR】そうぞくドットコム不動産

おすすめポイント

・10秒でわかる!相続手続きの無料診断を実施。
・相続の専門家へ電話やLINEで無料相談が可能!
・「自分で相続手続き」を行う方法も徹底解説。
・友だち追加で特典や割引も多数!!

宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
また、離れて住む親御さんの認知症対策、相続対策をご心配の方のために、Web会議室を設置。
資料を画面共有しながら納得がいくまでの面談で、納得のGOALを目指します。
地域の皆様のかかりつけ法律家を目指し奮闘中!!
https://www.shukuwa.com/

 

相続人は誰か

相続税の基礎控除を増やす目的など、相続税対策として養子縁組はよく使われます。
 
●相続税の基礎控除=3000万円+(600万円×法定相続人の人数)
法定相続人には実子がいる場合1人、実子がいない場合2人まで養子の人数を含めることができます。
 
しかし、相談者の場合は相続税対策の養子ではありません。幼いころに養子として迎え入れられ、相談者は血のつながったお兄さんだと思っていました。お兄さんも自分が養子であることをほとんど意識しておらず、実親との交流はありませんでした。生みの親との親子関係を絶つ特別養子制度が1988年から施行されていますが、被相続人は実親との親子関係が継続する普通養子です。
 

※筆者作成
 
相続順位は、
(1)直系卑属(子、孫)
(2)直系尊属(父母、祖父母)
(3)兄弟姉妹
 
被相続人に配偶者および子はなく、直系尊属(父、母、養父、養母)はすでに亡くなっていますので、兄弟姉妹が法定相続人です。今回の件では、相談者と被相続人の実姉が法定相続人となります。
 

法定相続分はどうなる

相続では養子と実子は同じ扱いになり、兄弟姉妹の法定相続分も同じですので、相談者と実姉の法定相続分はそれぞれ2分の1です。
 
このことを踏まえた上で、相談者は被相続人の実姉と連絡を取りました。実姉も幼いころに別れたまま交流もなかったため、法定相続人になることなど状況の説明に苦労しましたが、相談者が被相続人の面倒をみていたことや、今後の供養も継続することなどを丁寧に伝え、相談者が遺産を全て取得することに同意してもらえました。
 

【PR】相続する土地・マンションがあなたの生活を助けるかも?

片親の養子

特別養子は夫婦ともに養親となりますが、普通の養子縁組では片方だけが養親となることもあります。このような場合には、片親が同じ兄弟(半血兄弟)と同じ扱いとなり、法定相続分が半分になります。下図の例では、法定相続分は姉2/3、弟1/3となります。
 

※筆者作成
 
今回の相談者は、円満に遺産を取得できましたが、法定相続分を主張されることもあります。それまで付き合いのない赤の他人ですから、交渉が難しく、法定相続分での分割を余儀なくされることもあります。
 

子どもがいない人は相続対策を

兄弟姉妹の相続には、以下の特徴があります。子が相続人の場合に比べて相続手続きは面倒でトラブルになる確率が高くなりますが、遺留分は問題になりません。適法な対策をすれば、自分が希望する遺産の分割が実現できます。
 
●相続人確定の戸籍収集が面倒
・兄弟姉妹を確定するため、被相続人に加えて父母の一生分の戸籍が必要(養子の場合は実父、実母、養父、養母の出生から死亡までの戸籍が必要になる)。
・代襲相続(兄弟が先に亡くなっていた場合は甥、姪が相続人になる)があると、兄弟の一生分の戸籍も必要になる。
 
●兄弟姉妹が認知症の可能性(高齢者に多い)
認知症の相続人がいると遺産分割協議はできないため、財産が凍結される。
 
●兄弟姉妹には遺留分がない
遺言や民事信託により本人が財産の分割方法を決定すれば、協議不要となり、遺留分侵害額請求の心配もありません(遺留分:相続人に法律で保障された最低限の相続分。子や親には遺留分がある)。
 
相続に加え、自分の認知症対策も考えるのであれば、遺言・民事信託・任意後見などを組み合わせることで、経済的負担を周りになるべくかけないようにできます。これらの法律行為は認知症になった後ではできませんので、元気なうちの対策が必要です。
 
※2020/10/27 図表の内容を一部修正させていただきました。
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士
 

ライターさん募集