更新日: 2019.01.11 医療保険
医療保険加入時に、3大疾病特約を付加する場合の3つのポイントとは?
医療保険に3大疾病特約を用意している保険会社はたくさんありますが、付加すべきかどうか迷う人のほうが多いのではないでしょうか。
そこで今回は、医療保険に3大疾病特約を付加すべきかどうか、付加する場合にみるべきポイントを解説します。
Text:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。
3大疾病特約を付加すべき人はこんな人
医療保険に3大疾病特約を付加したほうが良いケースとしては、主に以下のようなものが考えられます。
1.がん保険の代わりとして利用する場合
がん保険に加入する場合、診断一時金のみで加入する方法があります。
がんにかかって3大疾病特約から給付金を受け取れる条件は、「がんと診断確定されること」で、がん保険と全く同じです。そのため、3大疾病特約を付加してがん保険は加入しないという選択肢も候補になります。
2.急性心筋梗塞や脳卒中の備えとして、入院給付金や手術給付金では足りないかもしれないと考える場合
急性心筋梗塞や脳卒中にかかると、治療を終えたあとに長期間のリハビリが必要になるケースがあります。
リハビリは、リハビリ病院ではなくリハビリ施設に入所したり、通院することもありますが、この場合は入院給付金の支給対象になりません。
しかし、一時金として給付金を受け取るのであれば影響がないため、急性心筋梗塞や脳卒中の備えとしてより安心と言えます。
保障内容は商品によって大きく違う
3大疾病特約は、商品によって保障範囲、条件、再発対応の有無の3点に違いがあります。
商品の良し悪しを判断するときはこの3点に注目しましょう。
1.保障範囲
3大疾病特約の保障範囲は通常、がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中です。
がんについては悪性新生物のみが保障対象(上皮内新生物は対象外)であるのが一般的でしたが、最近では上皮内新生物を対象とする商品も増えてきています。
一方、急性心筋梗塞や脳卒中は、より保障範囲の広い心疾患や脳血管疾患を対象としている商品もあります。
2.給付金を受け取れる条件
がんについてはどの保険会社でも「がんと診断確定されること」が条件なので、商品による違いはありません。
しかし、急性心筋梗塞(心疾患)の場合は商品によって以下のような条件(このうち1つか2つ)がつきます。
・初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を受ける状態が継続したと医師によって診断されたとき(俗称「60日ルール」)
・治療を直接の目的として所定の手術を受けたとき(以下、脳卒中の場合も同じ)
・治療を直接の目的とし、継続して20日以上入院すること
・治療を直接の目的とした入院を開始すること
脳卒中(脳血管疾患)の場合も急性心筋梗塞と同様、以下のような条件がつきます。
・初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師によって診断されたとき
3.再発対応の有無
商品によっては再発で所定の条件を満たしたときに、再度一時金を受け取れるものがあります。
どのような保障内容が望ましい?
1.保障範囲
がんの場合、上皮内新生物で高額な治療費がかかることは想定しづらいです。そのため、悪性新生物のみを対象とする保障で十分ではないでしょうか。
心疾患は急性心筋梗塞のほか、狭心症や弁膜症などを含んだ広い概念です。そのため、他の心疾患も対象のほうが良いと考えるかもしれませんが、急性心筋梗塞のみでも問題ないと思います。
なお、脳卒中と脳血管疾患はおおよそ同じ意味なので、こちらは脳卒中だけが対象でも問題ないと考えられます。
2.給付金を受け取れる条件
急性心筋梗塞と脳卒中は、かかっただけでは給付金を受け取れない点には十分、注意が必要です。
急性心筋梗塞や脳卒中の「60日ルール」は条件として厳しく、実際にかかっても給付金を受け取れるケースは少ないと言われています。
しかし、「所定の手術を受けることや入院を開始すること」という条件は、60日ルールよりもかなり緩やかです。そのため、できればこのような条件で給付金を受け取れる商品のほうが良いです。
ただし、脳卒中の治療においてまず行われるのは薬物治療であり、手術をするとは限らない点は知っておいてください。
3.再発対応の有無
いずれも再発の可能性がある病気なので、再発時にも給付金を受け取れるほうが良いと言えます。ただし、再発対応している商品は多くありません。
以上でみてきたとおり、一般の人にはわかりにくい違いがいろいろとあります。
そのため、3大疾病特約に限らず保険に加入するときは、なるべく自己判断を避け、プロに相談して十分な説明を受けてから選ぶのが良いでしょう。
Text:横山 琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター