更新日: 2019.07.31 学資保険

「子どもの教育費を貯めるなら学資保険」で大丈夫?ほかに選択肢はないの?

「子どもの教育費を貯めるなら学資保険」で大丈夫?ほかに選択肢はないの?
子どもが産まれたら、子どものために頑張ろうという気持ちになりますよね。お子様の将来の学費準備として多くの方が貯蓄を始めます。筆者は「学資保険でいいものはありませんか?」とよく相談を受けます。
 
学業資金を貯める=「学資保険」という意識は強く、貯める方法として学資保険だけに絞って比較検討されている方がとても多いように感じます。雑誌などにも学資保険の特集が組まれており、相変わらず人気の商品のようです。
 
金利が良かった時代の学資保険に加入し、高い金利の恩恵を受けた世代からの“残像”が今も語り継がれているように思います。預金金利も5%や6%もあった時代がありましたが、現在は限りなく0%に近くなっている状況で、過去の時代とは全く変わっています。
 
それでも、学資保険は本当に最適な商品なのでしょうか?他に選択肢はないのか、考えてみたいと思います。
 
田中栄二

執筆者:田中栄二(たなか えいじ)

AFP認定者 

2級DCプランナー
確定拠出年金相談ねっと 認定FP
福岡でのテニスコーチ業で、個々に適した伝え方や問題解決の基礎を学ぶ。その後「保険業は困ったときにこそ必ず人の役に立てる」と誘われ保険代理店の道へ。複数の保険会社・証券会社を取扱う会社に所属し、保障から資産運用までサポートしている。20年の保険業務と15年の証券業務の経験を持つ。「幸せな楽しい老後を送るための資金準備をしませんか?」の思いを伝えるべく確定拠出年金を活用した老後資金作りの相談やサポート業務、資産形成セミナーも行っている。

学資保険の特徴

契約者が亡くなったら以後支払う保険料は免除される、という保険が付いているのですが、中身はほぼ貯蓄商品と考えた方が良いでしょう。貯蓄であればいくら払っていくらもらえるかがポイントになります。
 
現在販売されている学資保険は18年間保険料を払っても、18年間かけて増えた金額はほんの数%か、ほとんど増えていない商品が多く、驚くことに払った保険料が受け取り金額を下回る商品もあります。
 
これは、保険商品には死亡保障や運営していくコストがかかることはもちろんですが、現在の超低金利が大きく影響しているためです。金額の詳細は「設計書」で必ず確認することをお勧めします。保険会社や代理店に依頼したら作成してくれるはずです。
 
この設計書で確認してほしいことがもう一つ。払い込んでいる途中で解約した場合の「解約返戻金」です。払った保険料を下回る期間があるので注意が必要です。下回るということはその期間は減っていることが確定されているわけです。
 
最後まで払い続ければ確実に殖えるとしても、長い期間途中で辞めると損をするというのはリスクではないでしょうか?
 
また、仮に保険に加入した後に日本の金利が上昇しても、加入している保険の受け取れる金額が増えることはありません。不測の事態で家計が苦しいから「途中で休止したい」はできません。その際は解約することになるでしょう。
 
仮に、保険料の滞納が続いたら失効します(解約返戻金の中から自動で立て替えしてくれる場合もあります)。失効したら「復活」させるか、解約するか、の選択になります。解約したら、前述したとおり払い込み金額を下回ることがあります。
 
保険だからできる特徴としては以下のことがあげられます。
 
○約束された額が支給され、一括や分割など受け取り方法も選べる(保険会社の破たんがなければ)
○貸付制度がある(解約返戻金の一定範囲内から。利息がとられる)
○保険料控除を使える
○契約者が亡くなったら払い込みは免除される

 

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他の選択肢(元本確保型)

生活して残った資金で貯蓄しようと思っていても、なかなかできないものです。貯蓄を始める場合に最も大事なことは、毎月自動的に口座や給与から引かれるような仕組みを作ることです(この点は学資保険も仕組みができています)。
 
元本が減ることが無く、毎月銀行口座から引落できる方法として銀行などの「積立預金(貯金)」があります。これは積立式の定期預金で、普通預金から自動的に一定の金額を定期預金に預け入れる商品です。
 
金利が低いので増やすことは期待できませんが、元本が減らない貯蓄が目的であれば適しています。途中で積立を解約しても受け取り利息は減りますが、学資保険のように元本を下回ることはありませんので、休止再開は自由にできるイメージです。
 
また、金額を変更することも可能ですし、ボーナス月に上乗せできる商品や満期設定をしないでずっと積立をできる商品もあります。貯蓄の仕組みを作れて、安全で自由度の高い方法と言えます。
 

他の選択肢(元本変動型)

元本は変動するのでマイナスになることもありますが、より増やしたい場合は「積立投資」がいいでしょう。将来の金額を約束するものではありませんが、過去の実績をみると長く時間をかけて投資をしていくと十分増やすことが期待できます。
 
金融庁が作成した1995年~2015年の積立投資における20年間のグラフでは、国内・先進国・新興国の株と債券に1/6ずつ投資すると、年平均4%のリターンをあげています。国内の株と債券に半分ずつだと年平均1.9%のリターンです。
 
投資信託を毎月買っていく、「積立投資信託」が少額からできます。これは証券会社や銀行などの金融機関で始めることができます。その際に利用したい制度が「つみたてNISA」です。
 
一般的に運用での利益に対しては約20%が課税されるのですが、つみたてNISAは課税されません。課税されないで保有できる期間は20年あり、毎年40万の積立投資が可能です。
 
積立投資信託は始めるときに期間を決めませんので、途中で積立を休止したり、再開したり、また(金融機関ごとの規定のもとに)金額を変更したりすることができますので、かなり自由度が高い方法です。
 
途中で休止した場合は解約して現金化(その時の時価)するか、そのまま運用を続けるか、というどちらかになります。今使う目的が無ければ、そのまま運用を続ける方がいいでしょう。
 
また、保険機能もありながら、株や債券などで運用もできる「変額保険」があります。期間が終身と有期とありますが、有期型の変額保険を学資作りとして加入している方もいらっしゃるようです。
 
変額保険の注意点としては、死亡保障にコストがとられる点です。死亡保険は他で加入していて、不要であるならば死亡保障にかかるコストが無駄になります。保険も必要な場合は、「変額保険」と「掛け捨ての保険+積立投資信託」のコストを比較してみることをお勧めします。
 
途中で解約すると「解約控除」を取られることもあります。コストの違いは受け取り額に大きく影響しますので、しっかり確認しましょう。また、変額保険は一般的な保険と同様、途中で休止・再開はできないので,自由度は低いと言えます。
 

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長い期間を生かそう

もっともお金がかかる大学であれば、入学まで18年ほどの期間があります。進学する大学・学部によって入学金や授業料は違います。
 
また国公立か私立か、自宅からの通学か県外か、県外であれば寮かアパートか、などでも大きく費用の差はあります。いくら貯めておけば安心か、という目標の設定は難しいかもしれません。
 
例えば、18年後に学資を1000万貯めたいという目標を立てたとします。金利が付かずに貯めた場合、毎月4万7000円の積立が必要です。では、年利回り2%で運用できたと仮定してシミュレーションしてみましょう。毎月3万9000円。4%だとしたら毎月3万2000円の積立になります。
 
収入の中から毎月拠出できる金額は限られていますよね。そうであれば“お金に働いてもらい”資産を増やすことを考えてみてはいかがでしょうか?
 
短期の投資は不確定要素が多いので、時間とお金に余裕がある方にはいいかもしれません。教育資金や老後資金のように長い時間をかけて増やしていくものには、ゆっくりコツコツ投資していく積立投資を選択肢に入れて考えてみましょう。
 
参考:金融庁 NISA特設ウェブサイト「あなたとNISA」
 
執筆者:田中栄二
AFP認定者
 

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