更新日: 2020.04.13 自動車保険
人身傷害保険の補償内容って、どんな場合が想定されているの?
傷害保険とは、けがを原因に死亡したり、治療を受けたりした場合に保険金や給付金が支払われるもの。
ただ、同じ傷害保険といえども「人身傷害保険」は自動車保険用に設計されている点で異なります。人身傷害保険の特徴を見ていきましょう。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
人身傷害保険の補償内容
人身傷害保険には、補償内容として、3つのパターンがあります。
(1)自動車事故により「入院・通院」した場合
「治療費などの実費」+「休業損害」+「精神的損害」など
(2)自動車事故により「後遺障害」を被った場合
「治療費などの実費」+「逸失利益」+「精神的損害」+「将来の介護料」など
(3)自動車事故により「死亡」した場合
「治療費などの実費」+「逸失利益」+「精神的損害」+「葬儀費用」など
想定しているケースは、(1)「入院・通院」、(2)「後遺障害」、(3)「死亡」の3つです。それぞれについて、治療が必要な場合の治療費などの実費が支払われます。
(1)における「休業損害」は、自動車事故によるけがなどで働けなくなった場合に、その期間の収入を補償するものです。
(2)・(3)の「逸失利益」を見ていきましょう。働けなくなると、将来得られるはずだった収入が失われます。(2)は、この損失に対する補償としての意味合いがあります。また、(3)は、死亡したことで失った将来の収入補償という意味です。
そして、(2)では「将来の介護料」ということで、後遺障害を被ったときに、以降必要になってくる介護費用も、人身傷害保険の補償として想定されています。(3)では、「葬儀費用」として、死亡した場合に挙げるお葬式代も含まれています。
(1)・(2)・(3)いずれにも共通するのは「精神的損害」に対する補償です。けがをした場合に精神的にさまざまな苦痛をともなうため、これに対しても補償が用意されています。
これらを含め、人身傷害保険では3000万円・5000万円・8000万円などと保険金額を設定していきますが、人身傷害保険に加入していると、過失割合に関係なく、保険金額を限度に支払われるようになっています。
人身傷害保険では誰が補償の対象になるか
次に、誰が補償の対象になるかについて見ていきます。自動車保険のパンフレットなどには「ご契約されている自動車に搭乗中の方」と書かれています。平たくいうと、「車に乗っている方」です。
ただし、他の車に乗っている場合や歩行中の自動車事故、自転車を運転しているときの自動車事故は、人身傷害保険のみではカバーされないため、注意が必要です。
まとめ
友人や知人を車に乗せて運転する場合を想定してみると、人身傷害保険の必要性を感じることができるかもしれません。自分や家族が車に乗って自動車事故が起きた場合は、身内であるため、加入している生命保険などからの保障で済むケースも考えられます。
しかし、他人を乗せてけがを負わせたり、死亡させたりしたとなると、ただごとではありません。ドライバーの責任としても人身傷害保険の意義は深いのではないでしょうか。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)